マガジンのカバー画像

川柳

143
書いた川柳です
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

撫でられた

無数の数字が詰まった無に夢中

原風景は鮮明になっていく

地頭が良さそうな地鶏の地声

きみの手の遠くにある夏 連れていく

辞書はいらねえ 辞書入らねえ

無季自由律書くムキムキな腕で

俺の冷蔵庫魂が火を吹くぜ

タ仏という時間を司る仏

血のついでに心も盗んでいく蚊

アホになることで時空を歪めたい

宇宙人でも楽しめる恐竜展

あみだくじみたいに路を歩いてる

教科書の中であなたは春だった

あのときの瞳と見てる鐘の音

あざやかな後悔の色 好きだった

きみの飛ばした靴に落ちていく空

知らない本の中に知らない夏がある

愛の味 曖昧にまた頷いて

窓の形で幸せを切り取った

眩しくて静かな庭に眠る雨

人格が曖昧なまま見送った

空が完璧じゃないこと知っている

印(度)象

思考の片隅でパンを食べる朝

無意味(ないあじ)であることに意味(いあじ)があった

窓の音 いつか冷たくなれるかな

耳鳴りみたいに、きみは宇宙を漂って

印度象を度外視した印象を持つ

流るる

段落に無数の恋が落ちている

ぬるま湯に解答用紙が浮かんでる

悲しみの雨に塗り絵が濡れている

日常を綺麗と思う 思っている

雨に触る

おだやかな田をたおやかに耕した

綿菓子でまやかしみたいに甘やかし

降っている小雨に触れた傘を振る

生き残ったわたしが星を燃やしてる

優しい場所にひとり取り残されて

羽はない

何食わぬ顔で何かを食っていた

葉が落ちる 羽化して浮かんでいく 光

消えていく 生きていく記憶を描いて

小説を超絶饒舌に語る