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短編小説『ロックバラード』

私の夢は二度と叶うことがないと分かった日。
私は家で一日中泣き叫んでいた。

堅く閉ざされたドアの前で、母親は何も言わず黙って立っていた。私が泣き止む朝まで、側にいた。私が目を腫らして部屋の外に出てくると、壁にもたれかかったままスヤスヤと眠る母が居て、思わずちょっとだけ笑みがこぼれてしまった。あの日々に、私は一体何を見出せばいいのだろうか。少なくとも、まだ幼い自分にその答えはすぐに出せなかった。


フェリーは苫小牧の港へ着いた。

まだ夜も明けきれぬ冷たい北の町には、真夜中程は黒くなく、朝焼けにはまだ早い群青の空が広がっていた。いくら真夏とはいえ、半袖では肌寒いぐらいだった。愛車である旧車のフェアレディZに乗り込み、古ぼけたのフェリーのスロープを降りる。私は助手席のトートバッグからパーカーを取り出し、赤信号のうちにさっと羽織った。

幹線道路沿いに、オレンジ色に光るセイコーマートを見つけた。そういえば、フェリーの到着が朝早すぎて朝食をとることすら忘れていた。車を止めて適当に物色してみる。あの頃と変わらず、ホットシェフの品ぞろえが充実している。懐かしいや。

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