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退屈な女よりもっと哀れなのは…│マリー・ローランサン『鎮静剤』

先日ポストしたポーラ美術館展の記事に、
たつゆきさん がコメントを下さいました。

たつゆきさんは、
いつも私の心にヒットを飛ばしまくる、
とんでもない講演家、元消防士のクリエイターさんです。

氏によると、
マリー・ローランサンと言えば、『鎮静剤』という詩があるとのこと。

恥ずかしながら私、その詩を存じ上げず…。


調べてみたら、素晴らしい詩だったので
ご紹介させて頂きます。


□□□


『  鎮 静 剤  』
マリー・ローランサン
堀口大學 訳

退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。

悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。

不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。

病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。

捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。

よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。

追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。

死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。

出典



パステル色の美しい女性画で有名な画家のマリー・ローランサン。
19世紀後半に、パリのお針女の私生児として生を受けます。

芸術の才があった彼女は、
モンマルトルのピカソのアトリエに出入りするようになり、そこで詩人・アポリネールと運命の恋に落ちます。
ローランサンが22歳、アポリネールが28歳の時のこと。

しかしアポリネールの態度の変容により、
関係は長くは続きませんでした。
変わってしまった彼についていくことができず、
ローランサンは苦しみながらも、アポリネールの元を去ります。

彼への、深い深い愛情を残したまま…。



わたしも女人生30年、
酸いも甘いもそれなりに経験を積んで来たつもりです。

彼の元で愛人をし続けることはできない。

そんなこと、最初から分かっていた命題です。

とても尊敬していた彼。
大好きで大好きで堪らないからこそ、
前触れもなく勢いに任せて告げた言葉は

「もう二度と、私の前に現れないでください」。


断裁するように関係を終わらせて
彼の元を立ち去るしか無かった。

それ以外の方法が私には分からなかった。


想いはあるのに、彼はいない。

自分で断ち切っておきながら。

もう、どうすればいいのか分からなかった。


関係を終わらせたのに、着地点が見えなかった。


……

私のことを忘れないで欲しい、だなんて
言う権利も資格もないことは重々承知の上。

それでも、
 
浮かんでは消えてゆく記憶の片隅に、
あるいは遠い遠い忘却の彼方に、

私という存在のかすかな感触を
わずかにでも留めていて欲しい
、だなんて思うのは我儘が過ぎるでしょうか。


忘れられた女
になりたくないと思うことそれ自体が、

哀れな女
の証でしょうか。




詩を読んで、胸に来るものがありすぎて
しばし余韻に浸ってしまいました。

忘れられない作品になりそう。


さて、

今日で、noteの連続投稿30日も最終日!

フィナーレを飾るに相応しい美しい詩と、
新たに沢山の素敵なクリエイターさんとのご縁を頂けた悦びに胸を熱くしつつ、

30日チャレンジの幕切れにしたいと思います♡


時々でも読んで下さったあなた様、
1ヶ月間、お付き合いいただき
本当にありがとうございました!!!
❤❤❤


《 第30日目♡/note30日間チャレンジ 》



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