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のら猫から家族 夢を叶えた猫の思い出1-1

『古い冷蔵庫の上1』

ボクが初めてこの家に来た日、軒下の古い冷蔵庫上には黒猫、モフモフ猫の2匹がいて、それを見上げるように上がり台には白猫が座っていた。
更にその下、地面の上には別の黒猫が行儀よく順番待ちをしていた。

ガラス戸が開き「おはよう」と声がし、人間の手が出てきた。
カリカリフードが入った器は黒猫とモフモフの前に置かれた。

黒猫が食べ始めた。一息遅れてモフモフが食べ始めた。
他の2匹はじっと見つめていた。

黒猫が冷蔵庫から飛び降り、ゆっくりと離れていく。
追ってモフモフも飛び降りた。
白猫が冷蔵庫に飛び上がり残っているカリカリを食べ始めた。
後ろの黒猫が上がり台に移動しお座りした。

白猫が冷蔵庫から降りてから、黒猫が移動し残り少ないカリカリを食べている。

ボクは隣の敷地の壊れた壁の隙間からじっと見ていた。

4番手の黒猫が去った後、恐る恐る冷蔵庫の上まで行ってみた。
カリカリは少しだけ残っていた。
みんな腹ペコのはずなのに少しずつ分けあっているのだろうか。

ボクはカリカリを手でチョンチョンとしてみた。
「あれ?新顔さんだね。ゴハンあげるからね」とガラス戸が開いた。
ボクは冷蔵庫から飛び降り、少しだけ離れて見ていた。
人間は器にカリカリを足してくれた。

ガラス戸が閉まるのを確認してから無我夢中でカリカリを食べた。
その日から毎朝ご飯が食べられるようになった。

先頭の黒猫はオスで茶々丸と呼ばれている。まだ若い。
光が透けて焦げ茶色にも見える。

モフモフはメスでゴウ。
緑色の目が神秘的な美猫。

白猫はオスでハク。
ピンク色の首輪をしているが、いつから着けているのか古くてきつそうだ。

もう一匹の黒猫はメスのマツ。
体は小さいのにお腹が大きく膨らんでいる。

そしてガリガリ痩せたボク。
なぜかわからないけどマロと呼ばれるようになった。

食べる順番はいつも決まっていて、茶々丸が来ていないときは、ゴウが冷蔵庫の上のカリカリの入った器の前でじっと待っている。
茶々丸がゆっくりと近づいてくると低い声で「ニャニャ」と急かし、
食べ始めるのを確認してからゴウが続いた。

茶々丸とゴウは一緒にいることも多く、隣のタイヤの上でくつろいでいる。ボクらは気にせず同じペースで食事をする。


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