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「ケーキの切れない非行少年たち」 を読んで 1

noteの題名を入力するときに1度Enterを押すと本文部分にカーソルが移動するのを本当にどうにかしてほしい(笑)。単純に"確定"の意味でEnterキーを押したいだけなのに。同じことを思う人はいないだろうか。


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小説ではない本の感想 というのは書きづらいことに加えて、この本の内容は以下のようなものだ。内容が内容、という感じだ。(あらすじは以下、amazonページから引用)

「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口幸治

児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

内容はハッとさせられるというか新しく知ったことが多かったのだけれど、なんというか編集が残念すぎた。非行少年たちの知能がいかに低いのか、どんなことができないのか みたいな話が永遠と続き、じゃあそういう少年のためにどんな支援をすれば良いのか、という1番知りたい部分(大事な部分)が最後の1章しかないのだ。今の教育がダメというならどんな部分がダメでどういう風に変えていく必要があるのか?という話があまりにも少なかった。

"境界知能の子達にはコグニティブトレーニング(認知機能の訓練)が必要"というのが筆者の主な主張なのだが、結局のこのトレーニング方法を宣伝したいだけという批判意見も多いようだった。(というのも、筆者がこのトレーニングを考案したため。)このトレーニングをした後の効果が良く分からなかったし(なんらかの効果があったから本に書いているとは思うけれど)、もう少しそこの部分を伝えてほしいような気がした。
「1日5分で日本を変える」という謳い文句("つり"かな?)は朝の会でこのトレーニング(通称コグトレ)を5分間行うことを示している。確かに特に教員をしている方々(特に小学校の)には読んでほしいなぁと私でも思う本ではあった。
(コグトレの説明をすると長くなるので割愛)


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この本の要点を知りたければ amazonの上位レビューを見ると良い。本を買うか迷う人も何人かのレビューを見ればこの本の内容はもうすでに分かってしまうというレベルでレビューの内容(言ってみれば個人個人の意見)が興味深い。


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ここからは自分が「ん???」となった点について書いていく。

84ページより

ストレスの原因は共通しています。"イジメ被害"です。(略)発達障害や知的障害のため対人スキルが乏しく、イジメ被害に遭い、さらに性非行につながっていった少年たち。これぞまさに"被害者が加害者になる瞬間"です。

イジメの被害者がさらに被害者を生む。被害者は加害者を責める権利があるけれど、なんとなく(最初の)被害者の気持ちを考えたら、責めきれないと思うのは綺麗事だろうか。綺麗事だろう....。

でも世の中には障害があるかどうかに関わらず、「イジメられた」という経験を持つ子供が、「イジメる」ということをしてしまっている事例が多くあると思っている。自分が傷つけられたからといって誰かを傷つけていい理由には決してならないけれど、"やらなければ自分がイジメられる"、"もう2度とあんな思いは(イジメのターゲットが感じるような思い)したくない"という気持ちからイジメに加担してしまうことはあるのだろう。

加害者は被害者にとって"悪"でしかないけれど、加害者の陰に隠された 実は普段気づかないような障害や、親との不和や、些細な感情をキャッチしてあげられる人間が必要なのだろう。加害者がイジメをする理由に、大人が気づいてあげなければならない。
それに気づいてあげられるのが「教師」という存在であると良い....と私は思わずにいられない。


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発達障害に関する書籍は簡単に見つけられるのに、"知的障害"に関する書籍は注意しないと見つけづらい。

「おわりに」の部分で筆者はこんなことを述べている。

学校教育現場での知的障害に対する関心の薄さ。知的障害の定義さえ知らない教師たち。
この「おわりに」の部分を読んで思ったのは、"まさにその通り"ということだった。びっくりするほど私は発達心理学の授業で「発達障害」に関すること(定義や支援方法)しか習わなかった記憶がある。知的障害の基礎知識くらい習ったかもしれないけれど、彼らへの支援方法なんて、この本を読むまで知らなかった。彼らがどんなことに困っているか知る由もなかった。


だからこそまだ感想を書き続ける。仮にも教師になりたいと思っている私のようなしょぼくれた人間が、この事実や現状を忘れてはならないと思うから。



つづく。

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