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詩『Chewing 、我、夢、パラダイス』

した、
□□            した
(嚥下した、)         
いのち以前の、未熟な、卵、を、
舌、で、しずかに、回送していった、
其処に、死(詩)は、あ、る、ーーーー
      (留守……居留守……)
         の、
          か、
           な、
            い、
             の、
              か、

い、  の、なか、の、かわず、
           かわず、 に
           い   た
           たま   ご
        か、わ、な、  い
        かわ、  な、 い
わ、け、     に、  は、
     いか、   な、   い
               から
                (空)
       (身体) の、ため、に      

*     *     *

一パック100円ちょっとで買えていた価格の優等生が急激に値上がりして、いのちが白紙ではないと知った。鶏を朝引きして、それだけでは飽き足らず、卵まで搾取する。牛を屠殺して、肉を熟成させて、どんどん肉を焼いて、どんどん煙を出して、残飯をたんまり捨てて、乳をたんまり搾り取る。豚をさんざん太らせて、その肉を貪る。お母さん豚は肉用の豚を産むための機械として扱われている。毎日、朝ご飯に提供される目玉焼きや出汁巻きやウインナーやハム……みんな、みんな、いのちの産物なんだ。無限に溢れ出てくる魔法の食べ物じゃない。犠牲になったいのちなんだ。食物連鎖と生態ピラミッドと食糧事情と人工増加。もおー。もおー。もおー、こんなにもimbalancedな需要と供給はたくさんだ。猛暑に家畜が悲鳴を上げていた。

*     *     *

し、た、   い、い、い、 たい
■■            いた
(開いた、) 
いのち以前の、あかい、魚卵を、
口、の、なかで、弾いて、いった、あかい、汁、
さかな、の、濁った、眼、
ひら、  い た、まま、の、      
           ままかり
           継母、の
           間借り、の
             飯借り
        そのまま、の、口
             開いて
          飯、捨てるな

底に、詩(歌)、は、流れて、ーーーー
      (流浪……反流浪……)
      い、
       る、
        の、
         か、
          い、
           な、
            い、
             の、 
              か、
たま   ご、を、ぶつける
        輩、に、は
          天誅を

10、chew、
10、chew、 
        (chewing、我、夢)
一口、あたり、
10回、以上、  噛み ま しょう
もしもし……
(Hello?)
よく噛めよ、噛みなさい、 
命を、噛みしめ、なさい、
 
*     *     *

黄身の黄信号が点滅している
白紙の白身に情報が記されて 
三色の鶏頭の花が咲き乱れる
炎が燃えうつるように揺れて
ひとびとの眼に焼きつくのだ
鶏冠が赤く、赤く、波打って
ひとびとを呑みこんでいった
 
*     *     *

工場のベルトコンベアに乗せられて
ロボ鶏がひとつずつ卵を産んでゆく
毎朝、こどもたちが殻を突いている
内側から、『おぎゃあ!』

もしもし……
(Good morning、
        chewing、我、夢)

今日という日をよく噛みしめなさい



photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、yamamotravelさん)
photo1、2:Unsplash
design:未来の味蕾
word & poem:未来の味蕾

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