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わたしたち、入れ替わってる?

実家の体重計に乗ると、奇妙な感覚に陥る。わたしの身体は「70歳」と認識されるためだ。

実家で使用している体重計は、タニタ製。体組織も計測できるタイプだ。

少し前までは体重と、簡単な体脂肪率くらいしか測定できない体重計を使用していた。しかし昨年、姉の骨密度と筋肉量がどうやら少ないことが分かり、すこし意識して計測したほうがいいということで買い替えたという。

体組織も測定できる体重計は、とてもかしこい。

はじめに設定さえ済ませてしまえば、ただ体重計に乗るだけで、「この人はだれ」と判定してくれるのだという。

わたしの自宅で使用している体重計は、「1番に設定した人」、「2番に設定した人」と登録する。毎回体重計に乗るときに、その番号を押して、判別してくれる。

しかし、実家の体重計は乗る前に何にも押さず、乗っただけで、判別してくれる。すごいなあと、はじめて乗ったときはそう思っていた。

しかし、設定した三か月後、帰省して体重計に乗ると「あなたは70歳の人」として測定し始めた。

んん? ちょっと待って。たぶん、それはわたしの母じゃない? わたしは38歳だからさ。70歳ってことはないんじゃないの?

ただ、体重が分かればいいので、再設定してまで変更したい、ということでもない。そのまま70歳の人として、計測し続ける。筋肉量とか、推定骨量なども測定され「あなたの身体は何歳程度ですよ」と表示される。けれど、68歳とか、70歳のまま、と表示されると、「む、70歳より若いはずなのに」と、ほんのちょっとモヤッとした気持ちになる。

対して、母は毎日測定しているにもかかわらず、毎日「38歳」と表示されているという。母も再設定するほどのことじゃないし、と放置しているという。若く表示されるのは、悪い気持ちせえへんし、と。

わたしと母の身体つきが、似ているところが混同ポイントなのかな? とはおもう。身長はわたしのほうが5センチくらい高いけれど、体重とか、骨量とか。

それでも毎回体重計に乗るときに「70歳」と表示されるとぎょっとする。実はわたしの身体の中身は母と入れ替わっていて、推定70歳くらいなのかもしれない。そうして母は「見た目は老人、身体は中年」といった、名探偵コナンの劣化バージョンのようなことが起きているのかもしれない。

母は最近、加齢によって膝を痛めているのだけれど、70歳のわたしが変わってあげられないものかと、思案している。





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