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井の中の蛙、大海を知らず

 ここ10年ほどで、随分日本の仕事事情は様変わりした。一つの会社に留まり、歯を食いしばって働けば、収入を維持でき、老後を暮らすための退職金がもらえ、安泰に一生を暮らせる。もうこういった考えは、若い人たちを中心に変わっていっている。皆、転職を前提に就活をする。日本自体が不安定なのだ。必然と言えるかもしれない。

 皆さんは、どういった考えだろうか。わたしは、一つの場所にこだわって働くことにメリットをあまり感じない。最初に就職した会社に10年いたが、なにもいいことはなかったからだ。閉じた世界で生き続けることは、閉じた世界の中でしか成り立たない自分を作ってしまう。自分に新たな可能性を見出した時、非常に動きづらいのだ。さらに言えば、偏った価値観で得た経験は、異なる価値観の場所で足を引っ張る可能性がある。わたしが、過去に身に着けてきたこと、正しいと思っていたこと、それが盛大に足を引っ張り、すべてを台無しにしたこともあった。経験とは、360度方向に伸びるベクトルの一つを長くしていく作業だ。実は自分の本当にやりたいことが180度逆の方向にあったのであれば、明確に足を引っ張るだろう。経験をするとは年を取るということ。無駄に年を取ってはいけない。

 少し嫌な話をする。以前の記事で、「お金が一番大切だ」と考える人間は自己顕示欲が強いという話をしたことがある。あくまでわたしの考えなのだが、そういった人は、他者と比較することでしか自身の価値を測れないからだ。詳しくは「うつ状態を誘発する価値観」を読んで欲しい。話を戻す。他者と比べて自分を価値を確認する人間は精神障害にかかりやすい。なぜかというと、環境の良い職場には必然的に優秀な人間が集まり、悪い職場にはそれなりの人間が集まる。環境が良い職場では、自分は価値を確認しづらい。悪い職場では、価値は感じやすいが、待遇、仕事の負荷が高いなど純粋に身体を壊しやすい。まだ若いうちは体力でフォロー出来るが、中年になってくるとそれもない。精神と身体は表裏一体だ。身体に無理な負担をかければ、精神も引っ張られ、バランスを崩していく。
 つまり、わたしがなにを言いたいかと言うと、精神的にバランスを崩してしまった経験がある人は、可能な限り早く他者と比較して自分の価値を確認する思考から離れた方がいい。人間である以上、ある程度比べてしまうのは仕方がないが、それを土台にしていると、足元から崩れてしまう。他者と比べない自分になるには、今の自分を納得した上で好きになることが大切だ。なにが出来るから好き、なにかを持っているから好き、ではない。親が子に向けるような純粋で無償の愛情を自分に向けることが出来るかどうかだ。それは誰にでも今すぐにでも出来ることなのだが、それをわたしたちの「経験」が邪魔をする。なぜ、自分自身に愛情を向けることを出来ないのか。それにはなにかの「経験」が関わっているかもしれない。それを解消していくには自身と向き合う以外に道はない。あなたがあなた自身を好きになれない理由。それは、あなたの過去を辿れば見えてくるかもしれない。


 皆さんはどういった現状だろうか。自分を殺して一つの場所のしがみついていませんか。もし、あなたが愛してやまない人が、その人が傷付けられるような場所で苦しんでいたとしたら、あなたはなんと声をかけますか。愛する人にそのまま苦しめと言えますか。一番愛さなければいけないあなた自身を苦しめてはいけない。我慢し、耐え忍ぶことは美徳などではない。
 今一度考えてみて欲しい。自分を大事にするということがどういうことなのかを。

 では、また
 皆さんの行き先に明るい未来がありますように。

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