買手企業に必要な素質①|M&Aアドバイザーのつぶやき
こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。
今日は、日々、私がM&Aアドバイザーとして仕事をする中で思ったことなどをつぶやく「M&Aアドバイザーのつぶやき」と題する雑談回とします。
最近、M&Aの買手企業に必要な要素についていろいろと思うところがあったので綴ってみたいと思います。
M&Aは手段であって、目的じゃない
まず、M&Aというのは経営戦略のひとつであって、M&Aする=企業を買収することというのは、目的ではないことを明確に認識しておく必要があると強く思います。
最近、事業承継とかM&Aとか、わりとブームになっているので、「案件紹介してください!」と声掛けいただくことが多いです。
こういった声を経営者から聞くことが多いのですが、いつも私はその先の答えを聞きたくなってしまいます。
「M&Aを実行して、その先に何を目指しているんですか?」と。
ここに応えられない経営者に対しては、まずM&A案件は紹介しません。
以前、「M&Aをやってみたい」という社長に、この問いかけをしたところ、こんな答えが返ってきたことがあります。
「え、そりゃその後のキャッシュアウトを狙うためですよ!」
PEファンドなどの投資会社が、数年の会社保有期間を通じてバリューアップして、投資金額よりも高く売却をすることで収益を得るということなら、プロのビジネスなのでその狙いは理解できます。
ただ、「投資もM&Aも初心者」、かつ「異業種のM&Aも検討したい」という事業者が、M&Aの目的が「そのうちキャッシュアウトを狙いたいから」だと、あまりにも曖昧で、目的達成可能性が全く見えません。
さらに言うならば「キャッシュアウトして、何がしたいの?」と聞きたいところです(聞いても無駄だと思ったので聞きませんでしたが)。
そんな買手企業に買われた会社が、幸せになるとは思えませんよね。
そこに「必然性」があるのか
M&Aというのは企業の成長戦略のひとつです。
これまで良いM&A案件の成約に至った買手企業にはこんな長期経営戦略がありました。(内容は若干脚色しています)
このような戦略を実行するためのM&Aであれば、M&Aの必然性があります。
この「必然性」というのは、めちゃくちゃ大事です。
こういった意思の強さと覚悟がある会社さんに案件をお持ちしたいと強く思います。
逆に、このくらいの気概がないと、そう簡単にM&Aなんて成立しません。
DD(買収監査)でいろんな問題がでてくるかもしれないし、PMI(統合後プロセス)においても、企業カルチャーや歴史が違うわけですから、非常にエネルギーがかかります。
意思の強さと覚悟がないと、すぐにDD中に「やっぱりやーめた!」とか、PMIでも「譲渡契約を解消したい」という気持ちになってしまいます。
売却する側の会社は、30年や40年、手塩にかけた会社を譲るわけですから、「やっぱりやーめた」なんて言われるくらいの軽い覚悟で臨んでほしくないわけです。
逆に言えば、M&Aは「戦略のひとつだ」と、その先にある大きなゴールを描いていれば、DDやPMI中のちょっとしたトラブルなんて「さっさと解決して先に進まなければ」と毅然とした態度で対処することができます。
買手企業を1社に絞る際、私はこの「必然性があるかどうか」という点をすごく大切にしています。
書いていたら長くなりそうな気がしてきたので、この「つぶやき」シリーズの続編でまた買手企業に必要な要素を書いてみたいと思います。
本日はここまでです。
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