(詩)花
花
この小さな白い花は
十五の時の失恋から
となりに群れている薄紫の花は
同僚からの誹謗中傷から
むこうに咲いている真紅の花は
親友の裏切りから育ったもの
心がえぐられた後
そこから何かが生えてくる
茨 毒草 あるいは美しい花が
心の園丁の仕事は
何が生えているかに注意して
雑草を取り除き
花を守り育てること
多く傷つき 多く癒やされ
幾多の失敗を経た今
この庭は花で覆われている
風が吹くと
ほのかに甘い香りが広がる
今目の前にあるのは
まだ真新しい傷あと
何も生えていないくぼみ
痛みに耐えながら
ここにどんな花が咲くか
夢見ている
(MY DEAR 331号投稿作・改訂済)
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