『お花とエッセイ』作品集 その11
フルタのチョコレートのプレゼントキャンペーンに応募しようと、パッケージについている応募券をこそこそと集めているともきちです。
（BIG LEDランタンがあたるんだって！）
チョコとコーヒーをお供に、『お花とエッセイ』に応募いただいた作品を引き続き楽しく読んでおります。
作品紹介その11、元気にまいりましょーう！
51．「リンドウは正しい角度を、夢に見る：ヒスイの2000字チャレンジ⑭」
訪れた病室。お見舞いにきた「あたし」のことも忘れてしまった雷おばあさま。あれほど好きだった花も、今では名前ひとつ思い出せないのだそう。
退院の予定は、ない。
そういうことだ。
それでも親族はひっきりなしに見舞いに来る。
長年、一族を支えてくれた女傑に敬意を表するために。
病院の窓から夕暮れ色に染まる街並みを見下ろしながら、何度も聞いた会話に返事をする。いつもと同じお見舞いが今日も終わろうとします。
病室に戻ると、ふと花瓶にいれたリンドウの花に手を伸ばしたおばあさま。しわの多い、真っ白な手で花をつまみ上げ、花器に挿し直します。━━と、おばあさまがあたしに言います。
「あんたは、いつも角度をまちがえる」
紹介文では語り切れない息をのむような文章は、ぜひヒスイさんの記事にてお楽しみください。。
52．花想いは人ごころ
小学校のクラスにいた、ひと際目立つ同級生「Fさん」。人の注目を浴びるのが好きで、典型的なかまってちゃん。だいふくだるまさんは正直苦手だったといいます。
苦手な人ほど不思議な縁があって、いつしかFさんとは、社会人になっても連絡を取り合う数少ない友人に。
今思うと、Fさんには華があった。
苦手だったFさんに、本当は憧れていたのかもしれない。本当は似た者同士で、誰かにきちんと認識してもらえることを待ち望んでいたのかもしれない。苦手な「お花」との共通点を見出しつつFさんへの想いを語った文章は、披露宴のスピーチを聞いているかのようにやさしい気持ちになれました。
53．押し花にしたい記憶。
甥っ子と一緒に車でコンビニへ向かった星野さん。彼がその小さな手で指さす先には、お花屋さんがありました。
「ままに、おはなかうの」
彼のイケメンぶりに胸がきゅいーんとしつつも、若干の嫉妬心も覚えたという星野さん（もうこのあたりから星野うみ。ワールド全開で楽しい！）。
しかし、コンビニではお花を買えませんでした。残念がる甥っ子さんに、星野さんはある提案をします。それは、庭に生えているハーブのお花を摘もうというものでした。
「ママ、喜んでくれたらうれしいね」と声をかけた星野さん。テクテクと近寄ってきたちっちゃいカレシは、お花でいっぱいになったカップからいくつか取って━━と、星野さんの「押し花にしたい記憶」の続きはぜひ記事にてお楽しみください。
54．一年間～グミの花を見て思うこと
一年も経たない間にグミに関する記事を複数書くほど、グミの木に惹かれている歓怒さん。夏目漱石の菫の歌を思い出しながら、「目立たない小さな花に惹かれるんだろうか」とぼんやり考えます。
季節の変わり目にはもう一つ、思い出す歌があるそう。それは病床の正岡子規が歌ったこの歌です。
いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春行かんとす
「私にとっては今年だけの春」と言いつつも、実は次の春も迎えた正岡子規。
たった一年増えただけの人生だけど、子規はどんな気持ちで翌年の春を迎えたのだろう。
そんな考えを巡らせながら、一日一日を大切に生きていきたいと結ぶ歓怒さん。その意思に「自分も……！」と思えたエッセイでした。
55．命をつなぐ花たち。
冬から春にかけて咲く、クリスマスローズ。庭に咲くその花は、18年ぐらい前に親戚のおばさんに株分けして貰ったものでした。
おばさんは昨年、ご病気で旅立たれたのだそう。余命があとわずかとわかったとき、時節柄会えなかったカニさん。そのかわりに、クリスマスローズを描いた絵手紙を送られました（ぜひそのお写真は記事にて！）。
今年の春、満開になったクリスマスローズを見て、カニさんはおばさんを思い出して胸が熱くなったんだそう。
咲くたびに私はおばさんを思い出すだろう。
花が命の灯火を繋いでいる、そんな気がした。
最後の一文が心にやさしく染みて、亡くした祖父や祖母のことを思い出して目頭が熱くなった、とても読後感の良いエッセイでした。
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