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水叉直
2021年8月26日 21:59
「いやー、何とかなったな。とりあえず外には出れた」「荷物はほとんど無いけどね。この後どうするつもりなんだよ」「うるさいな! どっちにせよ、燃えてしまってどうもできなかっただろ?」 二頭のタカダガを並走させながら口論を始めるピーシャルとレガ。ブリンゴはピーシャルの後ろでぐったりとして、しがみつくのに精一杯の様子。「あんたたち。良くやってくれたね」 終わりそうになかった口論にノイが一言口を挟
2021年8月19日 20:50
おぼろげな視界に映るのは、数秒前まで家を名乗っていたはずの瓦礫の山。轟音にさらされた聴覚は、その機能を取り戻そうと躍起になっている。「おい、おいおい。なんだよこれ」 雄々しく叫び狂った爆風は、ブリンゴの体を辺りの木々まで吹き飛ばしていた。 そのまま太い幹に叩きつけられると、深い緑の葉が不規則なリズムで宙を舞い、葉と塵と木片とに包まれた中からブリンゴが這い出てくる。 瞬きの間、意識が遥かを
2021年8月16日 20:04
「よし、もう少しだ」 そう言って少女の手を引くのは赤い髪の少年。後ろを振り返ることなく突き進む彼にとって、とめどなく降る塵は何の妨げにもならなかった。「待ってよ。ちょっと、置いていかないで」 握った手を離さぬよう、息を切らして後を追うのは三つ編みの少女。昨年の誕生日に両親からもらった手首の飾りが、音を立てて震えている。 彼ら二人が目指すのは、森の奥深くに成っていると言われる不思議な木の実。