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育毛剤ぼうぼう (短編小説)
生えてはならぬところに生えるのが毛
生えろと願うところに生えぬのが毛
それゆえ人は翻弄される
東に剛毛生えると聞けば 飛んでいってその毛を拝み
西に発毛地蔵があると知れば その頭を撫でて発毛を願う
南に地肌を隠す黒い粉が舞えば 行ってその粉を頭にまぶし
北で育毛と発毛は違うと言われれば どちらを望むべきか逡巡し
発毛には副作用があるかもと おそろしくてびくびくする
★テレビショッ
イカズゴケ苔 (短編小説)
①
イカズゴケ苔
いかずごけごけ【イカズゴケ苔】
コケ科
初潮を迎えた娘の脇に発生する苔。
摂取すると多幸感や開放感をもたらし、幻覚・興奮を来す。
初潮を迎えた娘のためにお赤飯を蒸している最中、悲鳴が聞こえてきたので慌てて駆けつけてみたならば、駒子が風呂場の鏡に両脇を映したまま、呆然と立ち尽くしていた。
駒子の脇に、初々しい緑の苔が遠慮がちに生えているのを確認するやいなや、母親であるわたし
ポロリー (短編小説)
『ポロリーを使用することについて、あなたのご意見をお聞かせください。』
ポロリーはプライベートな部分を隠すものよ。もう人前で脱ぐことなど出来ないわ。(アメリカ 会社員 三〇歳 )
やっと時代がわたしたちに追いついてきたって感じ。(日本 高校生 一六歳)
はいていない人とは一緒に歩けないよ。恥ずかしいでしょ。(ブラジル レストランオーナー 四二歳)
おかしな時代になったもんだ。わしにはみ