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「もうすぐ家族が1人増えるの」ある英語講師が失ったもの

ラプソディー。彼女は私が利用しているオンライン英会話の講師。彼女と会ったのは本当に偶然。私がセブ島留学をしているときにカフェで仕事をしているそばで、彼女を含む先生たち十数名がチームメイトの写真を撮っていたのを見て、全員の写真を撮ってあげたんです。そしたらお礼にピザをくれて……。

「なんでカフェにピザ持ち込んでみんなで食べているの?」と聞いたら、一人の先生が「今日は彼女の誕生日なの。そして明日彼女は結婚するんだよ」と教えてくれました」

私は、このとき彼女のことをまだ何も知らなかったけど、彼女には4人の娘がいて、昨年末5人目のお子さんを流産してしまったといいます。

「私の人生はジェットコースターみたい」。彼女はこれまでどんな人生を歩んできたのでしょうか。

両親は仕事で忙しく、5歳の時、妹たちの食事を作っていた

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「私は5人兄弟の長女として生まれたの。父と母は忙しく、5歳の時には母が私に料理の仕方を教えて、妹たちの朝食などを用意するようになった。母は朝早く起きて仕事に出かけてしまうから。私たちは貧しい家庭だったから両親はいっぱい働かなくちゃいけなくて」

彼女はフィリピン・ミンダナオ島で育ったといいます。

「私は学生の頃、バイトをしながら勉強もがんばった。だから奨学金が受けられて大学に進学できることになったの。ウエイターの仕事やハウスクリーナーの仕事もやった。ときどき友達が私に部屋を掃除してといって、それをやると彼女が私にお金をくれることもあった」

現在、彼女が住むフィリピン・セブ島で奨学金制度ができたのは2014年ですが、ミンダナオ島ではもっと早くから制度が整っていたそうです。

21歳で結婚。高いお金を払ってでも離婚したかったワケ

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「セブ島には2006年に引っ越したの。両親がセブ島に行くから家族みんなで引っ越し。21歳の時に出合った最初の旦那さんと結婚して、子どもが生まれた」

「でも、うまくいかなかった。4年後、私たちは離婚することになったの」

フィリピンでは、基本的に離婚は認められていない。結婚を白紙に戻す手続きをするときも、かなりのお金がかかるという。彼女はお金を払って離婚したの? 離婚することについてはどう思っているの?

「当時、離婚するときに10万ペソ(日本円で約20万円)払ったの。昔ながらの考えの人は、離婚はすべきじゃない。がまんして一生添い遂げろというけど、それだと愛情がないままの生活になってしまう。私は、結婚してどうしても合わなかったら別れるのも選択肢の一つだと思うの。別れたらまた別の人と一緒に愛ある家庭を築けるかもしれないから

最初の旦那さんと別れた後、彼女は別の男性と事実婚生活を始めることに。「彼はフィリピンとインディアンのハーフ。最初は良かったんだけど、途中で彼がインディアンの国に帰ることになって、別れたの。その後、彼は亡くなったと聞いた」

現在の旦那さんとは、2019年6月に結婚。事実婚とはいえ、人生で3回も結婚できるのはすごい。彼女はとても世話好きで、いつもモチベーションが上がるような言葉をたくさんかけてくれるから、モテるのかもしれません。

「本当は5人の子のママになるはずだったのに……」

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彼女が「ジェットコースターのような人生だ」といったのには、もう一つ子どものことがあります。彼女は4人の子どもを育てたけれど、長女は21歳の時にガンで亡くなったそうです。もう1人、彼女は子どもを亡くしました。2カ月ほど前に。

2019年12月、私は再びセブ島留学をした際に、彼女と会いました。そのとき彼女のおなかには4カ月になる赤ちゃんがいて、彼女は元気そうでした。

「あなたと会った2週間後、突然夜中におなかが痛くなって、トイレに行ったら出血してしまったの。12月23日だったから、24日に病院に行って。流産したことがわかった。今の旦那さんとの間の初めての子だったからとても楽しみにしていたのに。忙しすぎてストレスがかかってしまったんだと思う。まだ4カ月と13日だったから、性別もわからなかった。

流産したことを知った時、悲しくて涙が止まらなかった。なんであのときもっと体に気をつけなかったんだろう。なんで無理しちゃったんだろう。もっと気をつけて過ごして入ればって、そればかり考えちゃって。診察してくれた女医さんが‟妊娠3カ月までは、あなたはとてもよくやっていたと思うよ。いろんなことに気をつけてたでしょ”って言ってくれたけど」

仕事に子育てにと、ワーキングマザーはいつも大変

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私は、今日、彼女が流産したことを知りました。ずっと順調に育っていると思っていたから、彼女にとても申し訳ない気持ちになりました。

ついでにいうと、娘が4人もいたことも初耳でした。彼女とはオンライン英会話の授業を通して何度か話しているし、子どものことも聞いていたけど。彼女には、21歳で亡くなった娘さんをはじめ、18歳、14歳、8歳の子どもたちがいます。

「去年は13歳(当時)の娘が反抗期で大変だった。なんでうちは学校行事にお母さんが来てくれないの? なんで伯母さんなの? ほかの家の子はみんなママが来ているのにと、娘は言うんだけど。私は朝、早くからオンライン英会話の講師として働いているから、まだ娘が寝ているうちに家を出てしまう。夕方、仕事が終わってからは、別のところで働いている。夜家に帰るのは10時くらい。だから娘とゆっくり話す時間もなくて。

学校行事は、上の子がいってくれてるの(フィリピンではある程度年齢がいっていれば、三者面談などのときに兄弟がいくこともあるそう)。でも、彼女にとってはそれがイヤみたいで。本当は私が行くべきなんだけど、仕事がやすめないの。シングルマザーって本当に大変」

日本でもフィリピンでも、働く母親は大変。シングルマザーの場合はそれに輪をかけて大変……。

子どもたちの笑顔が私の元気の源

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まだまだ手がかかる子どもたちに対して、彼女はどう思っているのでしょうか?

私はどんなことがあっても子どもたちを導き、子どもたちを全力で守るわ。私は母親だから、子どもたちが何か困っていたり、心配事があれば、すぐに気づくと思うの。彼女たちが幸せでいることが私の幸せになるから。時々子どもたちと一緒にケーキを食べるの。その時間がすごく幸せ

「あなたと話していると1時間があっという間ね。たぶん1日あっても話は尽きないと思うわ! 私の話を聞いてくれてありがとう。ブログに書いてくれることを楽しみにしてるね! またオンライン英会話の授業で会いましょ!」

彼女は発音のレッスンが上手。いっぱい生徒をほめてやる気にさせてくれる。また彼女と授業で会えることを楽しみにしています。







フィリピンセブ島の孤児院で出会った子どもたちをサポートします😊✨✨子どもたちが大人になったとき、今度は誰かをサポートしてあげられたら素敵ですね❤️