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教育記事から教育を考える

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教育関連の記事の中から気になるニュースをピックアップ。現在の日本の教育事情を解説していきます。お子さんをお持ちの方、教育関係者の方の参考にしていただければと思います。
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#ニュースで語る

形式的な平等と実質的な平等をどう実現していくのか(医学部合格率、初めて男女逆転 昨年の入試 文科省調査 朝日新聞 2月20日)

形式的な平等と実質的な平等をどう実現していくのか(医学部合格率、初めて男女逆転 昨年の入試 文科省調査 朝日新聞 2月20日)

全国に81ある国公私立大の医学部医学科の2021年度入試(21年春の入学者を選抜する試験)で、女性の合格率が13・60%となり、男性を0・09ポイント上回ったことが、文部科学省の調査で分かった。データのある13年度以降で、女性の合格率が男性を上回ったのは初めて。女性の方が男性よりも合格率が低い大学の割合も初めて半数を切った。

2018年に話題になった医学部の男女差別による合格率の問題が、2021

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特定の職業従事者の犯罪を報道する意味(盗撮に個人情報流出…山梨で相次ぐ教員不祥事 県教委「非常事態だ」 朝日新聞 2月1日)

特定の職業従事者の犯罪を報道する意味(盗撮に個人情報流出…山梨で相次ぐ教員不祥事 県教委「非常事態だ」 朝日新聞 2月1日)

教員の不祥事の報道が、昔より圧倒的に多い。
昔(と言っても、40年前まで)は、それほど教員の不祥事は報道されてはいなかった。それは、昔の方が不祥事が少なかったからなのだろうか。もし、そうであれば、それこそ大きく報道されても良いようなものだ。
そういう比較ができるデータが手元にないので、昔と今の不祥事の件数を比べることはできないが、それにしても昨今、不祥事の報道が多すぎる。

教員という職業が、聖職

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社会のメンタリティーを見つめ直す時ではないか(東大前刺傷、容疑の高2「以前から計画」当日に下見か 朝日新聞 1月17日)

社会のメンタリティーを見つめ直す時ではないか(東大前刺傷、容疑の高2「以前から計画」当日に下見か 朝日新聞 1月17日)

大変な事件が起きた。大学入学共通テストの初日に、東大の試験会場の路上で刺傷事件が起きてしまった。それも、東大を目指していた有名進学校の生徒が犯人だ。当然、世間は、この事件にいろいろな反応を示した。ネットの記事でしか情報はないが、その犯人像が、徐々に浮かび上がってきている。

このような事件が起こった場合、私たちは、何を問題にするべきだろうか。教育問題として考えた方が良いのか。それとも、犯人の特異性

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なぜ、18歳から成人なのか?(4月から18歳で「成人」改正民法が施行へ NHKニュース 1月1日)

なぜ、18歳から成人なのか?(4月から18歳で「成人」改正民法が施行へ NHKニュース 1月1日)

成人年齢の引き下げは明治9年に定められて以来初めてで、この春からは18歳になったら親などの同意を得なくても、クレジットカードやローンなどの契約をすることが可能になります。
ほかにも、有効期間が10年のパスポートの取得や、日本と外国、両方の国籍を持っている人の国籍選択、公認会計士や司法書士などの資格の取得、それに性同一性障害の人の性別変更の申し立てなども18歳からできるようになります。一方、飲酒や喫

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わいせつ教員の撲滅を!(わいせつ元教員、復職に自ら「更生」を証明 文科省が厳格化指針 朝日新聞 12月22日)

わいせつ教員の撲滅を!(わいせつ元教員、復職に自ら「更生」を証明 文科省が厳格化指針 朝日新聞 12月22日)

 文部科学省は22日、来年4月施行予定の「教員による性暴力防止法」の運用指針案をまとめ、公表した。わいせつ行為で教員免許を失った元教員が免許の再交付を申請する際、元教員自身に更生したことの証明を求め、医師の診断書を提出させるなど厳格化する。
 
 防止法は今年5月に成立した。これまでは子どもへの性暴力で懲戒免職になって教員免許が失効しても、3年たてば再交付を受けられたが、更生状況などから都道府県の

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何かを勘違いしてしまう土壌があるのかもしれない!(小学校校長をパワハラとセクハラで懲戒処分 栃木県教委  朝日新聞8月4日)

何かを勘違いしてしまう土壌があるのかもしれない!(小学校校長をパワハラとセクハラで懲戒処分 栃木県教委  朝日新聞8月4日)

今回の記事を読んで、私は一つの仮説を立てた。教育界における小さな世界の中の上位者(一つの学校の頂点に立つ校長や理事長)は、その所属する小さな世界の中では批判者が出にくいので、自分自身の立場や能力を過大評価しすぎる傾向が強く、夜郎自大になりやすいのではないだろうか、というものだ。

今回の記事から推測すると、校長という立場を利用して、自分の欲望を満たそうと色々なことをやっていたらしいが、そういう自分

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文科省もさることながら、提言機関にも反省を求めるべきでは!(記述式見送りめぐる混乱 文科省に反省求める提言案了承 産経新聞6月30日)

文科省もさることながら、提言機関にも反省を求めるべきでは!(記述式見送りめぐる混乱 文科省に反省求める提言案了承 産経新聞6月30日)

この件について、連続で取り上げることになった。避けるべきだとも思ったが、このような記事を見てしまったら、取り上げないわけにはいかないと思い、コメントをすることにした。(前回記事は最後のリンクから。)

反省するべき対象は、責任管轄の文科省とその当時の担当大臣、その当時の内閣総理大臣ではないか。そして、この提言を文科省に出した、安倍前首相の肝煎りで始まった教育再生実行会議ではないか。

前回も書いた

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こんなことを分かっていなかったのか!(共通テストの記述式、断念濃厚 文科省の有識者会議 産経新聞4月2日)

こんなことを分かっていなかったのか!(共通テストの記述式、断念濃厚 文科省の有識者会議 産経新聞4月2日)

大学入試改革をはじめとする高大接続改革について、主導した文科省と教育実行再生会議は、今回の記述問題の見送りに際して(まだ決定したわけでは
ないので、そうなれば)、きちんと総括をするべきではないか。

特に、教育実行再生会議は、参加したメンバーの教育現場に対する理解の浅さが問題ではないかと、私は2年前に指摘していた。教育現場や教育の制度的なことをあまり知らない経済人が、自分の頭の中でだけ、色々なこと

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教師のこのような発言は、なぜ起こるのか(児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け 朝日新聞3月22日)

教師のこのような発言は、なぜ起こるのか(児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け 朝日新聞3月22日)

言語道断!というのは、このような出来事ではないだろうか。教師が、子どもをけしかけて暴力行為を促すなどということはあってはならない。そして、日常的に、教師が言葉の暴力をふるい続けることも許すことは出来ない。

なぜ、このようなことが起こるのか。それは、小学校には「学級王国」を築きやすい形態があるからだ。教師が一人で学級を見ているから、そこに他者が入り込む余地が非常に少なく、チェック&バランスがなされ

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結果の平等と機会の平等を分けて考えるべきだ!(東大の合格者、女子が過去最多の21%「到達点でない」朝日新聞3月10日)

結果の平等と機会の平等を分けて考えるべきだ!(東大の合格者、女子が過去最多の21%「到達点でない」朝日新聞3月10日)

森さんの軽口が、大騒動を引き起こしたのは記憶に新しいところだが、あえて、男女差別の問題をここで取り上げたい。今回の記事にある福田東大副学長の発言は、男女差別的に問題はないのだろうか。

入試担当理事の福田裕穂副学長は10日の会見で「いろいろな人が学びの場にいることが大切。現状が到達点であってはいけない。30%、40%となるように努力をしたい」と話した。

東大の合格者の男女の比率を学内の努力で変え

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合理的なルールをみんなで創ることが、自治のスタートだ!(下着や髪形「ブラック校則」 過度な制限、見直し求める  朝日新聞2月23日)

合理的なルールをみんなで創ることが、自治のスタートだ!(下着や髪形「ブラック校則」 過度な制限、見直し求める  朝日新聞2月23日)

ブラック校則という、あまりにも合理的でない校則を変えていくためには、子どもたちに自治の練習をさせることではないか。昔の子どもたちは、子どもたちだけで遊んでは、喧嘩をし、仲直りをして、子どもたちの集団を作っていた。それが、子どもの世界に大人がやってきて、管理的な世界を築いていった。

例えば、地域の子どもたちが野球で遊んでいるところに、大人がやってきて、野球チームを作り、大人の道楽にしていった。つま

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学校の教員になりたくなる世間になることだ!(小学教員競争率 過去最低 昨年度試験2・7倍 産経新聞2月2日)

学校の教員になりたくなる世間になることだ!(小学教員競争率 過去最低 昨年度試験2・7倍 産経新聞2月2日)

この30年間の学校の先生に対する政治家、教育評論家、そして企業経営者の非難にも等しい物言いやマスコミの先生叩きが、学校の教師の社会的地位を相対的に低下させたことは間違いない。このことは、公務員にも言えることだ。

そして、学校での様々な事件と、それを隠蔽してしまう教育委員会の無能さをマスコミが報道して、更に、学校現場が大変なことを世間に知らしめた。この一連の、見せしめのような先生叩きの報道によって

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学校が、どんどん商業主義に飲み込まれていく!(埼玉県教委が中学校へのスマホ持ち込み緩和 懸念は? メリットは? 産経新聞1月26日)

スマホを学校へ持ち込んでも良いという意見が出だして、何年たつだろうか。緊急時にスマホがないと困るという意見が出てきて、日常でも使っているからと、どんどんスマホの持ち込みが認められるようになったが、教育という観点から見て、それは、本当に良いことなのだろうか。

もう一度、本当に良いことなのかどうなのかを考えてみるべきではないか。私の一番の危惧は、この問いに、皆さんは、何を思うかなのだ。
「スマホは、

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デジタル教科書をフォローする活動も一緒に考えよう!(デジタル教科書「2分の1」制限撤廃へ 産経新聞12月21日)

デジタル教科書をフォローする活動も一緒に考えよう!(デジタル教科書「2分の1」制限撤廃へ 産経新聞12月21日)

随分前のことだが、デジタル教科書についてTV取材を受けたことがあった。その時、学びは人と人の間にあるものだから、デジタル教科書
だけで完結してしまわないようにした方が良いということをコメントしたのだが、その部分は全く使われずに、余談のように言ったデジタル教科書は、面白い!的な発言が使われてしまった。

デジタル教科書は、面白いと感じる部分があるから、子どもたちも当初は面白がって積極的に使うだろうし

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