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【BL二次小説】 勇者ヤストモの冒険④


荒「引いてもらうとあんなに楽に登れるんだな。不思議なモンだ」

福「風避けは多ければ多いほどいい」

東「ワッハッハ!思い知ったか!オレに不可能など無い!」

 

 

東堂に先頭を引いてもらい、楽に山越えを終えた荒北達。

 

 

 

ふもとの村へ入る。

 

 

 

 

広場に人だかりが出来ている。

注目すると、一人の青年が女性達に囲まれ貢がれていた。

 

 

「新開くぅ~ん、私のクッキー食べてぇん」

「私の作ったケーキも~」

「このチョコも美味しいんだからぁ」

 

新「いや、腹減ってないんだ。それより通してくれないかな」

 

 

 

 

福「アイドルでも来ているのか」

東「フン。オレだって地元の村ではいつもあんな風にだな」

荒「……すげぇイケメンだな。あんなイケメン初めて見たぜ……」

 

荒北は囲まれている青年に見とれている。

 

 

 

東「荒北、目を覚ませ。イケメンとはオレのような男を言うのだ。これだから田舎者は」

 

 

東堂の言葉など耳に入らず、荒北は青年を眺めてポーッとなっている。

 

 

  

その視線に気付いた青年が荒北の方を向く。

 

新「!」

 

 

青年は荒北にロックオンし、視線を合わせた。

 

新「……」

荒「……」

 

 

 

青年は荒北と目を合わせたまま女性達を押し除け、荒北達に真っ直ぐ向かって来た。

 

「あーん」

「新開くーん」

 

 

 

青年は荒北の正面まで来ると、おもむろに腰を落とし、ひざまずいて荒北の手を取った。

 

荒「!」

 

 

そしてこう言った。

 

 

新「結婚して下さい」

荒「ハァ?」

 

 

ブン!

 

福富の斧が振り下ろされた。

 

新「うわっ!」

 

それを避けて地面に転がる青年。

 

 

 

福「コイツは魔物だ」

東「そうだな。この世にイケメンは2人もいらん。殺そう」

 

新「ま、待ってくれよ!」

 

慌てて身構える青年。

 

 

 

新「オレは本気だ!彼に一目惚れしたんだ!いつものオレなら食い気が勝ってそのキビ団子に突進するところだが、そんなオレが今日は目もくれず……」

荒「キビ団子……!」

 

 

福「言い訳にも何もなっていないな」

東「魔物の言葉など理解出来ん」

 

荒「待ってくれ二人共!」

 

福富と東堂を止める荒北。

 

  

福「惑わされるな荒北」

東「コイツはきっと魅惑の魔物サキュバスに違いない」

 

 

 

荒北はビビっている青年に手を差し出す。

 

荒「キビ団子と言ったな」

 

新「!……ああ。そのキビ団子ももちろん気になるんだが、それよりもおめさんの方がずっと魅力的だ」

 

青年は荒北の手を取り立ち上がりながら言う。

 

 

 

荒北はキビ団子をひとつ青年に渡した。

 

 

 

荒「オレの名は荒北靖友。他ゆかいな仲間達だ」

福「ム!」

東「省略とは!」

 

 

新「靖友……素敵な名だ。オレは新開隼人。安心してくれ。こう見えてDTだよ」

荒「聞いてねェ。職業を言え」

 

 

新「オレの職業は、魔物使いだ」

荒「魔物使い?」

 

 

 

福「魔物使いなど何の役に立つ」

東「うちのパーティにあと不足しているのは回復役なのだ」

 

 

新「回復役?それならまかせてくれ。ほら」

 

新開はそう言うと、右手を挙げて指をパチンと鳴らした。

 

 

 

ドドドド……!

 

 

どこからともなくウサギの群れがやって来て、荒北達に飛び付いた。

 

荒「ウワァ!」

福「ムム!」

東「何をする!」

 

 

 

ウサギ達は荒北達にモフモフと擦りついてくる。

 

モフモフ……モフモフ……。

 

 

 

荒「あ……あァ^~」

福「これは……」

東「ううっ……癒される……」

 

 

荒北達はHPが満タンになった!

(ファンファーレ)

 

 

 

 

荒「新開……仲間になってくれるか?」

新「もちろんだよ靖友。一生の愛を約束するぜ」

荒「いや、そこまでは要求しねェ」

 

 


新開隼人が仲間になった!

(ファンファーレ)




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