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つれづれなる日々のこと

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#エッセイ

準備の時間と思えるなら、少しは気が楽になる。

ほんの少しずつ、ほんとうにポツリポツリと昨今の影響が身の回りでも生じている。幸い、わたしの身の回りではまだ「にわか雨程度だし、さっと走れば濡れずにすむよ」程度で済むことなのでありがたい。

けれど、対処のしようがない問題でもあるため、長引くかもしれないという不安も、少しずつ心の中に広がっている。ポツリポツリと降り出した雨は、確実に地面を濡らし始めている。大きな水溜りや、ぬかるみができ始めてもいる。

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こちらの準備はまだ整っておりません

こちらの準備はまだ整っておりません

スマホのメールに迷惑メールというか、詐欺メールが送られてくるようになった。

もっとも、スマホのメール自体ほとんど使用していない。ほんの数人だけのために開設しているようなもの。そのため、迷惑メールが送られてきたところでたいして迷惑にも思わない。間違ってクリックしようがないからだ。

これまでに送られてきたことのある迷惑メールで断然面白かったのは「ジャニーズの一員を装ってメールしてくるもの」だった。

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諸事情を抱えたおひな様

諸事情を抱えたおひな様

「おひな様、処分しようと思ってるんやけど良いかな?」

この話が出たのは、昨年の夏の終わりごろ。父が亡くなって半年が過ぎ、実家にある父の物を少しずつ片付け始めている最中だった。

ひな人形は、桃の節句にかざるものだし、父の不在はまったく関係ない。しかし、わたしの実家でひな人形を飾るとき、いつも父の力が必要だった。

実家にあるひな人形は7段飾りの大きなものだ。姉が生まれた際に、母方の祖父母からお祝

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二分の一の確率には当てはまらないという、根拠のない自信

有料マガジン「&JOY」を廃刊します。

有料マガジン自体を削除する予定なので、そこにしまっていたnoteをぽつぽつと出しています。

2018年に書いたものなので、ここに登場する父は2019年2月に亡くなっています。ですが、病気が見つかってすぐのころに話していたことなので残しておきます。(年齢等、一部加筆修正しています)

***

父が病気になったことで、最近頻繁に実家に帰省することになった。

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非日常に慣れたくない

非日常に慣れたくない

「日常の中の非日常を演出して」という文脈をときどき見かける。けれど、演出としてではなく、突然転がり込んでくる非日常に対しては困惑するしかない。

いまはもう撤去されているのだけれど、会社近くの空き地に仏壇がおかれていたことがある。

普段通らない道だったので、いつから置かれていたのかは分からない。野ざらしの状態で置かれている仏壇は、気味が悪く、非日常にほかならない。

気味が悪いとはいえ、通り過ぎ

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フクロウの声に耳をすませて

梅雨が明けたかどうか。そのくらいの季節、わたしは夜毎そっと耳をかたむける。

わが家の近くに、どうやらフクロウが来ているんじゃないかと夫と話したのは、もう何年前のことだろうか。

海の近くに住んでいるためか、夏場でも風が通る。窓を閉め切ってエアコンをつけるよりも、眠るギリギリまで網戸にして、吹き込んでくる風で涼を取ることが多い。

「ホッホー、ホッホー」

はじめに鳴き声に気が付いたのは夫だった。

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わが家に増殖するピンクのエビ

わが家に増殖するピンクのエビ

数か月前、夫に「うちにストローある?」とたずねてきた。

確かずいぶん前にコンビニでもらったものがあるような、無いような……。そんなふうに答えると、夫は「あ、曲がらないタイプのやつか。じゃあ要らない」とスッと興味を失った様子だった。

曲がるストロー? うちではストローなんて使わないし、ましてや曲がるタイプのものは、あまり巷では見かけない。

何で曲がるストローが必要なのか、気にはなった。けれど、

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わたしたち、入れ替わってる?

わたしたち、入れ替わってる?

実家の体重計に乗ると、奇妙な感覚に陥る。わたしの身体は「70歳」と認識されるためだ。

実家で使用している体重計は、タニタ製。体組織も計測できるタイプだ。

少し前までは体重と、簡単な体脂肪率くらいしか測定できない体重計を使用していた。しかし昨年、姉の骨密度と筋肉量がどうやら少ないことが分かり、すこし意識して計測したほうがいいということで買い替えたという。

体組織も測定できる体重計は、とてもかし

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流す涙の意味は変わって

流す涙の意味は変わって

もっとしんみりとした気持ちになるかと思っていたのに。流した涙は意外にも、大笑いのはてに流れた涙だった。

父がさっさとこの世を去って一年が経過した。

ただ、父の名残のようなものが実家にはたくさん残されているので、一年という節目でまた母は悲しみに沈んでしまうかもしれないなと、心配もしていた。

しかし、一周忌の法要は、想像していた以上に混乱を極めていた。姉がなんども笑いを堪えているのがわかったし、

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ようやく落ち着いた日々がもどってきそうだ

ようやく落ち着いた日々がもどってきそうだ

「いやー、着岸失敗しちゃったよ。試験落ちたかも」

そういいながら帰っていた夫は、言葉とは裏腹にずいぶんと晴れやかな表情だった。

「夫が小型船舶2級の試験を受ける」という内容を何度か書いていた。1月25日が試験当日だったのだけれど、前日の夜も、夫の勉強に付き合わされた。

小型船舶の試験では学科と実技の試験がある、実技は実際に船を運転して、操作に問題がないかという試験。ただ、けっこう驚いたのは実

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体調って本当に大事よね

体調って本当に大事よね

少しまえに話題になったCMのコピーが本当に刺さる。

「努力か、才能か、いや体調だ」

大塚製薬の「BODY MAINTE」という飲料水のCMで使われたコピーだ。

才能があるかどうかは別として。苦手なことも努力でカバーしてきたタイプだと思う。才能がある人が努力していない、とかそういう議論をしているわけじゃない。ただ、わたしはコツコツやるのは嫌いじゃないし、コツコツの先に何かが見えているのならば、

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がんばれ、うちの受験生

がんばれ、うちの受験生

「なんか、お腹痛い。……行くの、ヤだなあ」

センター試験が行われた1月18日のこと。窓の外を見ながら夫がぼやいていた。なんだか体育の授業をさぼった小学生のわたしみたいだな。

その日は全国的に天候が荒れていて、わたしが暮らしている神奈川県の海沿いの町も雨風にさらされていた。

その日は二級小型船舶免許の実技講習が行われる予定だった。ひどい雨風のなか、船に乗ってアレコレやるのは大変だと言いながら出

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7枚切りの食パンを探している

7枚切りの食パンを探している

「自分に合うかどうか」を基準に考えることがある。けれどそもそも「自分」が変わることのほうが多い。それに、自分にぴったりだ、とってもしっくりくると感じているのはほんの一瞬しかない。

一番わかりやすい例としては洋服があるだろうか。子どものころ、すごきお気に入りの洋服があったけれど、自分の成長に伴って「なんだか子どもっぽくて嫌やなあ」と感じるようになってくる。そのうち、体のサイズそのものが合わなくなっ

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たぶん、向いていない

たぶん、向いていない

数日前にBar bossaの林伸次さんが書かれたnote。とても興味深い内容だった。

タイトル通り「SNSとの付き合い方って難しいなあ」と、スマホをスクロールしている手が、ふっと止まってしまう内容だ。有料記事だけれど、興味のある方はぜひ読んでみてほしい。

ただ、林さんの記事に書かれているような「かわいいパピヨンの画像」を見ることすら、わたしは最近つらくなってきている。

というのも、Twitt

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