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神田松麻呂の「畔倉重四郎」連続読み

週に一度、五週間に亘った、神田松麻呂による「畔倉重四郎」全十九話の連続読みが終了した。
会場は、早稲田にある「こはぜ珈琲」で、二十名ほど入る、講談をみっちりと聴く〜堪能するには絶好の空間である。
南町奉行大岡越前守が、「こいつらだけは絶対に許せない」と言った三悪人のうちの一人が畔倉重四郎である(ほかの二人は、徳川天一坊と村井長庵)。
その稀代の悪党である畔倉重四郎の悪事の馴れ初めから磔獄門までを、松麻呂は、弛緩するところなど一切なく、五週間をかけて見事に読み切った。
松麻呂さんは、講釈師になる前は演劇をやっていたとのことで、各登場人物の描き方が実に上手い。
表情、そして台詞(と書くが、まさにそこで登場人物そのものから発せられている言葉に聴こえて、台詞とは思えない)を含めて登場人物の演じ分けが素晴らしく、「こはぜ珈琲」の狭い空間も相俟って、聴く(観る)者の耳目を捉えて片時も離さない。
伯山兄さんの「畔倉重四郎」も何度か聴いて(観て)いる(阿久鯉姉さんとの俥読みも含めて)が、兄さんのとはまた異なった読み方で、松麻呂の「畔倉重四郎」が確立されていっているように思う。
それにしても、この重四郎という男は、よく人を殺す。しかもなんの躊躇いもなく。全部で八人、いや九人か。
来年は、七週に亘って、今度は「慶安太平記」を、同じ、ここ「こはぜ珈琲」で連続読みをするそうなので、こちらもぜひ七週連続で通いたいと思う。
また、「こはぜ珈琲」さんのコーヒーはとても美味しく、コーヒーを飲みにもお邪魔したい。
写真は、第五夜、大団円まで読み切ったあとの高座での松麻呂さん。
とてもよい表情をしてるなぁ。
やり切った感に溢れています。

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