手塚治虫 (紙の砦)
「紙の砦」(少年キング昭和49年9月30日号掲載)
「すきっ腹のブルース」(少年キング昭和50年1月1日号掲載)
「ゴッドファーザーのむすこ」(別冊少年ジャンプ昭和48年1月1日号掲載)
「四谷怪談」(少年ジャンプ昭和51年4月12日号掲載)
「トキワ荘物語」(COM昭和45年9月号掲載)
「ガチャポイ一代記」(別冊少年マガジン昭和45年2月号掲載)
この本に載っている作品には全て手塚治虫自身が出ている。
話自体はほとんどフィクションだろうが、手塚自身が実際に体験してきたことを元にしているのは間違いないだろう。
「トキワ荘物語」以外は全て「戦争」体験が出てくる。
毎度思うことだが実際に戦争を体験した経験のある漫画家はかなり少なくなってしまった。
声高に「戦争反対!」と叫ぶわけではないが、さりげなく「戦争の虚しさ」というようなものを
テーマに子供向けに描いてきた手塚の想いを引き継ぐ者が(例え実際の戦争体験がなくても)たくさん出て来て欲しいと思う。
「紙の砦」のラストで若き日の手塚が叫ぶ!
「ウワー ウワー
終ったーっ ウワーハハ
ぼくは生きてるぞ
生きのびたんだーっ
ウワー ウワー
マンガを書くぞっ
ぼくは…これから だれにも えんりょせずに
マンガを書いてやるぞっ」
「すきっ腹ブルース」のラストで若き手塚が呟く。
「どうして こう腹がへるんだ……
いまから三十年先……
腹いっぱい 安く
食える時代が くるかなァ……」
「ガチャポイ一代記」に出てくるマンガの神様と手塚の会話。
「いま 日本はマンガブームになっとるから
わしも見かけは はでだな!
だが わしの中身は……」
「やせほそってる!」
「どういうわけか わかるか
いま 日本には
ほんとうに中身のある マンガが すくないのだ
だから わしはこのとおり
いまだにふとれないんじゃ」
「神さん……
マンガの神さん!!
おれは約束を守るぜ
きっと……
きっと!!」
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