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『お花とエッセイ』作品集 その14

つ、ついに…!作品紹介も今回でラストです。

合計71作品、ひとつひとつしっかり読んで紹介してきました。いよいよ選考です。yuca.さんとつる・るるるさんとじっくり相談して、来週中には発表したいと思います!

さて、最後の6作品です。どうぞ最後までお楽しみください!

66.星の草をおばあちゃんに

一面に広がる田畑と広い空、小川にはメダカ、そんなのどかな田舎で育ったMarmaladeさん。

小さいころの一番古い記憶は、いちご栽培をしていたおばあちゃんの作業を手伝っていた思い出です。いちごのビニールハウスが遊び場だった幼少期。いちごハウスのむんとした空気や匂いは、今でも色あせることなく感じるそうです。

家族の真ん中で、いつも静かにみんなに愛情を注いでくれたおばあちゃん。俳句が好きで、お花が好きなおばあちゃん。

おばあちゃんの家までいく道中に咲いた小さな星の形をしたお花を思いだしながら、大好きだったおばあちゃんに贈るステキなエッセイでした。


67.紫陽花の咲く頃に

昔気質で、亭主関白だった西野さんのお父さま。毎朝3つの新聞を読むのが日課。物知りな反面、口うるさくて若いころは辟易したこともあったそう。

「こんなところに紫陽花を植えてはダメだ!」

結婚して間もない頃、新居の玄関先に植えてた紫陽花を見て、お父さまが半分怒ったように言いました。あまりに言われるので仕方なく広い場所に移した西野さん。

思い返すと実家の庭にも、大人が両手いっぱい広げるくらいの紫陽花がありました。そういえば小さいときはよく、眠る前にお父さんが昔話をしてくれたなぁ。

紫陽花を見るたび、今は亡きお父さまとの思い出がよみがえってきます。鮮やかな紫陽花が目を引く、美しい写真でいっぱいのエッセイでした。


68.一輪のガーベラ

お花屋さんに行くと、無意識に「ガーベラ」を探してしまうという三谷さん。ガーベラの花を見るたびに強く思い出すイメージがあるそう。

それは、おばあさまの家のことです。

長らく一人暮らしをしていたおばあさまが入院されてからも、定期的に訪れていたそのおうち。家の中にあった年季の入ったローテーブルの上に置かれた満開のガーベラが、一枚の静止画として強く記憶に残っているんだそう。

あれから数十年が経ったことに、今でも「本当に?」という気持ちになる三谷さん。そんな色あせないイメージのはなしを、「お花とエッセイ」に寄せてくださいました。


69.花をしょっている人たちの話

いつからか、背中にお花を背負う人がいることに気が付いたchiyoさん。実際に背負っているわけではなく、人の背後にイメージのように花が浮かぶんだそう。

きっかけは、看護師2年目のときに出会った患者さんでした。話し方も控えめ、言動も上品で物静か。その方の姿に、「紫のすみれの花」を背負っているように感じたんだとか。

整形外科のT先生が背負しょっているのは「大輪のカサブランカ」で、異動で新しくきた、笑顔が爽やかな主任の背中には「黄色のガーベラ」。はたまた陽気でチャラいK先生には、「赤いハイビスカス」が見えます。

花を背負しょっている人が身近にいるとはなんて素敵なことだろう。

「自分はどんなお花なんだろう?」「ぼくのまわりにもお花がたくさんあるかもしれないな」と、気づけばchiyoさんのステキな感性に惹きこまれていたエッセイでした。


70.忘れな草と、母のおもかげ

こないだ、ふとショーウィンドウに映る自分を見て、どきっとしたんです。

そう語るおりちゃさん。ガラスに映る自分の姿が、おかあさまにそっくりだったそうです。年齢を重ねるごとに似てきたなぁと感じる気持ちはとても共感します。

似てきたのは、見た目だけではありません。冷蔵庫の前で何をしようとしたのか忘れて「あれっ?」と立ちつくしたりと、日常のあらゆるシーンでお母さまに似てきたと実感することがあります。

無言で反対された結婚のこと、子どもが育ってから始めた庭のガーデニングのこと、花壇に咲いていた「忘れな草」のこと。おかあさまとのエピソードが次々に思い出されます。

ガラスに映った自分に母のおもかげを見るのは、母に会いたいからなのかもしれない。頻繁には会えないおかあさまのことを想いながら書いて下さった、あたたかいエッセイでした。


71.初めて桜を見た日

お花がきらいだった、小さいころのますださん。花柄の布団にスーパーの造花にと、周りにあるお花を見ていてもあまり心が動きません。

おばあさまの四十九日の法事の日のこと。大人が集まってお酒を飲むだけの場所に連れて来られたことに、内心いらいらしていたというますださん。いっそ出てしまおうと、こっそり席を立ち外へ向かいます。

誰にも見たからないようにと、自分だけのミッションをやり遂げて、無事にロビーを抜けます。よしっ、と外へとつながる自動ドアから勢いよく飛び出します——と、そこにあったのは、、、。

素直な幼心と、風を感じるような描写に惹き込まれるエッセイでした。



応募いただいた記事は一覧にして近日中に公開予定です!参加してくださった皆様へのお礼も後ほど〜!

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↓『お花とエッセイ』作品集↓
その1 その2 その3
その4 その5 その6
その7 その8 その9
その10 その11 その12
その13 その14


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