記事一覧
神田松麻呂の「畔倉重四郎」連続読み
週に一度、五週間に亘った、神田松麻呂による「畔倉重四郎」全十九話の連続読みが終了した。
会場は、早稲田にある「こはぜ珈琲」で、二十名ほど入る、講談をみっちりと聴く〜堪能するには絶好の空間である。
南町奉行大岡越前守が、「こいつらだけは絶対に許せない」と言った三悪人のうちの一人が畔倉重四郎である(ほかの二人は、徳川天一坊と村井長庵)。
その稀代の悪党である畔倉重四郎の悪事の馴れ初めから磔獄門までを、
芸歴40周年記念立川談春独演会四月
4月13日(土) 芸歴40周年記念 立川談春独演会
「子ほめ」「除夜の雪」「百年目」
「子ほめ」は、前座が口演する頻度が実に高い噺である。
オーバーに言うと、寄席や落語会での前座のネタで、「二度に一度は子ほめ」に当たると言っても過言ではないくらい。談春は遠い過去にもちろん演っていて、覚えているかと思ったら覚えていなかったとのこと。二度ほど、袖の前座、笑王丸(談笑の弟子)に「これでいいんだっけか」と
国立能楽堂定例公演六月
国立能楽堂定例公演六月
狂言「無布施経(ふせないきょう)」
能「熊野(ゆや)」
読次之伝(よみつぎのでん)・村雨留(むらさめどめ)
墨次之伝(すみつぎのでん)・膝行留(しっこうどめ)
狂言「無布施経」は、毎月の決まりで檀家の家に経をあげにきたお僧が、読経を終えていとまを告げるが、その日に限って、毎月出るはずの布施が出ない。施主が、その日は朝からの多忙で忘れていたのである。僧は、一度は諦めて帰ろ
芸歴40周年記念 立川談春独演会「らくだ」
談春の「らくだ」
談春がまくらで掲げた「人間が不当な状況に置かれて言われのない差別や弾圧を受けること(がままある)」というテーゼ(敢えてテーゼと言ってみた)は、「らくだ」にも通底していた。
「らくだ」という落語は、珍しくも死体が主人公で、長屋中の嫌われ者である極めつけの乱暴者のらくだというあだ名(名前は「馬」らしいが談春はこの名には触れず)を持つ男が、河豚の毒に当たってくたばるところから始まる。
立川談春「慶安太平記」
談春の「慶安太平記」
「芸歴四十周年記念独演会」で、談春は二回に分けて「慶安太平記」をかけた。
「宇津ノ谷峠」と「吉田の焼き打ち」の二題である。
「慶安太平記」は、由井民部之助正雪の生い立ちから、その後幕府転覆を企んで、その陰謀がまさに事を起こす直前に露見して、それは叶わず自害するまでの生涯を講談に脚色した読み物で、講談では全十九席ある。
談春の師匠談志は、その中から、自分が面白いと思うところを
芸歴40周年興行 立川談春独演会「百年目」
談春の「百年目」
談春が、「百年目」の枕で語っていたのは、「教えるということはどういうことか」である。
「百年目」という噺は、大店(おおだな)の番頭と主人、そして奉公人の話である。
お店(おたな)の中では、番頭は堅物として知られ、遊びなどには目もくれずそれこそ商売以外にはなんの興味もなく、それを身をもって体現している人間として最初は描かれる。
例えば、番頭の奉公人に対しての小言の中では、「芸者とい
立川談春芸歴40周年記念興行「立川談春独演会」
8月10日(土) 於;有楽町朝日ホール
「たがや」「蒟蒻問答」「死神」
「人はいかにして死神に転生するか(したか)?」というのが、今回の談春の「死神」の主題であろうか?
ご存じのように、「死神」は、三遊亭圓朝がヨーロッパの死神の物語を翻案したもので、その原典は「グリム童話(またはほかの物語)」と言われている。
今回の談春の口演は、その「死神」の物語に新たな翻案が加わったとも思えるようであっ