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あなたに首ったけ顛末記<その2・鑑賞は生に限るが生き霊はイタダけない>【小説】

毎度ご来店ありがとうございます! コチラは『異能もの現代ファンタジーラブコメ』の<その2>です。女子向けライトノベルかな、と。お口に合いますかどうか、このページをポチったのも何かのご縁、よろしければごゆっくりどうぞ(もちろん合わなかったらすぐ、ペッてしてくださいね)。

前回のお話:
<その1>はじめまして、首フェチの生き霊です



あなたに首ったけ顛末記<その2>

◇◇ 鑑賞は生に限るが生き霊はイタダけない ◇◇

(7300字)

<1>御崎十緒子は生を謳歌する

(2670字)

 まつ毛、長いなあ。
 
 いつものように、首からあごにかけてのラインを舐めまわすようにたあと、私は彼のまぶたをぼんやりとながめていた。
 彼の部屋のベッドの上。
 横向きになって眠る彼の顔に向かい合うように、私も横になった。
 
 触れることは、できない。
 触れようとしても、弾かれてしまう。
 だから、観てるだけ。
 
 それにしても、まつ毛長い。女子として、ものすごくうらやましい。
 ラテン系ちょい手前くらいの濃さの、整ったお顔。
 この私が認めたナイスバディの持ち主。
 そりゃあ、さぞかしおモテになるんでしょうねえ……。

 と、なんの前動作もなく、彼のまぶたがゆっくりと開いた。

「……ん、おまえ……?」

 私は黙ったまま、彼の瞳を見つめていた。寝起きのクセに、黒目キラキラ。ちょっと寝ぼけているようだけどフェロモン全開。
 
 そんな彼が、私のほうに手を伸ばしてきた。
 ……私の顔に、触れようとしてる? が、すんでのところでピタリと動きを止めた。
 
「首フェチヘンタイ生き霊女、御崎みさき十緒子とおこ、26歳。おまえ……また、なのか?」
「おはようございますぅ……お手数、おかけします……」

 生き霊の私は起き上がって、ベッドから下りて土下座した。しばらくして顔を上げると、彼は手を伸ばしたままの格好で、目を閉じて脱力している。

「に、二度寝っ? あの、最高に気持ちいいときに申し訳ないんですが。体に戻れないと私、死んじゃうんで」
「寝てねぇし……わかってるし!」

 彼は両手で顔を覆うとそんなことを言い、それから自分の頭をガシガシワシャワシャしてから起き上がった。

◇◇◇

 私が生き霊になって彼、水野春臣みずのはるおみ、26歳・霊感体質青年、の部屋に来てしまったのは、これで五度目だ。
 
 一度目は彼の一喝で追い払われ、二度目のときに自分が生き霊になってしまったことを知った。

 生き霊になったままでいると、最悪死んでしまう。
 霊体と体をつなぐコードが切れないうちに、体に戻らなくてはならない。
 なのに私は、自力で体に戻れなくなってしまって。

 彼は、見ず知らずの私が体に戻れるように、助けてくれた。

 そのとき見つけた戻る方法、それは。
 私の実体の体で、彼の首に触れること、だった。
 それが私の、生への執着心をあおるということで……そこはその、センシティブなトコロなので、適当に、そっと流してほしい。

 三度目。私を助けるために彼が不法侵入をするハメになり、対策として、私の部屋の合鍵を彼に渡すことになった。
 そして、生き霊になってしまう原因が『鑑賞不足(彼の体、とくに首)』にあることがわかり、私と彼は、定期的にランチを一緒にするようになった。

 四度目、私の仕事が忙しさがピークになると、『首鑑賞』によるストレス発散を求めてしまうのだとわかり……。


「画像でも、動画でもダメだったってことか。クソが」

 四度目のあと、オフィスビルの共同社員食堂で。
 少し前に、あきらめたように被写体になってくれていた彼は、親子丼ごはん少なめを前に、悪態と大きなため息をついた。

なまが、いいんですかねえ。やっぱり、生が」
「生、生って繰り返すな、ヘンタイ。おまえが言うと生々しいだろ。それに生がいいなら、そのスマホはなんなんだ」

 かざしていたスマホの画面に、彼の手のアップが映り、彼にスマホを奪われた。いま撮っていた動画を削除され、それからカウンターの私側ではないほう、私の手の届かないところに、スマホを置いてしまう。
 しょうがなく私は、豚のしょうが焼き定食ごはん大盛り生たまご小鉢デザート追加、のトレーに手を合わせた。あと心の中で、隣にいる生ハルオミ様に。心のキャメラは取り上げられないですからー、ふふふ、とあくまでも心の中で。

「いただきます!」
「……なんか、寒気すんぞ」

 ふと思い立ったように、彼は急いで私のスマホを持ち上げ、操作する。

「本当に、この前撮ったヤツしか入ってないな。ぜったい盗撮くらいしてると思ってたのに。あぁでも、クラウドか他のデバイスに送信済み、とか?」
「誓ってそのようなことはしておりません! 前にも言ったじゃないですか! 盗撮なんて……人類の至宝にマヨを、じゃなくて、泥を塗るようなマネはできません!」

 トッピングのマヨネーズをしょうが焼きにのせ、マスクを外そうとしたところでそれをやめ、きっちりと反論する。

「どっちにしても、これじゃダメなんだから必要ねぇだろ。消しとくからな」
「あああっ、それはそれでアレですので、できればそのままでっ。三時のおやつなんですっ」
「うるせぇ、そんだけ食えば十分だろ」
「心の、心のおやつ……」
「あーもう、これでいいだろ!」

 マスクを外し、パシャリと自撮りをした彼は、スマホを私にぐいと差し出した。あわてて受け取って見た画面の中の彼は、まつ毛の長いラテンな瞳で、私をにらみつけていた。

「首のとこ、もうちょっと入れてほしかった……」
「そうか、消してほしいか」
「いえ、ありがとうございます、おいしくいただきますので」
「いただく言うな!」

 その後。
 彼は「要するに、生が増えればいいんだな」と言ってまた大きなため息をつき、なんだかんだで、金曜日の夜に彼が私のウチに来ることになった。

 そして……なんとそれが、もう何回か続いている。
 なんだかんだ、のところも、どうして習慣化してしまったのかも、私にもよくわからない。
 わかんないけど……うん、気にしない、気にしない!
 こんなご褒美、そりゃもう、おいしくいただくしかないよね!


 また金曜日が来て。
 彼が、私の部屋のちゃぶ台の前に座り、缶ビール片手にギョーザをつついている。

 三皿めの冷凍ギョーザを焼き上げちゃぶ台に置くと、彼はげんなりとした表情をして箸を置いた。

「おまえ……毎度のことながら、どんだけ食うんだ」

 私は炊飯ジャーをかたわらに、缶ビールをちゃぶ台の上に置いた。

「以前はこんなに食べなかったんですけど。最近、なんだかおなかがすくんですよ。でも不思議と太らないんですよね」

 私はゴクリとビールを飲んだ。彼もまたビールを飲み、のどをゴクリと言わせる。もちろんしっかりと、それをている。

 こんな、至福のご褒美タイムをいただけるなんて。
 その場でスケッチはやっぱり止められたけど、脳に焼き付けるから、大丈夫。
 ああ本当に、生きててよかった。

 このときの幸せな私は、もちろん、少しも想像していなかった。
 彼が帰ったあとに、まさかあんなことが起こるとは……。



<2>御崎十緒子(生き霊)・ミーツ・生き霊・1

(2600字)

「昨日はギョーザ食った金曜日、今はその翌日の土曜日、深夜1時22分。おい、オレの認識は、間違ってねぇよな」

 ようやくベッドの上で起き上がった彼は、ベッドサイドの目覚まし時計を掴んでそれをにらみながら、言った。

「あってます」
「『生鑑賞』、したよな? なんで生き霊になってんだ」
「わからないんですけど、あのあといろいろありまして、そのせいではないかと。あのでも、そのお話の前にですね……私まだ、死にたくはないかなー、なんて」
「チッ。仕度すりゃいいんだろ」

 舌打ちが似合う、安定の感じ悪さ。でも、文句が言えない。

 いつものように、彼が素早く着替え、部屋を出て、マンションの地下駐車場から車に乗り込むまで、私は彼のかたわらを、ふよふよと浮かびながらついていく。

 ついていく、というより、彼から離れない、と念じているような感じ? いまだに、霊体の私がどうやって動いているのか、原理はわからない。でもなんとなく、出来てしまう。助手席で、私が膝を抱えるように座る格好をするのを見届けて、彼はエンジンをかけた。

 走り出してから、それまでムスッと黙っていた彼が、ようやく口を開いた。
 
「で、なにがあった」
「えーと、夢かと思ってたんですけど夢じゃないとわかったというか、あの、信じていただけるかどうか」
「前置きいいから話せ」
「あのですね、生き霊が来たんです、私の部屋に」
「は?」
「たぶん女の人で、ぼやーっとしていて、でもコードがはっきり見えてて。体は白っぽい……いや、黒っぽい? カラーじゃなかった気がするというか」

 そういえばいまの自分は、手や体を見る限り、白っぽい、と思う。

「……そう、私より黒っぽい感じ。で、そのヒト、目の前にいるんですけど、私に向かってブツブツ仰るんです」
「内容は、聞き取れたのか」
「はい、しっかり」
「なんて言ってた」

「春臣さんは私のもの。春臣さんは渡さない。おまえなんか消えてしまえばいい、だ、そうです」

 赤信号で、車がガックンと止まった。口が悪いのに丁寧な運転をする彼には珍しい。生き霊で浮いている私には、なんの影響もないけれど。
 彼の表情は、でも、変わっていなかった。いつものほぼ無表情な、にらんでるような目。
 
「そのあとはよくわかんないんですけど、あたりがなんかピカーッて光って、気がついたらその女の人がいなくなっていて、私はこの状態で。そのときふっと水野さんのことが思い浮かんで、次の瞬間には水野さんの部屋にいました」
「……そうか」


 彼は私のアパートの近くでコインパーキングに車を入れた。彼のことを信じてはいるけれど、ちょっと焦ってしまう。なんだかいつもより、ゆっくりなのだ。
 急かすのもどうなのかなとワタワタしていると、彼はそれに気がついた。

「あぁ、俺が急いでねぇからか。おまえ、コード見てみろ」

 コード、霊体と肉体をつなぐ、私の命綱。
 それが切れる、イコール、死。
 いつも細くなってしまっているそれが、今回はそうでもなかった。
 というか、太っ。
 キラキラと光を放つ、私の魂のコード。

「おまえのコードが細くなってたのは、俺んちの、部屋に張っていた結界のせいでもあったからな。今回は、その結界のレベルを下げておいた。だからたいして細くなってねぇ、つまり、すぐには死なねぇから安心しろ」

 部屋の結界。そんなものがあったのか。
 よくわからないけれど、私のコードはそれで細くなってしまった、ってことなんだ。

「なんか、すみません。守りを弱めさせちゃうなんて」
「俺には最悪、護符があるからな」

 彼がいつも身に着けているらしい護符は、私も見せてもらったことがない。
 っていうか、私に見せては、マズいだろうし。

「……で。そいつはおそらく、俺をストーカーしてる誰かの生き霊、だろうな」

 車を降り、合鍵で私の部屋に入った彼は、ベッドで仰向けになって、大の字で寝ている私を見下ろしながら、言った。
 
「ストーカーが、いるんですか?」
「しれっと、おまえに言われたくねぇな」
「前にも言いましたけど私、ストーカーは、してません!」
「けどまあ、」と彼は私の言い分をさらりと流した。
「おまえの他にも、それっぽいのが、社内にぼちぼちいる。いまのところ、俺の部屋の結界を乗り越えて来たヤツはいない。弱めても、おまえ以外はな」

 彼は、ベッドの脇にあぐらをかいて座る。

「たぶん。俺のところで弾かれたから、おまえのとこに来たってわけだ」
「ええ、私、水野さんと会社も違うし、関係ないじゃないですか」
「最近、社食で一緒にいるオンナは誰か、ってよく訊かれるようになったからな」
「はっ? えええ、まさか……私相手に、嫉妬?」
「はじめの頃は、親戚か営業の類だと思われてたらしいぞ。よかったな。同じオンナ、それもライバル認定されるようになって。俺のおかげだな」

 うぐう。ぐうの音を口の中で噛み殺す。
 確かに、彼のおかげなのだ。

 ヘアサロンを半ば強引に紹介され、重たかった前髪を手入れされ、そこで教わったメイクと整えた髪のレベルを維持しない限り『鑑賞』を許さない、と彼に言われ。服も……会うたびにけなされるので、液タブ貯金と画材購入のためのお金を、泣く泣く服代に回し。
 元々の、喪女でござい! といった印象はどうやらなくなったらしく、おかげで職場でも、他の人の私への対応が、やわらかなものになったことを感じた。
 外面そとづら、あなどりがたし。

 ……待って、そうじゃなくて。
 なんか変、じゃないデスカ?
 生き霊になっても、寒気って感じるんだ。

「あの、水野さん。その『一緒にいるオンナは誰か』という質問に、なんて答えたんですか」
「答えてない。適当にはぐらかした」
「いやいや、まさか……彼女さんですかー? とか訊かれて、はぐらかしちゃった、なんてことは」
「ああ、そんな感じだったな」
「ええええええ」

 それ、やっちゃダメなヤツ!
 ちゃんと、否定してくれないと!

「おかげで鬱陶しいアプローチが少なくなって、多少は静かになったからなあ。ああ、これは一応、おまえのおかげだな」
「計算通りィィ、ってことですか、それだと、私に火の粉が飛びますよね! っていうか、飛んできたってことですね……ああやって、生き霊さんになって!」

 叫んでいる私が指さした先に、くだんの生き霊さんが、ぬらぬらと浮かんでいた。



<3>御崎十緒子(生き霊)・ミーツ・生き霊・2

(2000字)

(春臣サン……私ノモノ……渡サナイ。オマエ……消エテシマエ)

 六帖に満たない広さの寝室の入り口。実体の私が眠るベッドからすぐのところに、それはぼうっと揺れていた。ブツブツと、同じセリフを繰り返している。

 白くて黒い、実体のない、なにか。
 私ほどはっきりとカタチをとっていない。
 でも、女性だとわかる。
 なぜだか、わかってしまう……。

「わあん、怖いいいいっ。なんとかしてくださいいい」
「おまえも生き霊くせに、怖がるんじゃねぇっ。あと俺を盾にするとかっ、」

 彼をもっと押し出したいけど、それは出来ないので、しぐさだけ、そんなマネをする。生き霊さんに、これでなんとか伝わらないだろうか!
 
「私っ、カノジョじゃないですから! これーーーーっぽっちも、そんな気ないですから! 誤解ですからっ」
「……っ、そんなん、伝わるかっ」

 彼はゆらりと立ち上がると、あっちの生き霊さんをにらみつけた。

「おまえに用はない。ここから去れ! 本体へ帰れ!」

 かつて私を追い返した、一喝!
 だが生き霊さんは、ちょっと揺れを大きくしただけで、その場から動かない。

「クソッ、ダメか。せめて誰なのか、わかればいいんだがな」
「思い当たる方のお名前、片っ端から呼んでみては?」
「ストーカーの名前なんか、知るか」
「そんなっ。名前くらい、覚えてあげてくださいよ、社内の方なんでしょう?」
「無茶言うんじゃねぇ、ちょっとでも興味があると思われたら面倒なんだ、区別しないにこしたことはない」
「でもでも、こういうとき、困るじゃないですか!」

 彼はしばらく生き霊さんをにらんだまま、なにかを考えているようだったけれど。
 ふいに、生き霊な私を見てニヤリと笑い、それから実体のほうの私に視線を移し、私を見下ろして、言った。

「フッ、そうだった。こういうときのための、おまえだ」

 へ? どういうこと、でしょうか?
 私の、頭の上に並んだハテナ?マークが、彼の挙動により、さらに増える。

 ベッドの上、実体の私を跨いで、這うように上がって?
 なんでその横に、添い寝するようにしていらっしゃる?
 右腕で私の体を引き寄せ、左腕を、私の首と枕の間にかませて?

 その左手を私の後頭部にずらし、右手で耳とほっぺたを撫で。

 入口の生き霊さんを、見やり。

 それから実体の、目を閉じている私に、ゆっくりと顔を近づけてゆき……。

 それを見下ろしていた私の視界が、一瞬で変わった。

 目を開けると、彼の髪と肌。
 それよりもなによりも、この、唇の感覚。

 彼が、私にキスをしているっ?

 彼の舌が私の唇をひと舐めして、口の中に割って入ってきた。
 彼の、匂い。舌ざわり。
 それにこの、体の奥の感覚は、なに?
 気持ちいい、などという世間様のキスの感想を思い出すけど、そんなの通り越してませんか……?

 ちょ、心臓、早すぎて、壊れる……たぶんこれ、死ぬ。
 死ぬなら、その前にもう一度。
 いいかな……いい、よね?

 私は、自由に動かせる左腕を伸ばして、彼の首に触れた。
 耳のうしろからのライン。
 骨と筋の感触を確かめるように撫でると、彼が顔を離した。
 はあっ、と息を吐いて彼を見上げると、彼は口の唾液をぬぐいながら、入口の方を見ていた。
 そして私のほうに向き直り、ニヤリと笑みを浮かべる。

「おまえも、戻ったな」

 おまえ、も。
 つまり、生き霊さんも、戻っていったのだ。
 あの、エロエロのキッスを見せつけられて。
 『生きることへの執念は、エロで増幅される』と、最初に水野さんが教えてくれた通り……?
 はい、私もそれで、戻りました……。

 なにも、言い返せない。
 脱力して、彼の首に触れていた腕を、ボトリとベッドに下ろした。

「なんてカオ、してんだか。『これーーーーっぽっちも、そんな気ない』んだから、こんくらい、平気だろ?」

 私がどんな表情カオしてんだか知らないけど、そっちこそ。
 悪そうな……フェロモン全開の、満足げな笑顔。
 なんて表情、してくれるんですか。
 私は目をそらし、見慣れている彼の首筋に視線を移した。
 胸が、痛い。
 さっき、死ぬかと思うほどの心拍数だったから?

「……平気、そうだな。こんなときでも、俺の首に目がいってんだから」

 彼の顔が、また近づいてきた。
 ……いや、あの、ぜんぜん平気じゃないから!
 心の安寧を求めて、首てただけだから!
 ちなみに、ファーストキスだったんですけどっ?!
 言い返したいけど、ことばが出ない。
 た、たすけて、誰か!


 そう、私にはいつも、私を助けてくれる頼もしい仲間がいて……。

 なんだろう、この記憶?
 でも、私は知っている。
 こうすれば、こんなふうに願えば、助けてくれる『仲間』が出てくることを。

 ポンッ、と音がして。
 彼と私の顔の間に、それは、いた。

十緒子とおこ様。お久しぶりでございます。思い出されたのですね)

 音のない声が聞こえ、そこには。
 まぶしく光を放つ、一匹のヘビがいた。



つづく →<その3>はこちら

あなたに首ったけ顛末記<その2>
鑑賞は生に限るが生き霊はイタダけない・了

(この物語は作者の妄想によるフィクションです。登場する人物・団体・名称・事象等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。)


【2022.10.23.】up.
【2022.11.13.】加筆修正
【2022.12.02.】加筆修正
【2023.01.18.】加筆修正
【2023.03.03.】章タイトル追加
【2023.07.01.】300字加筆、修正
【2023.08.24.】微修正
【2023.12.06.】加筆修正ィ…キリガネエ…


☆あなたに首ったけ顛末記・各話リンク☆

<その1> はじめまして、首フェチの生き霊です

【生き霊ストーカー・編】
<その2>鑑賞は生に限るが生き霊はイタダけない
<その3> 水野春臣の懊悩と金曜日が終わらない件
<その4> 御崎十緒子のゴカイ☆フェスティバル
<その5> 手は口ほどに物を言うし言われたがってる
<その6> 日曜日には現実のいくつかを夢オチにしたっていい

【ヘビたちの帰還・編】
<その7> 吾唯足知:われはただ「足りない」ばかり知っている
<その8> 天国には酒も二度寝もないらしい
<その9> どうしようもないわたしたちが落ちながら歩いている
<その10>「逃げちゃダメだ」と云わないで
<その11> アテ馬は意外と馬に蹴られない
<その12> ”〇〇”はゴールではない、人生は続く
<その13> イインダヨ? これでいいのだ!

【御崎十緒子の脱皮・編】
<その14> 耳目は貪欲に見聞し勝手に塞ぎこむ
<その15> 人生と誕生日は楽しんだもん勝ち
<その16> 隠者のランプは己を照らす
<その17> 闇で目を凝らすから星は輝く
<その18> トラブルには頭から突っ込まないほうがいい
<その19> 痴話喧嘩は甘いうちにお召し上がりください【前編】
<その19> 痴話喧嘩は甘いうちにお召し上がりください【後編】

【(タイトル未定)・編】
<その20> 招かれざる客は丁重にもてなせ


マガジン・小説『あなたに首ったけ顛末記』 
 ↑ 第一話から順番に並んでます。
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マガジン・小説『闇呼ぶ声のするほうへ』(スピンオフ・完結)
 
↑ <その14>のあとに書いたのでその辺でお読みいただくと楽しいかも? 


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