多圭智みき

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多圭智みき

体験型小説家 多圭智みき 体験型小説 パンツのゴム展開催 ヌカヅケ小説・皮膚むき小説アップ中 https://youtube.com/channel/UCiHjFXkFAts6__MMNiZpIWA https://anchor.fm/mikitakechi

マガジン

  • タケチノタネ

    タケチノタネを蒔きました。 タケチノタネを蒔いたとしても、タケチは花を咲かせません。美味しい果実もつけません。 それでもよいというのなら、タケチノタネを差し上げます。

  • 満月荘

    満月荘での満月の夜のお楽しみ。二つの神輿がまぐわいます。

  • トミコの赤い部屋

    タコの幸せは、海でなく、花園で生きることなのです。 タコ娘トミコの夢は花園のタコになること。

  • おっぱいの木

    性は一つ。 すべての人に母がいて、すべての人が母になる。

  • イカズゴケ苔

    初潮を迎えた娘たちの脇に生えるイカズゴケ苔。一口食べると多幸感に満たされます。さあ、あなたもいかがです?

最近の記事

PTATP

 鬼石砂麻世(おにいしさまよ)が娘の通う国東南(くにさきみなみ)中学校で、保護者からなる団体(通称、過保護会)の会長に就任してから、一年が経とうとしておりました。 砂麻世が会長になる前は、国東南中学校は悪名高き学校であり、校舎は落書きだらけで窓ガラスは割れ、校庭では金髪の生徒たちが改造バイクで爆走し、花壇の花は引き抜かれ、校門の横に立つ二宮金次郎はにやけた顔をしてエロ本を見ているのでございました。 砂麻世は娘の入学を機に、ここを規律正しい立派な学校に変えようと、入学式後の

    • 育毛剤ぼうぼう (短編小説)

      生えてはならぬところに生えるのが毛 生えろと願うところに生えぬのが毛 それゆえ人は翻弄される 東に剛毛生えると聞けば 飛んでいってその毛を拝み 西に発毛地蔵があると知れば その頭を撫でて発毛を願う 南に地肌を隠す黒い粉が舞えば 行ってその粉を頭にまぶし 北で育毛と発毛は違うと言われれば どちらを望むべきか逡巡し 発毛には副作用があるかもと おそろしくてびくびくする  ★テレビショッピング★ 司会「そんなお悩みからおさらばできるのが、育毛剤 ぼうぼう。 薄毛

      • イカズゴケ苔 (短編小説)

        ① イカズゴケ苔 いかずごけごけ【イカズゴケ苔】  コケ科 初潮を迎えた娘の脇に発生する苔。 摂取すると多幸感や開放感をもたらし、幻覚・興奮を来す。 初潮を迎えた娘のためにお赤飯を蒸している最中、悲鳴が聞こえてきたので慌てて駆けつけてみたならば、駒子が風呂場の鏡に両脇を映したまま、呆然と立ち尽くしていた。 駒子の脇に、初々しい緑の苔が遠慮がちに生えているのを確認するやいなや、母親であるわたしは、相反する二つの思いを抱き、つまりは石からしみだす油みたいな同僚のいるクリーニ

        • ポロリー  (短編小説)

          『ポロリーを使用することについて、あなたのご意見をお聞かせください。』    ポロリーはプライベートな部分を隠すものよ。もう人前で脱ぐことなど出来ないわ。(アメリカ 会社員 三〇歳 )  やっと時代がわたしたちに追いついてきたって感じ。(日本 高校生 一六歳)  はいていない人とは一緒に歩けないよ。恥ずかしいでしょ。(ブラジル レストランオーナー 四二歳)  おかしな時代になったもんだ。わしにはみんなが変態に見えるよ。(韓国 農夫 七〇歳)  昔はポロリーで隠したりはしなかっ

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        • タケチノタネ
          1本
        • 満月荘
          1本
        • トミコの赤い部屋
          2本
        • おっぱいの木
          1本
        • イカズゴケ苔
          3本
        • だから。わたしは犬となった。
          1本

        記事

          タケチノタネ

          「タケチノタネタケチノタネタケチノタネと三回口にしてごらん」といったのは誰だったか。 ワタシの手の中には一粒のコバルトブルーのタネがある。これはこの土地で代々受け継がれてきたタネで、蒔き、育て、タネを採取し次に繋ぐ。 派手なタネの色からは想像できないほどに、このタネから育つタケチは、地味な見かけをしていて、香もなく綺麗な花を咲かせることもない。食べられる果実ももちろんなし。 「タケチノタネタケチノタネタケチノタネ」  唾を飛ばし、舌を噛みそうになりながら、ワタシは呪文

          タケチノタネ

          満月荘

           あたしの家は川沿いに建つ二階建ての古びたアパートで、満月荘という名が付いています。 二階にはあたしの家族である今(こん)家が、一階には陳(ちん)家が住んでいて、つまり満月荘は、二家族だけの小さなアパートなのです。 今家にはあたしを含めて子供が六人と父と母、そしてじいちゃんとばあちゃんを加えた総勢十人の大家族であり、一階の陳家は若い夫婦の二人暮らしです。 一階と二階とは同じ間取りであるはずなので、陳さん夫婦のことを羨ましく思います。 同じ広さに二人で暮らしたならば、手

          トミコの赤い部屋 ②

          髪の生え際が白く染まりはじめた頃、トミコは花の匂いのする男と出会った。男はトミコの写真集を携えて見世物小屋にやってきた。 「ワタシはこの写真集に出会い、これまで自分のやってきたことが間違いであったと気付きました」  男はトミコにむかって、おもむろに話しはじめた。打ち明け話をしてくる客は、これまでも少なからずいたため、トミコは彼の話に耳を傾けた。  通常、こうした客の打ち明け話は、トミコの片耳からもう片方の耳に通過するだけで、一言も彼女のカラダに残ることはなかったが、今回

          トミコの赤い部屋 ②

          トミコの赤い部屋 ①

          花園のタコになりたいというのが、幼い頃からのトミコの夢だった。 タコは海でなく、花園で生きたほうが、ぜったいに似合う。きらきらしたヒトデやタツノオトシゴなんかを引き連れ、八本のアシをぬめぬめと躍らせて、パステルカラーや極彩色の花と戯れる。それこそがタコの幸せ。 磯の香に包まれるよりも、花の香に満たされた方がカラダは断然柔らかくなるはずだと、花園のタコを愛する幼いトミコは、母親のバラの香水をまとい、柔軟体操をするのが日課だった。  幼稚園のお絵描きの時間には、花園で舞うタ

          トミコの赤い部屋 ①

          おっぱいの木 ~詩~

          しつもん 3 あなたは おっぱいの木を 知っているか 知っている  その木は たしかに ここにある ちゅぷちょ ちゃぷちょ ぷちゅん ぷちゅん わたしたちの 母なる木 おっぱいの木  おっぱいの実 うまれたての 赤ん坊から  いまわのきわの 古老まで 初乳 死に水 祝い酒 口に含むは おっぱいの実 おおぶり こぶり ぶりん ぶりん ちょこれいといろの  しろいの あかいの きいろいの  にじいろのものまで たわわに実る あまいか にがいか しょっぱいか かたいの 

          おっぱいの木 ~詩~

          イカズゴケ苔 ③

          翌朝五時。呼び鈴がなった。 扉を開けると龍児が立っていた。 龍児の顔を見るまで、やはりわたしは彼の顔を思い出せずにいたし、この瞬間にも忘れてしまいそうだった。彼はわざと外見をぼんやりさせて、周囲との境界を曖昧にしているように思えた。   龍児は大きなリュックを背負っており、あちこちから鍋の柄などが飛び出していた。夫もイカズゴケ苔様も、まだ眠っている時間だった。わたしは彼を台所へ案内した。龍児はリュックから荷物を取り出し、作業台に並べていった。 すべての荷物を取り出すと

          イカズゴケ苔 ③

          イカズゴケ苔 ②

          朝、目覚め、窓から外を確認する。家の前には行列が出来ているが、こうした光景にすっかり慣れてしまったわたしは、特に驚くことはなく、いつも通りに朝食の準備をする。昨日、参拝者から奉納された烏骨鶏の卵をかけたご飯と味噌汁は、わたしたち夫婦用。イカズゴケ苔様にはタイ風のオムレツを用意する。 イカズゴケ苔様になってしまった彼女は、それまで一度もタイ料理など食べたこともなかったのに、突如そうした料理を好むようになった。 苔の本来の生育地がタイの辺りに位置していたからだろうか。土壌は苔

          イカズゴケ苔 ②

          イカズゴケ苔 ①

          イカズゴケ苔 いかずごけごけ【イカズゴケ苔】  コケ科 初潮を迎えた娘の脇に発生する苔。 摂取すると多幸感や開放感をもたらし、幻覚・興奮を来す。 初潮を迎えた娘のためにお赤飯を蒸している最中、悲鳴が聞こえてきたので慌てて駆けつけてみたならば、駒子が風呂場の鏡に両脇を映したまま、呆然と立ち尽くしていた。 駒子の脇に、初々しい緑の苔が遠慮がちに生えているのを確認するやいなや、母親であるわたしは、相反する二つの思いを抱き、つまりは石からしみだす油みたいな同僚のいるクリーニング

          イカズゴケ苔 ①

          点滴ファイブ⑤ 七種の節句 一月七日

          七種(ななくさ)の節句 一月七日  白いよ。白い。  昨夜降り積もった雪が、清らかでけがれのない世界を生み出しています。 早朝、あたしは白い息を吐きながら、冷凍庫の扉を開けました。 鮮度のよいうちに冷やし固めた思い出の品を、台所のカウンターに一つ一つ並べました。 母さんの赤い口紅。愛犬ロックの犬歯。母さんのカメオのブローチ。ロックが噛んでいた鹿の骨。母さんの喉仏。ロックの赤い首輪。  全部で六つ。キスウでない。  他に何かないかしらと冷凍庫の中を探してみたならば

          点滴ファイブ⑤ 七種の節句 一月七日

          点滴ファイブ④ クリの節句 九月九日

          クリの節句 九月九日 くっくっと笑い出しそうな朝でした。 釈放された父さんは、家に戻ってくるやいなや、開口一番こういいました。 「温泉にいくぞ」  車でちょっと走ればそこここに温泉がある地域なので、夜の点滴後に温泉にいくことは、これまでもよくあることでした。 さすがに朝っぱらから温泉に入ることはなかったけれど、今日は特別な日です。朝から湯に浸かっても罰は当たらないでしょう。 あたしは急いで父さんと自分のお風呂セットを準備しました。弟と爺さんは温泉が好きではないため

          点滴ファイブ④ クリの節句 九月九日

          点滴ファイブ➂ 笹の節句 七月七日

          笹の節句 七月七日 「牛ごろし」 幼い頃、父さんに仕事を尋ねた時の返答でした。 あたしは父さんの仕事は牛ごろしなのだと知りましたが、ころしというコトバが使われていたのにも関わらず、怖ろしいとは思いませんでした。 家での父さんはとても優しく、何かをあやめたりする人間ではありません。 飼い犬を愛で、あたしと弟を可愛がってくれました。 しかしよくよく考えてみると、晩酌で点滴するお気に入りの酒は『鬼ころし』であったので、父さんはどちらかというと、ころしを好む人間だったのかも

          点滴ファイブ➂ 笹の節句 七月七日

          点滴ファイブ② 単語の節句 五月五日

          単語の節句 五月五日 今日は特別な日なので、男の子のいる家庭では、点滴スタンドを競うように屋根より高く伸ばし、点滴パックに『鯉』という単語を入れて泳がせています。 プラスチックに段ボール、針金や紙粘土など材質の異なる『鯉』たちは、鮮やかな赤や青をまとっていて、そんな中、我が家の鯉は、墨で描いたような躍動感あふれる黒の『鯉』。 それは父さんの自信作で、真鯉の皮を剥いで作ったものなのです。 先週、父さんは重信川で釣った貫禄のある真鯉の皮を剥ぎ、得意顔でいいました。 「え

          点滴ファイブ② 単語の節句 五月五日