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財務諸表ナナメ読み(純資産)|M&Aアドバイザー超初心者向け基礎知識!⑥

こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。これからは女性M&Aアドバイザーを育てたいと考えており、「超初心者」向けにノウハウを発信しています。

今回は貸借対照表の中の「純資産」だけをピックアップしてお話します。貸借対照表自体はこちらの記事で説明していますので、まずはそちらを読んでくださいね。

純資産を知ろう

まず、貸借対照表の中で、純資産は下記に位置しています。

右下!

純資産とは、「資産」-「負債」です。つまり、企業が期末日時点で保有する正味の資産ということです。

例えば、期末日時点で1000万円の現金資産を持っており(資産:1000万円)、その時点で長期借入金を800万円持っていたとしたら(負債:800万円)、純資産は200万円ということです。

純資産をもっと知ろう

純資産の内容というのは、ざっくりですが下記のような構成になっていることが多いです。

簡易版ですYO!

株主資本とは

純資産の部の中身は、上記の例でいうとほとんどが「株主資本」という大きな枠にくくられています。(そうでないものを「自己株式」としています。)この純資産の部というのは、そのほとんどが、株主に帰属すべき収益である、ということです。

脱線しますが、会社というのは誰のものでしょうか?

残念ながら社長のモノでもなければ、従業員のモノでもありません。株主のモノです。(中小企業では、社長=株主のことも多いですが。)

会社は株主の所有物ですので、会社の資産も負債も(貸借対照表で表す)、利益(損益計算書で表す)も、株主のモノであるということです。

損益計算書で表す利益はどのように純資産に反映されているのかと言いますと、毎年、「当期純利益(損失)」が、「繰越利益剰余金」という科目に加算されていきます。

「繰越利益剰余金」は、利益の貯金箱!!

つまり純資産というのは、その時点での資産と負債の状況と、過年度の利益の獲得状況の両方が加味された数値であると考えてください。

一応、「自己株式」についても触れておきましょう。自己株式というのは、その企業自体が自社で保有している自社株のことを指します。

自己株式も有価証券のひとつという意味で立派な「資産」なのですが、自社の株式については純資産の部でまとめて記載をするため、純資産で「自社で保有している分はいくらです」と表します。本来は「資産(借方側)」に帰属する勘定なので、「自己株式 ▲○○円」という風に純資産のマイナス項目として表記されます。

M&Aで「譲渡対価」のベースになる

「現時点での資産・負債の保有状況」「経年の収支状況」が加味されたものがこの「純資産」であると何となく伝わったでしょうか。

M&Aでは、対象会社の株式価値を算定するためにこの純資産がベースとなることが非常に多いです。少なくとも、その会社の「過去」「現在」の実績が反映されており、会社の評価するのには一番わかりやすいからでしょう。

「未来」はどうなのかというと、誰も未来を読むことはできないのでこれが非常に難しいテーマです。

ただ、M&Aというのは、ゼロから事業を立ち上げることと比較したときに「事業立ち上げまでのスピードを買う」というメリットを狙うことが多いため、M&Aによって早期に得られる利益というのをこの「未来」の評価に範囲させることが良くあります。

具体的には、その「未来」を「M&Aによって3年分は得する」と捉えるのであれば「営業利益の3年分」を未来の価値とし、「純資産+営業利益の3年分」を株式の価値(=譲渡対価)とする、なんていうケースがよく見られます。

貸借対照表の純資産は「簿価純資産」

ここで、忘れずに認識していただきたいのは、決算時に企業が作成する貸借対照表というのは「簿価」です。単なる会計帳簿上の評価額です。

つまりこの貸借対照表の純資産は、「簿価純資産」です。

但し、M&Aでは基本的には「時価純資産」を評価するべきです。「第三者にいくらで売るべきか?いくらで売れるのか?」という議論をしているわけなのですから。

簿価純資産から大きく相違なく売却対価が決定することもよくありますが、簿価純資産=株式価値と決定することはときには危険であることを認識しておきましょう。

「危険」までいかなくとも、「適正でない」ことが起こりやすいと思います。

なぜかというと、貸借対照表の記事でも書きましたが、決算書上の「資産」は、本当にその数値通りの価値があるのかどうか、疑ってみる必要があるからです。

棄損している在庫のマイナス評価を反映させる必要があるかもしれません。逆に、希少価値の高い特殊な機械設備を保有している場合には価値を高く評価してでも買収を進めたほうがよいケースもあり得るでしょう。

或いは、貸借対照表には載っていない、技術力の高い従業員や、優良な取引顧客なんかも、株式価値に加算すべきケースもあります。

これらの「本来の価値」を把握して譲渡対価に反映させなければ、売主/買主が損してしまうケースが起こりえます。

「会社の時価純資産がいくらか」というのは議論の余地が発生しやすく、交渉になりやすい部分ではありますが、「どう考えるべきか」「何が適正か」という観点で両者に納得してもらうように交渉をまとめるのがM&Aアドバイザーの仕事です。このあたりは譲渡対価の話でまた別途書きたいと思います。

今回は純資産の話と、M&Aで純資産をどう扱うのかを少しお話しました。


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