【連載詩集】No.28 ハロー、冥王星にいる君へ。
ハロー、冥王星にいる君へ。
調子はどうだい?
地球はけっこう暑いよ。
特に僕の住んでいる日本は。
なんだか最近おかしいんだ。
気温はぐんぐん暑くなるし、
街の長は水を道端に撒けと言うし、
大人子供はどんどん倒れる。
それでも、日常は続いてる。
地球では、皆すごく働くんだ。
僕もちょっと変わった形式だけど、
それなりに頑張ってやっているよ。
今日はね、君のことをずっと考えていた。
どうしているかな、元気かなって。
もう、絵を描くことは、やめてしまったの?
僕は、君の描く絵がとても好きだったんだ。
一目見たときから、心を奪われてしまった。
すごく冥王星的な文脈で描かれた不思議な絵で、
地球にはないストーリーが詰まっている気がした。
あんな絵を観たのは、生まれてはじめてだったよ。
そういえば、君と仲良くなったのも、
そのことを君に伝えたときからだよね。
君は、にっこり笑って、
「なんでわたしの考えていることがわかるの?」
って言ってくれたんだ。
あれは嬉しかったなあ。
あれからもう、
ずいぶんと長い月日が経って、
君は冥王星に帰ってしまって、
僕は地球に残ることになった。
僕は今でも、君からもらった言葉を胸に、
地球で文章を書き続けようと思ってるよ。
地球と冥王星はけっこう遠いし、
人間の寿命はわりかし短いから、
もう一度君に会うことは、
叶わないのかもしれない。
でもね、
「想いは光よりも速い」
僕は今でも、それを信じているよ。
だから、さみしくなんかないんだ。
また、いつかどこかで、
君の絵を観られることを楽しみにしてる。
だから、もしも気が向いたら、
また筆をとってみてね。
ハロー、冥王星にいる君へ。
美しい君の生命に、幸あれ。
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