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漫画の感想

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昭和生まれの私が読んだ漫画の感想。古いのも多いけれども新しいものもあります。
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2022年11月の記事一覧

大友克洋・矢作俊彦 (気分はもう戦争)

大友克洋・矢作俊彦 (気分はもう戦争)

(1982年発行)

絵は当然上手い。
話の展開も上手い。
内容も面白い。
キャラも魅力的。
中でも<ボウイ>、<はちまき>、<めがね>、の三人組が結構好きだ。

何だか真面目なような、不真面目なような・・・、
この作品が描かれた頃の時代の雰囲気なのかな~~?
いいんだけどね・・・。
結構面白いと思うんだけどね・・・。
何故か心の隅で白けている自分がいるのよね。
何故かな~~~?
・・・と思ってい

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手塚治虫 (火の鳥<異形編>)

手塚治虫 (火の鳥<異形編>)

(『マンガ少年』1981年1月号~1981年4月号)

この「異形編」は41年前のもの。
比較的新しい方だから(えぇ~~っ!自分はまだ生まれてないよ!などと言わないで欲しい・・・笑)
絵柄などが若い人たちにも読みやすいのではないかと思う。

「火の鳥」の話は長大な時間の流れの中で生き、そして死んでいく人間たちの姿を
「輪廻転生」的な世界観を手塚流の解釈を踏まえて描いていく壮大な物語だ。

この『異

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手塚治虫 (ふしぎな少年)

手塚治虫 (ふしぎな少年)

(1961~1962 少年クラブ連載)

最近は山下和美の「不思議な少年」の方が有名かもしれないが、私にとっては
「ふしぎな少年」というと手塚治虫のこの作品なのだ。

主人公(サブタン)は、ふとしたことから四次元の世界に足を踏み入れ、「時間を止める能力」を手に入れる。
初めはこの能力に戸惑っていたサブタンだが色々と悩んだ末この能力を正しい事に使おうと決心する。(そこは手塚治虫の少年漫画。正義感あふ

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手塚治虫 (ジャングル大帝)

手塚治虫 (ジャングル大帝)

(1950年10月号~1954年4月号 漫画少年 連載)

これは、ひときわ輝く手塚漫画の代表作!!

8回本になり何度も描き直ししてその度にストーリーが変わるから、作者本人でさえどの本の筋書きが一番まともなのかよくわからないらしい。(笑)

しかし・・・「あとがき」で作者が書いているのだが、
「ジャングル大帝」の原稿を借りていった男が原稿を返さないまま、お酒に酔いつぶれて自分のアパートで死んでし

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手塚治虫 (火の鳥 太陽編)

手塚治虫 (火の鳥 太陽編)

(1986/01-1988/02 「野性時代」(角川書店)連載 )

手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の第12部で、実質的な最終話となった作品。

一見全く関係のなさそうな7世紀の日本と、21世紀の未来とを交互に描きつつ、
さらにそこに産土神と仏教の神の戦いを重ねあわせるという、三重構造の物語。
手塚治虫お得意の手法だ。

いつものことながら、一見無関係な物語が次第に関連性を持ち始め、最後に見事に

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手塚治虫 (鳥人大系)

手塚治虫 (鳥人大系)

(1971年3月~1975年2月 SFマガジン連載)

手塚治虫の凄さにただただ脱帽するしかない・・・という作品。

これは普通の漫画雑誌に連載されたものではなく、あの「SFマガジン」だったから
特に趣向を凝らしてみた・・・という感じなのかもしれない。

突然知能が発達した鳥たちが人間を滅ぼし
かつての人間のように地球で一番優れた物として君臨する。
しかし、鳥人たちもまた人間たちが犯した過ちを繰り

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手塚治虫 (紙の砦)

手塚治虫 (紙の砦)

「紙の砦」(少年キング昭和49年9月30日号掲載)「すきっ腹のブルース」(少年キング昭和50年1月1日号掲載)「ゴッドファーザーのむすこ」(別冊少年ジャンプ昭和48年1月1日号掲載)「四谷怪談」(少年ジャンプ昭和51年4月12日号掲載)「トキワ荘物語」(COM昭和45年9月号掲載)「ガチャポイ一代記」(別冊少年マガジン昭和45年2月号掲載)

この本に載っている作品には全て手塚治虫自身が出ている。

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手塚治虫 (アドルフに告ぐ)

手塚治虫 (アドルフに告ぐ)

もう、名作中の名作!

毎度の事ながら、手塚先生の話の内容、話の組み立て方には脱帽する。
長編になると、よく使われる手法として、一見全然別の話が平行して描かれ、それらが最後に全て合わさるのだが、その合わさった時の「快感」!・・・何度味わっても気持ちがいい。
勿論、この「アドルフに告ぐ」でもその手法が使われている。
ただ、もう新たな快感に出会うことがないのは、非常に哀しい。
手塚さんが亡くなってもう

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手塚治虫 (マコとルミとチイ)

手塚治虫 (マコとルミとチイ)

これは言うなれば手塚家の家庭生活を漫画にしたもの。

最初は、赤ん坊や子供の心と神様との対話という子供の目に映る世界を描きたかったようだが、読者に煩わしがられていつのまにか漫画家手塚一家の日常描写になってしまったらしい。
私としても最初の方より日常描写的になった方が面白い。

実は私がこの本を買って一ヶ月か二ヶ月後に手塚治虫氏が亡くなった。
だから、この本は私にとって手塚治虫氏が生きていた時に買っ

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安野モヨコ  (脂肪と言う名の服を着て)

安野モヨコ  (脂肪と言う名の服を着て)

(1997年発行)

基本的に女のドロドロした話はちょっと苦手です。
この作品もパラパラッと立ち読みしてみるとそういう”ドロドロ系”に思えたので、なかなか買わなかったのです。
・・・が、何故かちょっと気になる作品だったんですよね。
何が気になるかって、やっぱりインパクトのあるタイトルでしょう。

「脂肪と言う名の服を着て」

このタイトルを思いついた時点でこの作品は成功ですよ。
そんな気がします。

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岡野雄一 (ペコロスの母に会いに行く)

岡野雄一 (ペコロスの母に会いに行く)

お涙頂戴でもなく、悲惨な介護の様子でもなく、淡々と認知症の母と息子(作者)のことを描いていて非常に読みやすいものでした。

読者はその年齢や体験で、それぞれ捉え方や感じ方が違ってくるかもしれませんがそれはそれでいいと思います。

私もまあいろいろと感じたのですがそれは個人情報なので秘密です。(笑)

しかしですね~、私は今は一応介護する側の年齢なんですけどね、今後介護される側になる可能性もあるわけ

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おざわゆき (シベリア抑留記 凍りの掌)

おざわゆき (シベリア抑留記 凍りの掌)

↓この感想は、私が2013年に書いていたものを再掲載したものです。
この中に「伯父のシベリア抑留記」のサイトの紹介があるのですが、もう10年近く前の情報なのでなくなっているかもしれないと思ったのですが今でもちゃんと残っていました。興味のある方は是非読んでみてください。私自身ももう一度読み返してみようと思っています。

作者の実父のシベリア抑留体験を元に2年半かけて描いた作品。
実際に戦争を体験した

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Yasuko Aoike (FROM EROICA WITH LOVE Vol. 7)

Yasuko Aoike (FROM EROICA WITH LOVE Vol. 7)

上が英語版、下が日本語版。
ちょっとサイズが小さいのでわかりにくいかもしれないけれど、印刷の色が断然英語版の方が美しい!!たぶん原画に近い色なのだと思います。
数年前に原画を見たことがあるけれど、それはそれは美しいものでした。
今も吉祥寺で原画展をしているようですが、近ければ行きたかったんですけどね、ちょっと遠いので今回は断念致しました。

この7巻で、<ピップ・エレキバン>が出て来るシーンがある

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Yasuko Aoike (FROM EROICA WITH LOVE Vol. 6)

Yasuko Aoike (FROM EROICA WITH LOVE Vol. 6)

上の画像は英語版。下の画像は日本語版。

キャー!伯爵と少佐が英語でしゃべってる~~!!ステキ~♪

・・・と、思わず叫びそうになっちゃいました~!ww

実際の所、私が思う二人が会話してるシーンでは
たぶん伯爵は英語をしゃべっていて、少佐はドイツ語をしゃべってるのではないかと思うんですよね。

お互い相手の国の言葉は話せるけれども自国語をしゃべっていると思うのです。
特に少佐は伯爵相手に絶対に英

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