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リング

先月だったか先々月だったかは忘れたが、
プロレスの地方会場でのビッグマッチを配信で観ていたときのこと。
とある試合でずっと叫んでいる子供が居た。
「●●―!」「がんばれー!」
甲高い声で必死に応援の声をあげている。試合中ずっと。
声援を向けられているのは、悪役レスラーで、
彼がシングルマッチで闘っているのは、目下、団体が売り出し中(?)のイケメンだった。
ワルな彼は無法ファイトでめちゃくちゃやっている。
一方、相手の彼は毎回客席から登場し、
お子様客を見つけるとリストバンドなぞ渡し頭を撫でたりする。
でも甲高い声はワルな方の名前をずっと叫んでいた。うるさいくらい。懸命に。
 
ちょいと前にひょいと書いたこの記事を今もよくみていただいているようで、
いいね、あ、noteの場合は「スキ」というのをまあまあ押していただいていて、
「こんな、ひょいと書いたやつがそんな」と冷や汗をかいている。
が、いつも思うこと考えることは書いたとおりのようなことだ。
いいとかいいねとか正しいとかそういうことじゃなく、でも、だ。

 例えば「いい悪い」や正義正解というものは、あるのだろうと思う。絶対。
うまく言えていないか。
「あってはならないこと」や「やってはいけないこと」ははっきり絶対にある、というと、いいかな。
 
でも、だから、
聞くとか知るとか考えるとか、を、したいというか、
それぞれが互いに、してみても、「ええんちゃうか」と思う。思うようになった。いつからか。
 
グレーという言葉は好きじゃない。
でも白黒じゃなく、どちらの気持ちも、
受け入れる受け入れないじゃなく受け入れられないとしても聞いてみる知ってみること、
相手(の言葉や気持ちや体を)「受ける」こと(これ、プロレスやねえ)って、
考えること考えてみること感じてみること、いや、感じようとすることって、きっと、たぶん、大事なんやろうと思ったりする。
 
技。技術。体。心。見せ方。訴え方。キャラ。愛嬌。やり方。やられ方。
今。あの頃。むかし。でも今。これから。この先。
 
そうしたら、その上で、互いを(例えば時に好きじゃないとかも時にあれども)承認するとか、
時や時間はすぐでなくても認め合うこととか、も、は、少なくなく、起こる、こともあるのではないか。
 
リング上では、そんなことを、見るよねえ。
 
とか、考えるのは、たぶんわたしは血の気が多いから。
白は白。黒は黒。はっきり付けないと気がすまない。
気持ち悪い。不安で気になってしゃあない。気持ち悪い。
「黒いカラスも親分が白といえば白」?
白くねぇわ! 即ツッコむ。たぶん旧時代に生きていたら即打首ものだ。
でも、ねぇものを「そうや」とは言いたくないし言わない言えない。
 
とはいえ、この世には、はっきりしないことや、できないことやが、多すぎるし、
はっきりは、難しいんじゃないか、時に怖いことですらあるんじゃないか。
「はっきり」や決めつけやは例えば誤解や取り返しのつかない間違いに繋がりかねないし、繋がったらあかんのに、に繋がることも、少なくはない。
人間は人間というものはそんなに立派でもすごいものでもなく、むしろたぶん愚かで弱い、人間だから。
それが生きていくことや共に生きていくことは、永遠レベルに難しいし難しすぎる。
 
でも、だから……と、思ったり、考えたり、するのだ。
 
何の話や(笑)
 
先日、呑みに行った先で、
上記のような考え方? 感じ取り方? についてなどのことを、古い知人に言われた。
 
「それはmomoさんが〝プロレス者(もの)〟やからですよ」
 
プロレス者、とは、
プロレスファンとかそういうことじゃなくて、そういうの(かも)なんだけど、
いわば「プロレス的思考(嗜好?)の者」というとちょっと伝わるだろうか。
「え、そうなん? 当たり前っていうか、皆、考えることとちゃうん?」
と返したし、それこそ、近年流行りのsympathyとかempathyとかそういうのんちゃうのん、とか思ったり、なんの自覚もないが、「ほおー」と「ほえー」となった。
 
自分がいる。自分はある。けれど相手もいる相手がいる。
相手(他者)がいて業界(世界)があってお客さん(いろんな皆)がいる。
これまでの自分と今の自分とこれからの自分がいる。
相手と誰かと業界とお客さんがいて、
その何段階か何段階かもの「これからの」自分がいる。
皆でつくる。これからを作る。
過去があって、だから、これからへ、これからを。
 
年齢や老いというものもあるし、
「これから」は必ずしもきらきら輝かしいものだけじゃない。
でもそれでも「これから」しかない、いいもわるいも含めて。
 
その上で。だから。
 
出先にプロレスショップがあったのでつい入った、先日のこと。
平日夕方にもかかわらず熱心な人たちが見たり買ったり話したりしていた。
レジで店員に「今日はチケットを買いに来ただけなんだけど、せっかくやから見て行くわ」となんか別にせんでもええのにアピールするように話すおじさんの声が響いていた。
ああ、喋りたいんやろな、かもな、どや顔してるなあ。面倒臭そうやなあ。
マスク(覆面)を見ていちいち欲しがる若者たちも居た。
テンション上がってるなあ。でもそのライガーのマスクめっちゃ高いで。いや、お節介やからそんなことは伝えていない。
お宝DVDの棚を見ていた中年男性の1人に入店してきた別の中年男性が話しかけているところにも遭遇した。
「あ、どうもおひさしぶりです」「お、今日も来たんや」「そっちこそ」
かく云うわたしはレアTシャツとかないか漁ってた。「What?」ってロゴのTシャツないかなあとか探して、なくて、しゃあないから、なんかタダに近い古い雑誌を買って帰った。まさに、What?  でも、アガったりもして。お店のスタンプカードももろて出た。

◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
【Twitter】【Instagram】 など、各種フォローも、とてもうれしいです。

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Webマガジン「Stay Salty」Vol.33巻頭に自己紹介エッセイを寄稿しました。

12月Vol.34からは不定期コラムコーナー「DAYS」も書かせていただいています。

東京・湯島の本屋「出発点」では2箱古本屋もやっています。
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読書にまつわるエッセイ集(ZINE)、
tabistorybooks『本と旅する』もお店と通販で取り扱い中。

旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話)と
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noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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