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財務諸表ナナメ読み(PLの超基本)|M&Aアドバイザー超初心者向け基礎知識!⑤

こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。これからは女性M&Aアドバイザーを育てたいと考えており、「超初心者」向けにノウハウを発信しています。

今回は損益計算書のお話です。

損益計算書を知ろう

損益計算書(Profits and Losses/Income Statement)とは、当期1年間における収益・費用がどれだけ発生したのかを報告する財務諸表の一つです。家計簿やお小遣い帳に近いので、貸借対照表よりもイメージしやすいかもしれませんね。

この損益計算書は、大きく下記の13行に分類されて起票されます。

(この13行は社会人の常識です!)

①売上高

まずは売上高からスタートします。「トップライン」というやつですね。当期1年間において、売上として認識された金額はいくらなのかがここでまとめられています。

「売上高として認識される金額」というのは、各社の「収益認識基準」のルールに則っています。

例えば、お客さんから発注を受けたとしても、発注書をもらった瞬間に「売上高」に計上する会社は少ないでしょう。商品がお客さんに届いて、お客さんからも「届きましたよ」というサインが得られて初めて「納品完了」とされ、売上に認識されるなどのケースが多いかもしれませんね。

システム開発企業であれば、要件通りにシステム開発が完了し「検収」となったら初めて売上高に計上されるということもあるかもしれません。

業種業界によって売上高に認識するタイミングというのは様々なルールが存在しますので、多くの業界に触れて学ぶと良いと思います。

このルールを故意に逸脱して「無理やり今期の売上にねじ込もう」とするインセンティブが働くと、不正会計が起こりやすいので注意が必要です。

②売上原価

売上原価というのは、「今期に売れたものの原価」です。

もう一度言います。今期に「売れたもの」の原価です。つまり、ここには、今期に仕入れたけども売れなかった商品の原価というのは含まれないということ理解しておきましょう。

売上原価というのは、原則としては下記の式で計算をされます。

売上原価=期首商品棚卸高+期中商品仕入高ー期末商品棚卸高

(きほんの「き」。でも知ってるだけで格が上がる…!?)

上記の式を図にするとこんな感じです。

(簿記の計算で良く出てくるBOX)

売上原価というのは上記の通り、期首から持っている在庫に、今期仕入たものを加算して、期末に残っていた在庫を差し引くという方式で、間接的に売上原価を算出しています。

ちなみにこの中に、人件費などの労務費や経費も含まれるケースがありますので、「仕入れ商品の金額だけ」ということではありません。

また、この売上原価の算出方法も、業種業界によって多種多様であることを覚えておきましょう。

例えば、1粒で数百万円くらいするダイヤモンドなどの宝石や、1本で数千万円もする高級時計など扱う会社の場合、上記の売上原価算出式ですと、「各個体で実際にいくら稼いだのか?」というのが曖昧になってしまいます。なので商品点数が少なかったり、個体の金額が大きかったり、仕入価格の差が激しかったりするビジネスの場合には、1個1個の商品の仕入高と売上高をきちんと把握して利益計上する方(「個別法」)が経営目線で良いケースもあります。

主に製造業では上記の式「期首+期中ー期末」を当てはめることがほとんどですが、会社によって違うということを認識しておきましょう。

③売上高総利益

①の売上高から②売上原価を差し引いたものが売上高総利益です。よく「粗利」と言われるものです。本業の商品・サービスの販売によって利益がどれだけ捻出できているのかということを表しているので、ビジネス上最も重要な利益項目であると言えます。

④販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費(販管費)の中には、主に下記のような費用が含まれます。

・人件費
・光熱費
・減価償却費
・広告宣伝費
・接待交際費
・地代家賃
・通信費
・旅費交通費
・会議費

(無数にありますYO)

事業運営上、必要となった経費は大体この販管費に含まれます。とくに、毎年恒常的に発生するものがここに計上されます。

⑤営業利益

売上高総利益から、販売費及び一般管理費を差し引いたものを営業利益と言います。商品やサービスによる売上高とその利益だけでなく、事業運営に必要とされるコストを加味した利益ということなので、M&A上、買手企業にとっても「仮に対象事業を承継したら、獲得が期待できる利益」という風に見られるので非常に重要です。

営業利益をベースにM&Aを検討する買手企業は多いです。M&Aはゼロから事業を立ち上げるのと比較して、買収することで「時間を買える」メリットがあります。そのメリットの価値をどう金額で計算するかというと、「営業利益の●年分(3年くらいが多いが、業種に依る)」という風に考えることが多いです。

⑥⑦営業外収益/営業外費用

ここからは、本業以外の収益や費用が計上される区分になります。営業外収益や費用は例えば下記のようなものがあります。

【営業外収益】
・受取利息
・受取家賃
・雑収入
【営業外費用】
・支払利息・雑損失

⑧経常利益

営業利益から、営業外損益を考慮した利益を経常利益と言います。よく「ケイツネ」とも呼ばれますね。会社運営上は、各期の経常利益を重視してKPI設計などをする組織もあると思います。

⑨⑩特別利益/特別損失

さらに、突発的に発生した収益や費用については「特別」項目に分類されます。
例えば社長が亡くなったことで得られる保険金。毎年起こり得ることではないので「特別」利益です。(毎年起こっていたら大変です。)

また、よく見るのは固定資産を売却時の収益計上です。当期中に、会社が保有する固定資産を売却した際に、簿価よりも高く売れれば「固定資産売却益」が出ます。簿価よりも安く売れれば「固定資産売却損」が計上されます。

⑪税引前当期純利益

当期の収益費用の計上は終了です。ここまでの収支を正味した利益を「税引前当期純利益」と言います。

⑫法人税等

最後に、今期の収支状況に応じて、支払うべき税金の計算がされ、費用として計上されます。

ここで、税法上の「課税所得(税金が課せられる金額)」と、会計上の「利益(財務諸表上の利益)」というのは違いがあります。

複雑になってしまうので深入りしませんが、会社が払うべき税金というのは、この損益計算書の税引前当期純利益に税率がかけられた分になるということではなく、税法に則った計算ルールによって別計算され、決算が終わってから税務署へ税金を支払うということだけを覚えておきましょう。

⑬当期純利益

最後の1行に、当期捻出できた利益として当期純利益が記載されます。「ボトムライン」と呼ばれるものですね。

この当期純利益の金額は、貸借対照表の「純資産の部」に毎期加算されます。

なので、貸借対照表と損益計算書の概要が理解できた上で、次回は「純資産の部」に進みます。

本日はここまでです。

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ではまた♪Adiós❤

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