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『お花とエッセイ』作品集 その7

〆切まで残り3日となりました!

いやーほんとにありがたいことに、5作品ずつ紹介するこの記事が追いつかないほどたくさんご応募いただいています。

とはいえ変わらず丁寧に、ひとつひとつじっくり読みながらこうしてご紹介していきます!

同じテーマで他の人がどんなふうに書いたか見るのって学ぶことも多いと思います。ぜひ作品紹介もゆるゆると読んでいただければうれしいです。

31.シュレディンガーのチューリップ

URONさんの通った保育園では、ひとりひとりに「マーク」があったそう。明るくて元気で声の大きい友達は「機関車」、ちっちゃくてしっかりしてた友達は「てんとう虫」という具合に。

URONさんのマークは「チューリップ」。今でもチューリップの花を見るたびに「あ、私のだ」となるんだとか。

私のであって、私のでないチューリップ。保育園のころの思い出に潜む純粋で不可思議な心の内を、#夜のひとりごと と合わせて教えてくださいました。


32.私の王国

幼いころのりみっとさんにとっての「王国」、それはお父さまが勤める保養施設の一角にある雑木林でした。

春には一面にスミレの花が咲き、夏にはセミの鳴き声で溢れかえる。秋には地面に落ちているドングリを見て「クリもないかな」と王国中を散策し、冬には雪化粧をまとった景色を空想しつつ、また王国へ行けるであろう春を待つ。家来もいないし、「そんなことをしちゃダメだよ」と咎める人もいない、私だけの王国

「お〜い!そろそろ帰るぞ〜!」

この声が、りみっとさんを王女から現実に呼び戻す魔法の言葉でした。

「今日は何を食べたい?」と父が聞く。
「五目中華そば!」と答える私。
「また、それか!」笑う父。

夕暮れ時、仲良く手をつないでお店へと向かうお二人の後ろ姿が見えるような、やさしく情緒的なエッセイでした。


33.距離感

曼殊沙華まんじゅしゃげを撮りに行った日はずっと、目の奥に朱の残像が滲んでいるような気がする。

彼岸花の別名がよく知られた、ダークな雰囲気がつきまとう花。カメラの光量を絞ると陰影が濃くなる、くらく底光りするような朱が魅力だと語る真柴 みことさん。

その妖艶な魅力はもはや呪縛のようです。カメラを収めてからも頭から離れないその朱に、「今年はほんの少し、曼殊沙華との距離感を見誤ったのかもしれない」と、曼殊沙華にすっかり魅了されてしまった自分に気が付きます。

こちらのエッセイはぜひ、記事の中の写真と一緒に見てほしいです。ぼくは特に最後の写真が好きでした。


34.輝かせるのもお仕事です

仕事中に届いた社内メール。差出人は別の部署ではたらく「森山」さん。素朴で、少しおどおどしていて、でも実はおしゃべり好きな彼。そんな彼とまど夏さんは、食堂で何度かお話したことがある仲だそう。

メールの内容は、「お花を展示」をするにあたり玄関ホールを使わせてほしいというもの。当日、展示の案内をする森山さんの声が館内放送から流れました。そのボソボソと話す男性の声にざわつく社内。実はいい声だと知っているまど夏さんは、「悪い人じゃないんだけどなぁ」と勿体なさを感じつつ仕事に戻ります。

昼下がり、ふらっと展示を見にくと、そこには10×5×2メートルほどの華やかなスイートピーの丘が。玄関ホールには生花の香りが広がっています。端の方に森本さんの姿を見つけ、声をかけるまど夏さん。

「すごいね」
「私は何もやってないんですよ。あのおじさん(花卉農家さん)たちはああ見えて、花の「見せ方」を知っているんですよ」

━━「見せ方を知っている」

思わず素朴な森山さんのことが頭に浮かんだという、やわらかい日常を感じられるエッセイでした。


35.あなたの笑顔の様な花

wisteriaさんのスマホに届いた1件のLINE。

「元気??突然なんだけど、住所教えてくれない?」

差出人は同じ学部で仲良しだった親友。4月から社会人の彼女とは、今度久しぶりに会う予定でした。それがワクチン接種の副作用で叶わず心残りに思っていたところ、このLINEが届いたそう。

このメッセージを見た時、
一瞬、『なぜ、住所を?』と疑問に思ったが、
よくよく考えてみれば、
そうか、そういうことか、と彼女の心を知ってしまった。

実は誕生日が近かったwisteriaさん。サプライズを察してしまった自分の敏感さに申し訳なさを感じつつ、その日を待ちます。

後日、花屋さんが持ってきてくれたのは、親友からの花籠とメッセージカード。気づいていたはずが、いざその花籠を見るとうれしさがこみ上げます。花籠の花々に、かつてよく見た彼女の笑顔が重なります。

離れていても想いは届く、そのことをまさに体験された、ステキなプレゼントのおはなしでした。


「お花とエッセイ」、募集要項はこちらです!

最後までお付き合いのほど、よろしくお願いします!

これまでの作品集はこちら↓
『お花とエッセイ』作品集 その1
『お花とエッセイ』作品集 その2
『お花とエッセイ』作品集 その3
『お花とエッセイ』作品集 その4
『お花とエッセイ』作品集 その5
『お花とエッセイ』作品集 その6


yuca.さんの作品集はこちら↓
お花とエッセイ応募作品集その1
お花とエッセイ応募作品集その2
お花とエッセイ応募作品集その3
お花とエッセイ応募作品集その4
お花とエッセイ応募作品集その5
お花とエッセイ応募作品集その6

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