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【BL二次小説】 勇者ヤストモの冒険①


~A村~

 

 

 

「それだけは!それだけはご勘弁を!」

「村の御神体なのです!」

 

悲痛に叫ぶ村人達。

 

 

 

 

御「ズゴック。しかもシャアズゴ。ええ趣味しとるねぇ」

 

魔王御堂筋はその長身を腰で2つに折り、御神体の赤いシャアズゴに手を伸ばしてニタリと笑った。

 

 

 

御「これ、貰ろてくわ。ほな行こか」

 

シャアズゴを懐に入れ、消えていく御堂筋。

 

 

「ああ~。大事な御神体が~」

 

 

 

 

 

~B村~

 

 

「おやめ下さい!それは代々うちの村の守り神なのです!」

「魔王であろうとやられはせん!やられはせんぞ!」

 

 

 

御「ビグ・ザム。……渋っ。ええね。ほな行こか」

 

御堂筋は満足気にビグ・ザムを手に入れて消えていく。

 

 

 

「やられはせん……やられた……!」

 

 

 

 

 

 

~C村~

 

 

「うちの村の御神体はこれです。これでどうかご勘弁を」

御「ど~れ」

 

差し出された御神体を確認する御堂筋。

 

 

 

御「……ガンタンク……?」

 

ガタガタと震えている村人達。

 

 

 

御「……キモ!」

 

「ぎゃーーーっ!」

 

村人達は御堂筋の魔法で全員石にされてしまった。

 

 

 

 

  

最近、世界の各地にガンプラ好きの魔王御堂筋が出没し、御神体であるガンプラを奪っていくという事件が頻発している。

 

御堂筋が気に入る御神体なら奪っていくだけで済むが、気に入らない御神体だとその村の全員が石にされてしまうという。

 

 

 

 

 

~箱学村~

 

 

 

長老「うちの御神体はこちらになります……」

御「ど~れ」

 

確認する御堂筋。

 

 

 

御「これは……ザクレロ!しかも……改!」

 

 

長老「超レア物で二度と手に入りません。どうか御慈悲を……」

 

懇願する長老。

 

 

 

御「ええね!ええね!これもうボクの宝物や!ほな行こか」

 

上機嫌で消えていく御堂筋。

 

 

 

長老「ああ……我が村も奪われてしまったか……」

 

 

 

 

 

 

荒「どした、ジジィ。みんなもシケたツラして」

 

村役場の連中がどんよりしているのを見て声を掛ける荒北。

 

 

 

荒北靖友は、箱学村に住む若者だ。

 

今日も裏山で採ったタケノコを大量に村へ持ち帰った。

 

態度や目付きや口は悪いが、面倒見が良く正義感溢れる青年である。

 

 

  

荒「ハァ?御神体のザクレロ改が魔王に奪われたァ?」

 

驚く荒北。

 

 

長老「奪われたのは痛いが、村人が石にされるよりはマシじゃ。仕方ない」

荒「仕方ないって……諦めンのかよジジィ!取り返そうぜ!」

 

長老「魔王の魔法は強力じゃ。誰も敵わん」

荒「なんか方法はねェのかヨ!」

 

苛立つ荒北。

 

 

  

長老「待て、靖友よ。オマエ、その剣は……?」

 

長老は荒北の持っている剣に気付いて尋ねる。

 

 

荒「ア?これァ裏山のほこらの中に突き刺さってたヤツだ。タケノコ狩りにちょうどイイんで、引っこ抜いて使った。切れ味抜群だったぜェ」

 

シュッシュッとその剣を振り回す荒北。

 

 

 

長老「……オマエ!あの剣が抜けたのか!」

 

村役場の全員がざわつく。

 

 

荒「抜けたヨ?スルッと。そういや抜いた瞬間光が差してファンファーレが鳴ったなァ」

 

全員「おおお!」

 

荒「?」

 

荒北はなぜみんながざわざわしているのか解らない。

 

 

 

ガシッ!

 

荒「!」

 

長老は荒北の両肩をガッシリ掴んで言った。

 

 

 

長老「なんということじゃ!靖友よ!オマエは……オマエは、伝説の、勇者じゃ!!」

 

荒「ハァ?」

 

 

 


 


荒「──要するにィ、これは昔から誰も抜くことが出来なかった伝説の剣“マスターソード”でェ、抜いた奴は勇者だと。……ベタな設定だぜ」

 

長老から一通り説明を受けた荒北は呆れている。

 

 

長老「そのマスターソードなら、魔王の魔法も跳ね返すことが出来よう」

荒「ホントかよ。誰か試したのか?」

 

長老「靖友よ、魔王を倒すのじゃ。それがオマエに与えられた使命じゃ」

荒「ハァ?オレがァ?」

 

長老「準備は整っておる。すぐに旅立つのじゃ」

荒「早っ!こんな時だけ仕事しやがって」

 

 

 

 

荒北は村人達に急かされるように送り出される。

 

 

長老「これを持って行け。村に代々伝わる補給食、キビ団子じゃ」

荒「桃太郎じゃねンだよ」

 

長老「このキビ団子は特別じゃ。道中これに吸い寄せられてくる者がいれば仲間にせよ。きっとオマエの力になってくれるであろう」

荒「ただの食いしん坊だろ」

 

 

 

 

かくして、村人達に盛大に見送られ、勇者荒北は魔王御堂筋を倒すべく旅立つのであった。

 

 

 

──と思ったら、すぐに戻ってくる荒北。

 

 

長老「どうした。忘れ物か」

 

荒「魔王って、ドコに居ンだよ!!」

 

 

長老「京都伏見山の頂上じゃ」

荒「それ早く言って!」




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