「このまま会社員でいいのかな?」脱サラして農家になった2組に聞いてみた
愛知県知多郡で、化学肥料・化学農薬を使わない栽培を行う「知多の恵みグループ」。
メンバーは10人を超え、新規就農や家業を引き継いだ30~40代の若手が多く活動しています。
農家の高齢化が叫ばれる中、新しく農家になる新規就農は希望の星。
今回は、新規就農2組に農業を始めた理由や新規就農ならではの苦労を聞きました。
青木農園ってどんなところ?
地元で農業を盛り上げたいとの思いから、2021年から愛知県半田市で農業を始めました。
カブ、ピーマンをメインに栽培しています。
栽培面積はテニスコート38.6面に相当する、1町歩(約1ha)!
就農のきっかけ
大学の卒業論文で、脱サラした新規就農者をテーマに調査していた青木さん。
新規就農者は農地を借りることが難しいといわれている中、有機農業を目指す新規就農者がどのようにして農地を借りられたのかについて調査していたそうです。
その時に出会ったのが知多の恵みグループのメンバーでした。
調査をしていくうちに、農業者になりたいという気持ちが芽生えそう。
「一度社会人を経験すべき」といわれ、大学を卒業後6年間のサラリーマン生活を送りましたが、どうしても農業をやりたいという夢が忘れられず脱サラ。
調査でお世話になった知多の恵みグループの太田農園で勉強し、今に至ります。
さらなる目標は「encho」!?
青木さんの夢は、農業をすることだけにとどまりません。将来的に、保育園と畑を合わせた複合施設を運営することを目指しています。
子ども好きな青木さん。
子どもたちが気軽に畑で遊べる環境をつくり、encho(農園長×園長先生)として成長を見守っていきたいそうです。
有機農業を選択したのも「子どもが口に入れても安全なものを」との思いから。
「いつでも食べていいよ!」と自信をもって言える環境を整えるべく、試行錯誤しながらも農薬不使用で栽培を行っています。
知多の恵みグループ 青木さんに聞いてみた!
カブを栽培しようと思ったきっかけは?
もえぞー:なぜカブを栽培しようと思ったのですか。
青木さん:知多の恵みグループ内でカブを栽培している人がいなかったので、独立のタイミングで本格的に始めました。
その後、アイチョイスの野菜を担当するコープ有機の担当者から「これが本物のカブだよ」と、のらくら農場(長野県)のカブを渡され、その美味しさに衝撃を受けたんです。
それからは、のらくら農場さんのような甘くてみずみずしいカブを栽培しようと、BLOF理論を取り入れた栽培法に挑戦中です。
今までで一番苦労したことは?
もえぞー:今までに一番苦労したことは何ですか。
青木さん:2023年の夏に栽培していたピーマンが全滅したことですね。
青枯れ病(※)が発生し、一度は広範囲に影響する前に止められましたが、その後雨が降ったら畑全体に広がってしまい、ひと夏が終わりました・・・。
農業って相当リスクがあるなと感じたいい経験です。
※青枯れ病・・・日中は葉が青いまま萎れ、夜間やくもりの時にやや回復する病気。回復を繰り返しているうちに枯死する。
組合員さんへのメッセージ
もえぞー:組合員さんへのメッセージをお願いします。
青木さん:いつも買い支えていただき、ありがとうございます。
畑には「だれでも受け入れられる場所」という側面があると思います。
美味しい野菜を育てるのはもちろん、保育園をつくって、子どもたちやその家族、保育士さんたちを巻き込んで、にぎやかな場所にしていくので、応援よろしくお願いします!
農園ベジーネってどんなところ?
2020年に「農園ベジーネ」を立ち上げた、ポージン夫妻。
ベジーネには、育てた野菜「ベジタブル」を通じて、みんなが喜ぶ姿「いいね!」を大切にしたいとの思いが込められています。
メイン野菜はきゅうりとブロッコリー。
多品目栽培だと、ひとつの品目にかける時間が多くなってしまいますが、栽培する種類を絞ることで、安定的かつ効率的に栽培しています。
プライベートでは2児のパパママです。
就農のきっかけ
工業系の企業に勤めていたお二人ですが、20代後半でこのまま会社員を続けることに疑問を持ったそう。
自然やベランダ栽培が好きだったこともあり、農業という選択を考えるようになりました。
まずは農業について知るべく、働きながら慣行農家のもとで、2年間お手伝いを開始。
その後脱サラし、知多の恵みグループの太田農園で有機栽培について勉強をスタートしました。
市場に出荷するのではなく、自分たちの野菜だから購入してくれる、そんなこだわりの野菜を販売したいと考え、BLOF理論を軸にした有機栽培にチャレンジしています。
地元とのつながりを大切に
農園ベジーネの畑がある愛知県武豊町は味噌づくりが盛んな地域です。
溜(たまり)醤油と呼ばれる、味噌玉を発酵させてつくられた醤油の産地としても有名で、いくつもの蔵元があります。
農園ベジーネでは、地元で活用されていなかった、溜醤油をつくる時に出る醤油かすを肥料として活用。
農業を通じて、地域の資源循環させていきたいとの思いから始めたそうです。
地域の一員として、人とのつながりも大切にしたいと、畑近くの保育園とのイベントも開催。
今年度はにんじんの収穫体験を予定しています。
知多の恵みグループ ポージン夫婦に聞いてみた!
農業を始めるための準備
もえぞー:農業を始めるために準備しておいた方がいいことはありますか?
ポージン夫妻:お金・・・ですかね。
耕作放棄地から始める場合、なかなか最初は野菜が育ちにくいです。
なので、最低でも1年分の生活費の確保は必須。
トラクターなど最初の機械投資もできると理想です!
わたしたちは1年目から必要な農機を購入して、必要に応じて買い足していきました。
おすすめのレシピ
もえぞー:子どもが喜ぶブロッコリーレシピを教えてください。
ポージン夫妻:偏食期に突入したわが子ですが、ブロッコリーを丸ごと刻んで、チーズと片栗粉を混ぜ、お好み焼き風にしたらパクパク食べてくれました。
チーズの塩気がブロッコリーと合うので、おすすめです。
組合員さんへのメッセージ
もえぞー:組合員さんへのメッセージをお願いします。
ポージン夫妻:農業は生産から販売まで自分で携われるので、購入してくれた方の声を聞くことができるのが魅力です。
これからもより美味しい、品質の良い野菜をたくさん収穫できるように頑張りますので、今後とも応援・ご協力をお願いいたします!
青木さん、ポージン夫妻の夢はまだまだ続く!
私もえぞーは、前職で新規就農を希望する方と一緒に農地探しをした経験があるのですが、思うような農地が見つからず苦戦しました。
このほかにも、新規就農には栽培技術の習得や販路の確保など、さまざまな壁が立ちはだかります。
一から販路を見つけるのは難しいですが、今回取材した2組は知多の恵みグループとして、共同出荷を行うことで、栽培に専念できる環境を整えていました。
知多の恵みグループに支えられながら、2組は持ち前の根気強さと行動力を武器に、資金調達や年間の栽培スケジュール管理を含む農業経営を軌道に乗せています。
また、2組とも農家になるのがゴールではなく、農家としてこの先やっていきたいことが明確。
青木さんは「encho」(農園長×園長先生)、ポージン夫妻は地域との共生などの目標があるからこそ、よりいっそうの工夫を重ねていて、とても頼もしく感じます!
化学肥料・農薬を使わないというただでさえ難しい農業を選んだ2組。
夢に向かって進む青木さんとポージン夫妻を応援するため、これからも買い支えていきましょう!
👇この記事を書いた人
※こちらの記事は、2024年3月22日「みっくすなっつ」に投稿された内容です。
👇もえぞーが書いた記事はこちら
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