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ご飯を食べる

わたしは最近よく泣く。
泣き笑いだの笑い泣きだのという言葉はかなり使いやすいというか便利だ。
言葉だけが独り歩きしているような感も否めない。
でもほんま、すぐに泣くようになったし、笑うようになった。
自制心もといかっこつけで隠しているけど。
むかしは怒りの感情が大きかった。今もある。
でも今はそれより泣くし笑う。
 
人気ドラマ『きのう何食べた?』は、
漫画のときから読んでいたし観ていたのだが、
ドラマseason1の際には、
なんだかすごい勢いで広まっていった両手放しの大絶賛や一部偏ったような(ように、わたしには見えた)観方や演技になんだか疑問を覚えなくもなかった。
でも新たに始まったseason2の1話を観て、
なんだかほろりとしてしまった。
ぼちぼちとseason1とスペシャル回と劇場版を観返したりなんかもして、って、遅いよ、素直にハマるのが。

なにげない日々の中での、苦しい、苦い、理解してもらえないこと、もらえること。
 
日常をいつくしむこと、大事なひとと、ひとたちと。
 
辛口で格好つけの知人の感想に思わずニヤけた。
 
「観ていてこれほど愛おしい気分になるドラマ(?)はない」
 
わかりあえないこと、わかりあえないことばかりの社会や世界で、身近な中や仲ですらわかりあえないことやすれちがいが日々あって、それは生きていく上で避けては通れないこと。
 
回とseasonを重ねることで年齢や老いという
誰しもに当てはまるテーマも色濃く描かれるようになって、
観ているこちらも年齢などを重ね、
親だの己やまわりの老いだの介護だの病だの死だのなんだのの問題や
日々のややこしさが身につまされることが深まりもして。
だからこそ、日々をいつくしむこと、その愛しさを想うことが、ぐっとくる。
 
とか思っていたら、ちょっと前に観たドラマとも重なった。
(きのう〜と同じ枠(ドラマ24)だとは後から知った)
 
『生きるとか死ぬとか父親とか』


TBSラジオのパーソナリティでコラムニストである
ジェーン・スーのエッセイ(同タイトル)をドラマ化したもの。

ネットフリックスで配信されていることを知って、
いつもながら仕事の際のBGMがわりに観たのだが、これがよかった。

彼女が実際に出演していた&しているラジオ番組の「人生相談」をモチーフに、リスナーと、彼女自身の人生が、1話1話、1悩1悩ごとに展開され、
彼女の問題……向き合うべきなのに向き合うことを避けてきたこと、
向き合うことが明るみにされる、つながってゆく。
お悩みたちはどれも誰にとっても他人事ではない日常や人生のあれこれで、シンプルながらも深く、重い。
原作は読んでいないのだけれど、
軽く小気味よくも、はっとさせられることや気持ちに、
「あ、うまいな」「うまくつくってるなあ」って素直に思い、観られた。
ベタなんだけど、
ベタベタこてこての人情押し売り安売り押しつけじゃなく、
リズミカルに悩み、苦しみ、笑い「いっしょに生きる」様が
「ああ、いいな」だった。
ジェーン・スー役の吉田羊も、
「厄介だけれど愛おしい父」である國村準も、主題歌も、
「ええなあ」と、素直に思えた。

時折書くけれど、
わたしは父を亡くしていて、
また育ってきた家や家族もちょっと歪だったりして、
って、どの家庭にも多少なりともその歪さはあり、
それぞれで、それぞれだろう。過去も。今も。皆、歳もとりますしね。
このことたちもまたちょっとちゃんとした形で書かなければいけないと思っていること。
そんなこともあってか、あるけど、あるから、
「ああ、観られて、よかったなあ」だったのだろう。
 
生き方、自分らしさ、しあわせ。仕事。家族。お金。生老病死。あの頃。今。あなた。私。
かかわること。いつくしむこと。笑うこと。泣くこと。笑うこと。
 
noteにこの数日書いていたのが「戦い」「男」みたいなテーマだったので、「いや、振れ幅デカすぎやろ」ってツッコみが来そうな気もする(笑)
でも、先日のものたちと、今日のコレは、同時に
「お、書こう」となっていたことで、反対のようで、反対だけれど、裏表というか、表裏一体だったり、そうでもなかったり、する(笑)
 
2日前、大好きで尊敬する(ただ読者なだけ)
2人のライターの対談配信を観た。
文藝春秋ウェビナーの「ヤクザにまつわる」対談だ。
第5弾となる今回のテーマは「食」。
タイトルは「ヤクザメシ ~どや、メシ食ったか?~」

彼らは挨拶のように「メシ食ったか?」を言うのだって。
唸ってしまった。
ヤクザという人間の欲求や生死ぎりぎりのところに生きている人たちの、
人たちを繋ぐ役割としての「食」。
いつもながら、いつも以上(?)に興味深く観た。
いつも「ほんまに「役者」(あ、書いてもた)と一緒やん」とか独り言を言うのだけれど、今回もずっと言いながらも。

その中でもシンプルにシンプルな2つの箇所が印象深かった。
「ご飯って生きることと死ぬことに直結する」
「誰かのためにつくる(それが昨晩怒られたアニキや親分であれ)」
 
これに「あ」「お」となったのも、
先に挙げた2つのドラマが頭の中にあったからだろう。
 
死と生と。生と死と。泣くと笑うと。笑うと泣くと。
 
そんなことをつらつらと考えていたら、
あるテレビCMを思い出したので最後にお伝えをしたい。
調べたら6年前(!)に放送されたものだった。
タイトルは「この90秒で人生が劇的に美味しくなる。」(全3話)
御大層なタイトルに「えー」ってなるでしょう?
でもね、初めて観たとき、なんか、いろんなことがいっぱい、詰まっているように見えた。
押しつけるとか太字で強調するとかじゃなく伝わってくるようにも思えて、なんかほろっと、めっちゃ笑いながらじわっと、涙が出た。
さすが、土井善晴。ずるい。
よければ騙されたと思って、いや、騙されて、観てみて下さい。

今日おいしいもの食べましたか、食べられましたか。明日はなにを食べますか。
よく寝れましたか、よく寝てね。
そんな、気持ちの、金曜の夜です。
からだ大事に、気持ち大事に、
どうぞ、明日も、元気でね、良い週末を過ごしてね。日々、皆に願っています。



こんなんも書いてた。一年前だ。


しつこく宣伝しますが、どうぞどうぞよろしく!です。


◆◆◆
以下は、自己紹介 。よろしければお付き合い下さい。

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

詳しいプロフィールや経歴やご挨拶は以下のBlogのトップページから。
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lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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先日、ご縁あって素敵なWebマガジン「Stay Salty」Vol.33の巻頭、
「PEOPLE」にも載せていただきました。

5月1日から東京・湯島の本屋「出発点」で2箱古本屋もやっています。

参加した読書エッセイ集もお店と通販で取り扱い中。

旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話)と
大事な場所の話「Home」(現在、番外編を入れて4話)です。

noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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