見出し画像

ガンディーが老害扱い⁈🥺〜第二次世界大戦からインド独立へ〜

第二次世界大戦からインド独立へ

ガンディー最後の10年間である1938年から1948年はインドだけでなく全世界的に激動の時代でした。

空前の戦争被害を出した第二次世界大戦では、ガンディーはこれまで大英帝国臣民としての戦争協力義務を説いていたのと違って、明確に戦争に反対しました。
ヒトラーや、チャーチル、ルーズベルトにも戦争の停止を求める手紙を送りました。

アジアでは日本が1930年代から中国に支配地域を拡大した後、アジア太平洋戦争でインドシナから東南アジア全域に軍を進めました。
日本がアジアのヨーロッパからの解放をスローガンに掲げたのを受け、アジア各地でも日本に協力してヨーロッパ諸国からの独立をめざす勢力がありましたが、一方で蒋介石や、毛沢東、金日成、ホーチミンのように武装して日本と戦うナショナリストが生まれました。


もはや非暴力ではなく暴力的手段で戦うことが主流となってきてしまいました。
ガンディーは「時代後れの老人」のように扱われたのです。(いつの時代も年寄りは老害扱いされてしまうのですね🥺)

インドでは、イギリス総督が一方的に参戦を決めたのに反発して、会議派は戦争への非協力を決めました。
会議派から追放されたチャンドラ・ボースは国外に逃亡し、枢軸国側に協力しようとします。一方でイスラム勢力は、イギリスに協力してイスラムの独立国(パキスタン)を作ろうとします。


ガンディーは1942年「戦いか死か」という戦闘的スローガンを掲げ、「インドを立ち去れ」と帝国へ要求する全国的な市民不服従運動を行うことを提案しましたが、運動が始まるとすぐ逮捕され、プーナ近くのアガ・カーン宮殿に幽閉されてしまいます。🥺


その後ドイツ、日本の枢軸国側の敗色が濃くなりつつあるなかで1944年に解放され、インド独立が現実のものとして話し合われます。
ガンディーは「インドはひとつ」であり、イギリスの撤退後、住民が国の形を選ぶべきだと主張しました。
しかし、イスラム教のムスリム連盟を説得することはできず、会議派の指導者もインドの分離はやむなしと考えていました。
ガンディーの主張は認められませんでした。


協議の結果、イギリスはインドとパキスタンの二国の独立を認めました。


当時、インド国内では、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立は激しさを増し、宗教的な暴力の嵐が吹き荒れました。
各地で暴動、虐殺が起こります。🥺
ヒンドゥー教徒が多数の地域ではイスラム教徒が襲われ、イスラム教徒が多数の地域ではヒンドゥー教徒が襲われました。
植民地政府も暴動をまったく鎮圧せず放置していました。

1946年カルカッタで起きた暴動では、バスや車が破壊され、家々が焼かれ、4000人以上の命が失われ10万人の避難民が生まれました。「カルカッタの虐殺」といわれています。

政府が暴動、虐殺に対して何もしない中、インド市民が頼れるのはガンディーでした。
ガンディーだけが暴力の連鎖を止められると、人々は思いました。
ガンディーは平和を説く行脚の旅に出発します。🕊


ガンディーはひたすら暴動の起きた現場を歩き人々が経験した恐ろしい話に耳を傾け、祈りを捧げ、傷ついた人々の心を慰め、和解と許しの実現をめざしました。


1947年8月15日、インドはついに独立します。
そして、14日の深夜パキスタンも独立しました。 
パキスタンはイスラム国家。
他方のインドは、宗教的多様性を前提に「インド型世俗主義」、すなわち国家は異なる宗教の人々を平等に保護するという原則に沿って樹立しました。

しかし、東のベンガル地方と西のパンジャブ地方は分割され、イスラム教徒はパキスタンに、ヒンドゥーやシーク教徒はインドに逃れ大量の難民が発生しました。
その過程で多くの人々が虐殺されました。
また、カシミール地方では帰属をめぐって武力衝突が発生。
インドは、独立と同時にパキスタンと戦争を始めてしまいます。


ガンディーは非暴力の願いとはほど遠い現実に苦悩します。

ガンディーは、争いの起こるたびにハンストをしました。
若くないガンディーにとっては命懸けのハンストです。
その度に人々は心を動かされ、争いは沈静化します。

たとえ争いが加熱していくなかでも、敵も味方も信じるガンディーの姿勢、徹底した非暴力主義は確実に人々に変化を与えていました。

しかし、権力争いや利権を求める人々からのガンディーへの憎悪も膨れ上がっていたのです……


執筆者、ゆこりん、ハイサイ・オ・ジサン

参考文献
「ガンディー自叙伝」東洋文庫

「サッティヤーグラハの歴史」東洋文庫

「ガンディー 平和を紡ぐ人」竹中千春著 岩波新書

「ガンジーの実像」ロベール・ドリエージュ著 文庫クセジュ

「ガンディー『知足の』の精神」森本達雄編訳  人間と歴史社

「ガンディー魂の言葉」浅井幹雄  太田出版

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?