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焦点距離の選び方

ポートレートを撮影するとき、レンズの焦点距離を何ミリにするか。その判断に迷われている方、もしくは特に意識をせず毎回同じ焦点距離で撮影するという方もいらっしゃるかもしれません。
今日はポートレートと焦点距離の話です。


24mmと55mmでの比較

焦点距離の決め方にはいろんな基準があるかもしれませんが、自分の場合「人物と背景のどちらをどの程度強調したいか」という基準で選択しています。

https://stock.adobe.com/jp/stock-photo/id/605587620

例えばこの写真。24mmのレンズで撮影しています。(ちなみに広角レンズは構図の端に行くと歪みが生じるので、あえてセンターに顔が来るように撮影しています。いわゆる「日の丸写真」を避けたい場合、撮影時にではなく、この記事のトップ画像のように撮影後のトリミングで顔のポジションをセンターからずらすのもありです)

次の写真はほぼ同じ場所で、構図の中の人物の比率もほぼ同じ。けれど55mmのレンズで撮影したものです。

https://stock.adobe.com/jp/stock-photo/id/629817735

立ち位置が若干異なっているものの、24mmで撮影したものに比べ、写っている木の幹の数が減り、逆に葉っぱのグリーンが詰まった印象になります。
これがいわゆる「圧縮効果」で、図にするとこのようなイメージです。

構図の中に占める人物の割合を同じにするため、55mmの場合は24mmで撮影した時よりモデルから離れたポジションから撮影をしています。

望遠にすると背景は抽象化される

85mm、105mm、135mmと焦点距離を長くしていく度に、映る背景の範囲は狭くなり、同時に絞り値が同じであればボケ感も強くなっていくので、どんどん背景が抽象化されます。(今回の写真で言うと、200mmで撮影すると背景はほぼボヤけたグリーンになります)
逆に広角側にしていくと背景の範囲は広がり、背景の情報が多い写真になります

これは、どちらがいいというわけではありません。そのポートレート写真の中で、背景にどのような意味を持たせるかによって、焦点距離の選択が変わります。

左が24mm、右が55mmです。

「人物:背景」の重要度の比率によって決める

撮影意図として「人物の表情などが重要で、背景はさほど重要でなく色味程度で良い」のであれば、中望遠や望遠レンズを使って背景をどんどん抽象的にしていきます。
逆に、施設など屋内で撮影するとき、その空間が持っている情報を見せることも重要だという撮影意図(例えば学校の中で学生のポートレートを撮る際、机や椅子など教室の雰囲気も見せたい、など)の場合、ある程度広角側の焦点距離で撮るのもありです。

つまりポートレートを撮影する際、「人物:背景」の重要度の割合を考え、例えば
「9:1」→焦点距離200mm
「7:3」→焦点距離85mm
「5:5」→焦点距離50mm
「4:6」→焦点距離35mm

など自分なりの基準を作っておくと、より意図通りの写真、またはバリエーション豊かな写真が撮れるのではないかと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。



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