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中小企業診断士試験から考える、不確実性への対応戦略

今日は中小企業診断士の一次試験2日目でした。試験は年1回しかないので、かなり緊張して、気合を入れて受験された方も多いと思います。受験された方、2日間、お疲れ様でした。模範解答は明日出ると思うので、今日は何も考えずに、寝ましょうw

中小企業診断士は、経営コンサルタントに関する国内唯一の国家資格。合格率は低めで、一次試験が20%前後、二次試験が20%前後、単純に掛け合わせると合格率4%なんて言われることがあります。最近は一次試験の合格率が上がり、40%近いときもありますが、それでも、かなり難易度の高い試験だと思います。大手企業でバリバリの人でも、あっさり不合格になる、大変な試験です。

私は6年前に受けて、無事、一次、二次とも合格できました。合格までに1年間勉強しています。仕事しながら本格的な勉強は、なかなかしんどい面もありますが、学生のときにまじめに勉強していないので、いい経験になりました。運にもかなり左右されるので、合格したときは私の一生分の運を使い果たしたのではないかと不安がよぎります。

今日は、中小企業診断士試験の難しさから、市場で求められる経営コンサルタントの役割や、ビジネスで成功する資質を考えてみます。


1.意味不明な問題文

試験範囲が非常に広いので、勉強が大変。何をどの程度まで勉強すればいいのか、非常にわかりにくい。ある意味、山をはることは不可能。さらに、試験問題の日本語が意味不明だったり、難解な表現だったりして、迷わせます。

さらに、だいたい2割くらいの問題が、誰も解けない勉強したこともない内容が出題されます。いわゆる、捨て問という、手をつけてはいけない問題が2割くらいまぎれています。これを早い段階で判別して、適当にマークしないと、時間が足りなくなる。巧妙な仕掛けが入っています。

一次試験は時間のわりに問題数が多いので、1問2~3分で終わる必要があります。じっくり問題文を読んでいると時間切れになる。だから、難解な日本語をすばやく読み解く必要があります。

なぜ、こんな意味不明な問題出題されるのか?
私なりの答えは、中小企業の社長さんが話す日本語もわりと支離滅裂なことが多い。ちゃんと整理して話してくれることはむしろ稀なくらい。そこから本意を汲み取って、整理してあげるのが、経営コンサルタントの役割です。

意味不明な問題にも、意味がある。現実を受け止め、整理する機会を与えられている、鍛えられている、と考えると、腹も立たなくなります。

2.理不尽な試験会場の環境

試験会場の環境も、色々面白いエピソードがあります。全国で行われるので、どの試験会場に当たるかは、運しだい。私が聞いた話では、こんなのがありました、

  • 机が異様に狭い

  • 冷房の風が直撃して、寒すぎる(手がかじかむ)

  • 外で運動会が始まって、音がうるさい

  • 隣の人の貧乏ゆすりが気になった仕方ない

などなど、どこまで本当にあった話なのか、よくわかりませんが。実際にあったらイライラするだろうな、と思う条件です。

しかし、こういう理不尽な状況になっても、救済策はありません。その中で、頑張ってください、という試験。環境が整っている人と、劣悪な環境の人が、同じ土俵で勝負する。それは不公平では?と思いますよね。たしかに、不公平で理不尽だと思います。

なぜこうした理不尽さを容認しているのか?
それは、世の中はそもそも理不尽だから。それを理由に中途半端な成果しか出せないようでは、使えないコンサルタントになりますよ。という理屈だと理解しています。

逆境に耐える、何があっても成果を出す、そういう人を選別しているところはあると思います。

3.合格率の低さゆえの迷い

事前情報として合格率が低いということがわかっています。そうすると、頭のいい人は、人一倍勉強してしまう。それ自体は悪いことではないのですが、なにぜ試験範囲が広いので、完璧に仕上げるということが不可能に近いのも事実です。

結果的に、虫食い状態の知識ができあがります。いくらがんばっても、1年や2年では、完成しない知識レベルが問われます。

単に頑張るだけではなく、合格するために最低限やっておくことはなにか?
中小企業診断士試験の合格ラインは100点満点中60点。6割の正解率で合格なんです。つまり、100点や80点などは求められていない。この意味を理解しないと、合格は遠のきます。

ただひたすら頑張ってしまうと、成果につながらないことが多い。これが、合格率の低さの要因ではないかと思います。つまり、やるべきことを見極めた要領のいい人が合格しやすく、そうでなくただ単に頑張るだけの人は落ちやすい。大局観と戦略性を持つ人が選別されている感じです。

成功する資質1.日本語の読解力

では、どうすればいいのか?

難解な問題文の読解については、純粋に日本語の読解力が要求されます。おそらく大学入試レベル。

私は国語は苦手でしたが、そのころ図書館で大量に借りて多読していました。たぶん、1000冊くらい。読みやすい本もあれば、読みにくい本もあります。大量に文章を見ていたことがいい方向につながったかどうかは、定かではありませんが、1つの要因として考えています。

成功する資質2.絶体絶命の環境下でキレないマインド

私は資格の学校TACのコースに通ったので、多くの確認テストを受けて、かなり鍛えられました。やっても、やっても、点数が上がらない。順調に進むどころか、かなり落ち込む経験もしています。1年間真剣に勉強する中で、ストレス耐性を鍛えられました。

たまに、あまりの問題の難しさにクレームをつける人がいますが、それは見当違い。できない状況の中で、ベストを尽くすとはどういうことか。ギリギリの環境で考えることも多かったです。

不確実性が増す現代において、絶対絶命の環境下でキレないマインドは強力な武器になるのでは? と思います。キレず、常に前を向き、何ができるかを考える。そこから未来が見えてくるのだと思います。

成功する資質3.大局を読む戦略思考

正解が見えにくい。そもそも、最初から正解は用意されていない。そういう状況で、どんな選択をするのか。そこには大局観と戦略性が求められます。

言うは易し、行うは難し。

困難な状況の中で、仮説検証を繰り返し体得していくしかないのかもしれません。



中小企業診断士試験の難易度が少し伝わったでしょうか。

大手企業の管理職試験に中小企業診断士試験を取り入れれば経営者感覚と、逆境でもキレないマインドを身に着けられるので、いいのでは。という笑い話があります。どこか、取り入れる会社が出てこないかなぁ、と思ったりします。

合否はともかく、この試験にチャレンジするだけでも凄いことなんだと思います。毎年2万人近くの人が受験します。試験会場には、頑張るおじさんたちがいっぱい。(ちなみに、女性も1,2割に増えているみたいです) こんなに頑張っている人がいるなら、日本の未来は絶対良くなる、と思ったのでした。



この記事を書いたのは、
もうそうビズ企画 代表 川原茂樹
https://mousoubiz.com/
https://twitter.com/mousoubiz


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