マガジンのカバー画像

医療サービスの質向上論

9
運営しているクリエイター

記事一覧

なぜわたしたちは忙しい中でも、改善を続けなければならないのか

なぜわたしたちは忙しい中でも、改善を続けなければならないのか

医療の質を改善することを支援していると、時折タイトルのような疑問を呈されることがあります。

「日々の業務でいっぱいいっぱいなんです。だから医療の質を改善し続けていくことは難しいです」

また、これを読んでいる方もそう感じている方もいると思います。日々の業務に加えて、その改善まで現場にやらせるなんて!と憤りを感じている方もおられると思います。

まあ、これに対して様々な視点から考えていくと、自分も

もっとみる
医療の質改善の第一歩は、「ミッション」「目的」「存在意義」を言語化することから

医療の質改善の第一歩は、「ミッション」「目的」「存在意義」を言語化することから

「医療の質とはなんなのか?」をまとめたnoteをたくさんの方に読んでいただきました。本当にありがとうございます!

さて、今回は「じゃあ医療の質を上げるためには、どうしたらいいのか」というところの最初の最初を自分なりにまとめていきたいと思います。

病院や部署の医療の質を上げよう!となると、病院の医療の質担当者や部署の責任者の方々がまずやることは、

自分たちがやっている医療や業務のうち、何か指標

もっとみる
医療の質改善のための「目的と現状のギャップ」の探し方

医療の質改善のための「目的と現状のギャップ」の探し方

ここまでのnoteでは、医療の質とは部署の目的を達成している状態であること、その目的の探し方を言語化してきました。

今回のnoteは、部署の目的を達成するために必要な具体的な改善すること、つまり問題点の見つけ方を言語化していきたいと思います。

ここまでで「部署の目的」「あるべき姿」は言語化できていると思いますが、それを言語化しても、自然と問題点や改善点が発見できるわけではありません。

もうひ

もっとみる
医療の質のために解決すべき、問題点の優先順位の付け方

医療の質のために解決すべき、問題点の優先順位の付け方

ここまでで、医療の質とは何か、目的の言語化の方法、そして目的と現状のギャップの見つけ方について確認してきました。

このnoteは、優先順位の付け方についてまとめます。

あなたの前には、目的を達成しているあるべき姿になるために解決しなけれならない問題点が羅列されていることかと思います。

では、それらすべてに取り掛かるべきでしょうか。

おそらく無理だと思います。

臨床業務やマネジメント業務を

もっとみる
医療の質改善のための「部署の目的の探し方」

医療の質改善のための「部署の目的の探し方」

前回のnoteでは、医療の質を改善するための最初の一歩は、病院や部署の「ミッション」「存在意義」「目的」を言語化するところから…という話を書きました。

ただ、いきなりそれを言語化しようと言われても、難しいと思います。

なぜなら、本来、医療・サービスを業務で行うことは手段であり、目的は「患者さんのため」ですが、現在の診療報酬という制度上、医療・サービスを業務で行うことに報酬がついてくるため、手段

もっとみる
結局のところ、医療の質とは何なのか?

結局のところ、医療の質とは何なのか?

最近、社会保障やDX関連、働き方改革のニュースで頻発される「医療の質」という言葉を聞かない日はありません。

また、院内外の方に自分の仕事について「医療の質を改善してるんですよ」と伝えて返される言葉ナンバー1は、

「医療の質を上げるって指標(数字)を上げる(もしくは下げる)ために管理するってことですよね?」

まあ間違ってはないが…もやもやする毎日を過ごしています。

そもそも

みんなの「医療

もっとみる
標準化される時代において個人としては本当に重要なのは、標準化の外にあること

標準化される時代において個人としては本当に重要なのは、標準化の外にあること

安全で質の高い医療を提供するにあたって、「標準化」は避けては通れないものです。

マニュアルや業務フローをみえる化して、それを共有し、教育することで、だれが業務を行ったとしても、ある一定の質や安全を担保した医療を患者さんに対して提供することができます。

私が病院で任されている業務は、医療の質の改善を推進することですが、多くの部署に対して標準化できるように支援させていただいています。

さて、ここ

もっとみる
診療報酬のためのチームは作らない。あくまで目的は患者さんのため

診療報酬のためのチームは作らない。あくまで目的は患者さんのため

2024年度の診療報酬改定で身体拘束を最小化するような取り組みをしていないと、入院基本料が減額されることになっていました。

そこでの取り組みとして、下記のように身体的拘束最小化チームの設立することが要件として記載されています。

さて、ここでチームを作るうえで、絶対にしてはいけないことがあります。それは、診療報酬を取るという目的でチームを作ることです。診療報酬があると、どうしても病院は診療報酬を

もっとみる

組織の成功循環モデルをもとに、必要な品質マネジメントシステムとは?

医療の質を改善させるためには、組織の質をよくしなきゃいけないよな…と最近考えていたところ、こがねんさんの「組織の成功循環モデル」についての考察があって、ものすごい腑に落ちて理解できました。

こちらを引用および改変させていただきつつご紹介して、それに加えて病院における品質マネジメントシステムに落とし込んだ考察を書きます。

こがねんさんの記事を要約しますと、「組織の成功のためには、ダニエル・キムの

もっとみる