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(詩)満ち足りた人生
満ち足りた人生 休日の午後
いつもの喫茶店で
読書にも飽き
外の雨が上がるのを待っている
目の前のカップには
コーヒーが半分入っている
砂糖を入れてかき混ぜても
見た目は何も変わらない
こういう無為な時間は良くない
つい昔を振り返って感傷的になる
初めて喫茶店でコーヒーを飲んだのは中学の時
親に連れられて入ったのだが
家で飲むインスタントとの違いに驚いたものだった
あの頃 世界は魔法のような
(詩)灯芯
灯芯
凍てつく冬の夜
細いからだを捩らせて
黒く冷え固まってしまった君
芯が心を無くしては
燃えてなくなる枯草のようなもの
自分が燃え尽きては光が消える
さあ力を抜いて
かぐわしい油に身を浸せば
いのちがゆっくり沁みてくる
それから静かに火を点せば
どんなにか弱い糸であったとしても
尽きぬいのち燃やして輝けるだろう
(MY DEAR 332号投稿作)
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(好きな詩)わたしたちが正しい場所
わたしたちが正しい場所 イェフダ・アミハイ
わたしたちが正しい場所からは
花はぜったい咲かない
春になっても。
わたしたちが正しい場所は
踏みかためられて かたい
内庭みたいに。
でも 疑問と愛は
世界を掘り起こす
もぐらのように 鋤のように。
そしてささやき声がきこえる
廃墟となった家が かつてたっていた場所に。
(村田靖子訳)
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イスラエル・パレスチナにおける、いつ果て