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ごみの日

懐かしい匂いが通り過ぎる。

23歳になって17日が経った。

煙に巻かれた人生の右端で煙草に火を付ける。

ゆらゆら落ちていく現実と灰が革靴を汚したもんだから、舌打ちをして泣いてみたりもした。

春が迫ってくる、
大嫌いな春がじりじりと。

深呼吸、空気をいっぱい肺に取り込んだ。嫌な記憶だけがむせかえるように溢れ出た。

嫌いな人参、
揺れるイヤリング、
葉でいっぱいの桜、
泣き虫なあの子。

何も思い出せない、思い出すことが苦痛になるような日々が続いていた。

あの日2人で買ったサボテンはいつの間にか枯れていたし、
一緒にめくった雑誌はインスタントラーメンを食べる時の鍋敷きになっている。
汁が染みて、汚れたそれを捨てられない未練だけはずっと僕の隣にいたのだ。

あの子の好きだったバンドの曲を聴いて眠りにつく、これが僕の日課。

明日はゴミの日、
この気持ちも全部、生ゴミと一緒に捨ててしまいたい。
それだけが何週間も心にこびりついて取れなかったのだ。

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