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これ、思い出と呼んでいいですか?

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ちょっと心が豊かになれるエッセイ。日常のことをメインに書きます。
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#日記

リップクリームに思いを馳せて

リップクリームに思いを馳せて

 ここに1本のリップクリームがある。正確には『メンソレータム薬用リップスティック』。ロート製薬株式会社が販売する緑色の本体と白キャップの、日本でもっとも王道なリップクリームだ。

 内容量は4g、1円玉が4枚分。リップクリームの値段が80円くらいのはずだから、およそ20分の1にボリュームダウンしたことになる。ただ1円玉では僕の唇に潤いをもたらさないので、その分の付加価値はあるだろう。もっとも1円玉

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命の証

命の証

ふと、思っちゃっただよね、なんで生きてるんだろうって。

なにもできない、誰にもあげられない。
社会に捧げるものもなく、ただ息をしている。

もしかして自分は、間違いさがしの間違いなんじゃないかって思った。
僕のいない世界では、僕のいる世界よりも幸せで、楽しそう。

ううん、うそついた。そんなことはない。現実はもっと残酷だ。
僕がいないところで、世界は何も変わらない。
ひとりの人間なんて、水蒸気み

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はじめての1人旅

はじめての1人旅

 知らない町、はじめての1人旅、僕は寂しくなった。

 名古屋には深夜についた。宿の予約はしてない。適当にネットカフェにでも泊まればいいって思ってた。ただ長居すると高くつくので、ギリギリまで夜の名古屋を堪能するつもりでいた。

 1月下旬、やや寒いなか、僕は名古屋城まで歩いた。正確には近くの公園まで。ところが暗中が恐ろしく、闇に飲み込まれそうな気分になった……ってカッコよく言ってみるけど、ただ怖か

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明日はきっといい日になる

明日はきっといい日になる

 高橋優の『明日はきっといい日になる』にあるこんな一節。

勇気振り絞って 席を譲ってみた
「大丈夫です」と 怪訝そうに断られたそのあと
決まり悪そうに 一人分空いたまんまのシート

 電車かバスか、席をゆずろうとしたけど断られたというシーン。このあいだ、まさにこんな場面を見かけてしまった。

 お昼前、ちらほら立ち乗車が目立つ混み具合だった。僕はドア横に寄りかかって本を読んでいた。そのちょう

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頑張る必要ってある?

頑張る必要ってある?

どんな人だって、できることなら頑張りたくないだろう。というか、そもそも頑張る必要なんてないのに嫌々頑張っているのだ。

頑張るっていうのは、「やりたくもないことを仕方なく努力する」のようなニュアンスがある。でもやりたくないなら、やらなくてはいいのでは?

どうしてみんな頑張るのだろうか?期待に応えたいからなんてナンセンスだ。なぜ他人のために生きて、しかも努力する必要がある。自分の人生なんだから、割

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