実果月(みかづき)

来るもの拒まず…ついつい手を差し伸べてしまう。 犬・猫・亀・スズメ・インコ・カエル・オ…

実果月(みかづき)

来るもの拒まず…ついつい手を差し伸べてしまう。 犬・猫・亀・スズメ・インコ・カエル・オカヤドカリ… 庭先で生きてる子、家族になった子、親元に帰した子、居なくなった子、虹を渡った子、 擬人化したり… それぞれのエピソードを、彼らの目線で物語風に描いて紹介していきたいと思います。

記事一覧

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出10

『もう家族でしょ』 新年、母屋の縁側に大きめのケージが 置かれ、そこがボクの家。 夜は湯たんぽ入りベッドで眠り 備え付けのトイレを使うボク。 すっかり家猫して…

盗まれた自転車(物語)

 自転車は初めて見る景色の中を、見知らぬ男子高校生を乗せて走っていた。  三十分前、図書館の駐輪場で、いつも通り主人の苑子を待っていた。 そこで「佐藤」という男…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出9

『時々おうち猫』 「あ! 帰って来た!」 ボクは門の脇でずっと待っていたんだ。 そしてノリさんの車が屋敷内にバックしてくる前に、 母屋の前を通ってベランダの前に…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出8

『ベランダ生活 冬支度』 朝「ニャニャ、ニャーゴ」ゴハンの時間ですよー。 今日も美味しいノリさんのゴハン♪ 食べたら見回りとご近所に挨拶。 ベランダで昼寝。バ…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出7

『首輪を無くしてくる猫』 翌日、また首輪を着けられた。 「今度はヒャッキンね。マロはうちの猫ね」とサヨさん。 この頃にはボクの毛並みはモフモフしていた。 …

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出6

『ワクチン翌日』 サヨさん、ワクチンの副作用を心配して 夜中も様子を見に来てくれた。 出してもらえそうにないからふて寝。 早朝、ボクはだるさも取れたので …

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出5-2

『病院デビュー2』 猫エイズキャリア… それってどうしたらいいの? サヨさん、ノリさん 先生から説明を受けたけど 初めてのことで困惑しているみたい。 …

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出5-1

『病院デビュー1』 朝からソワソワしているサヨさんとノリさん。 どうやらボクが見回りから帰るのを待ち構えていたようだ。 ベランダのチェストの上で香箱座りをして…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出4

『ベランダ生活スタート』 いやいや時間は掛からなかった! 日に日にエスカレートするシンの侵略。 他の猫もいる。夜明け前のボクらの攻防。 更にはボクのご…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出3

『抱きしめてほしい猫』 ワンの名前はリュウ。 ニャンはライチ。 仲良くなりたいとボクから近づく。 リュウはシッポを振って吠えまくる。 遊びモード全開の勢い…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出2

『野望、悲しいけどラッキーな転機』 ボクの名前はマロ。この家でゴハンをもらって1カ月。 サヨさん、ノリさん、タカさん、ババさん、 そして時々やってくるマオさん、み…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-2

『古い冷蔵庫の上2』 朝から雨。猫は濡れたくないので出歩かない。 ご飯にありつけないことも多いので体力温存、 雨の当たらない場所を選んでじっとしている。 でもボ…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-1

『古い冷蔵庫の上1』 ボクが初めてこの家に来た日、 軒下の古い冷蔵庫上には黒猫、モフモフ猫の2匹がいて、 それを見上げるように上がり台には白猫が座っていた。 更にそ…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出

来るもの拒まず…ついつい手を差し伸べてしまう。 ガリガリに痩せて、あちこちの毛が抜け、目つきも鋭い。 他の野良猫との社会から、人間の家族になるという夢を叶えた オ…

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出10

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出10

『もう家族でしょ』


新年、母屋の縁側に大きめのケージが
置かれ、そこがボクの家。


夜は湯たんぽ入りベッドで眠り
備え付けのトイレを使うボク。
すっかり家猫してるでしょ。


朝「雪だ!」
だけど、見回りはボクの日課だから、
雪の上に足跡を付けながら出かけてみた。

東側のコミュニティーはお姉さん猫がいっぱい。
ゴウの姿はないなぁ、元気ならいいんだけど…。

「女の子の手術をすれば

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盗まれた自転車(物語)

盗まれた自転車(物語)

 自転車は初めて見る景色の中を、見知らぬ男子高校生を乗せて走っていた。

 三十分前、図書館の駐輪場で、いつも通り主人の苑子を待っていた。
そこで「佐藤」という男子高校生にカギを壊され盗まれたのだ。

 「どこへ連れて行かれるのだろう」
自転車は不安な気持ちをキーキーと音に出してみたが、
佐藤は気にせず、スピードを上げて町はずれへと進んでいく。

 「これ以上遠くへ行ったら、もう苑子に会えなくなっ

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出9

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出9

『時々おうち猫』

「あ! 帰って来た!」
ボクは門の脇でずっと待っていたんだ。

そしてノリさんの車が屋敷内にバックしてくる前に、
母屋の前を通ってベランダの前に移動した。

サヨさん「マロ、ただいま。門で待ってたの?」
「ニャニャニャーン」見られてたかぁ…

サヨさん「道路は危ないからね」
「ニャン」承知!

買い物の荷物を運び終わるのを待って
「ニャーオ、ニャーオ」
ノリさん「家の

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出8

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出8

『ベランダ生活 冬支度』


朝「ニャニャ、ニャーゴ」ゴハンの時間ですよー。
今日も美味しいノリさんのゴハン♪

食べたら見回りとご近所に挨拶。
ベランダで昼寝。ババさんの畑仕事の手伝い。
結構、忙しいんだよ。

ノリさんが帰ってきたらゴハン。
タカさん、サヨさんの抱っこタイム♪♪
リュウとの微妙な距離での挨拶。
今日も充実してたねー。


あとはベランダの段ボールの中で寝るだけ。

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出7

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出7

『首輪を無くしてくる猫』



翌日、また首輪を着けられた。

「今度はヒャッキンね。マロはうちの猫ね」とサヨさん。



この頃にはボクの毛並みはモフモフしていた。

一目見ても首輪には気づかない。



ボクには邪魔でしかない。



昨日、自分で外そうとして外れなかった首輪。

帰った時には無くなっていた。
いつの間に無くなった?



そういえば、崩れた蔵の隙間を潜り抜けた時、

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出6

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出6

『ワクチン翌日』



サヨさん、ワクチンの副作用を心配して

夜中も様子を見に来てくれた。

出してもらえそうにないからふて寝。



早朝、ボクはだるさも取れたので

全身で「出して!」を訴えた。



サヨさん「ストレスも良くないかな」と

やっとケージの扉を開けてくれた。



サヨさんの顔をチラッと見て

「ニャ」と短く挨拶し、トコトコと走り出した。



「帰ってくるんだよー

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出5-2

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出5-2

『病院デビュー2』



猫エイズキャリア…



それってどうしたらいいの?



サヨさん、ノリさん

先生から説明を受けたけど

初めてのことで困惑しているみたい。



とにかく今は元気なので

少しでも長く一緒に居られるように…





注射も終わったし

帰りましょ、帰りましょ。

自分からキャリアケースに入ったよ。



帰りの車内、猫エイズの話題で暗い感じだなー。

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出5-1

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出5-1

『病院デビュー1』


朝からソワソワしているサヨさんとノリさん。
どうやらボクが見回りから帰るのを待ち構えていたようだ。


ベランダのチェストの上で香箱座りをしていると
二人揃ってボクの前に立った。

「え? 何?」

気付いたらハーネスとやらを着けられて
キャリーケースに入れられていた。


初めて乗る車。
隣のサヨさんに「ニャーゴ、ニャーゴ」言ってみた。
「大丈夫だよ」とサヨさん

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出4

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出4

『ベランダ生活スタート』



いやいや時間は掛からなかった!



日に日にエスカレートするシンの侵略。

他の猫もいる。夜明け前のボクらの攻防。



更にはボクのご飯を横取りしにくる。



そこでノリさんがベランダにゴハンを

用意してくれるようになった。



ベランダは1階だけど下側は板張りで

出入口用の引き戸がついている。



ボクが出入りできるだけ開けられており、

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出3

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出3

『抱きしめてほしい猫』



ワンの名前はリュウ。

ニャンはライチ。

仲良くなりたいとボクから近づく。


リュウはシッポを振って吠えまくる。

遊びモード全開の勢いが怖くて引いてしまう。

うかつに近づいたらケガしそう。



ライチはいつもガラス戸越しにボクを見てる。

古い外冷蔵庫の上から近づくと

すごい勢いで逃げてしまう。



仲良くなりたいんだけどなー



ある日、サ

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出2

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出2

『野望、悲しいけどラッキーな転機』

ボクの名前はマロ。この家でゴハンをもらって1カ月。

サヨさん、ノリさん、タカさん、ババさん、
そして時々やってくるマオさん、みんなボクたちを気にかけてくれる。



のら猫たちはコミュニティがあって、それぞれゴハンをもらう家がある。

あちこちの家に顔を出して別の名前で呼ばれている調子のよい猫もいる。



でもボクはどこに行っても追い払われてしまう。

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-2

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-2

『古い冷蔵庫の上2』


朝から雨。猫は濡れたくないので出歩かない。
ご飯にありつけないことも多いので体力温存、
雨の当たらない場所を選んでじっとしている。

でもボクはお腹が空いたので冷蔵庫を目指すことにした。

隣の敷地には今は使われていない大きな倉庫がある。
倉庫と言っても屋根や壁にトタンを貼り付けただけで、
すでにあちこち剥がれ落ちている。

それでも雨風や直射日光を避けられるので、

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-1

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-1

『古い冷蔵庫の上1』

ボクが初めてこの家に来た日、
軒下の古い冷蔵庫上には黒猫、モフモフ猫の2匹がいて、
それを見上げるように上がり台には白猫が座っていた。
更にその下、地面の上には別の黒猫が行儀よく順番待ちをしていた。

ガラス戸が開き「おはよう」と声がし、人間の手が出てきた。
カリカリフードが入った器は黒猫とモフモフの前に置かれた。

黒猫が食べ始めた。一息遅れてモフモフが食べ始めた。
他の

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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出

のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出

来るもの拒まず…ついつい手を差し伸べてしまう。

ガリガリに痩せて、あちこちの毛が抜け、目つきも鋭い。
他の野良猫との社会から、人間の家族になるという夢を叶えた
オスの野良猫。
病気との闘いには勝てず…

そんな猫の思い出。

他の犬や猫、キツネやタヌキとの関係、人間との関係、闘病など、
彼の目線・気持ちになって物語風に描いていきたいと思います。

もちろん気持ちの部分は私の勝手な思い込みでしかな

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