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めんま、
2019年4月3日 18:52
春が足踏みをしている。平成が終わるらしい。新しい元号が発表された四月の頭、僕たちは新しい道を歩く決意をした。「元気でね」とも「幸せになってね」とも言わなかった。なんとなく、もうすぐそこに別れがあったことを僕たちは察していたのだ。それを恐れて、それより前に僕たちは綺麗な言葉で離れ離れになることを約束した。左手の薬指には、彼女が好きな無名ブランドの指環がくすんだ光を反射
2019年4月21日 02:13
東京はもう葉桜だよ、そんなことはどうでもよかった。最終列車に乗り込むのを諦めた。乗りたくなかった。帰りたくなかった。明日が休みだからなのか家に一人だからなのかは考えないようにした。コンビニで買った缶チューハイはもうぬるくなっている。大好きな人が恋人がだったころ、僕は幸せだったかな。僕は笑っていたかな。不安はなかったかな。見ないふりをお互いに続けて、すれ違いは平行線上
2019年4月1日 22:48
懐かしい匂いが通り過ぎる。23歳になって17日が経った。煙に巻かれた人生の右端で煙草に火を付ける。 ゆらゆら落ちていく現実と灰が革靴を汚したもんだから、舌打ちをして泣いてみたりもした。春が迫ってくる、大嫌いな春がじりじりと。深呼吸、空気をいっぱい肺に取り込んだ。嫌な記憶だけがむせかえるように溢れ出た。嫌いな人参、揺れるイヤリング、葉でいっぱいの桜、泣き虫なあの子。