見出し画像

【social problems in the Philippines】オンライン英会話を通して知った文化・英語教育・LGBTQ・経済・社会問題

私は、毎日オンライン英会話を始めてもうすぐ1000日を迎えます。英語学習を始めた頃は、先生の指示も理解できず、言いたいことも言えませんでした。また、仕事も忙しく、毎日受講を続けるのが本当に大変でした。しかし、休まず続けていたら、少しずつ先生の話が聞き取れるようになり、オンライン英会話を教えてくれているフィリピン人の先生たちの家族の絆や文化、英語教育問題、LGBT事情、ストリートチルドレンや孤児院などの経済・社会問題について知ることができました。その結果、アジア研究会で発表する機会をいただき、フィリピンの現地事情について発表することになりました。この発表はスピーチの下書きで、協力してくれたオンライン英会話の先生たちにも伝わるように英語をつけました。

I will tell you about LGBT situation in the Philippines that I learned by studying English, the situation in the orphanage, and about the study of English that I thought about when I was studying abroad on Cebu Island.



オンライン英会話を通して知ったフィリピン。英語のレベルはどのくらい?

大学を卒業してから20年近くが経ち、改めて英語を学ぶことにしました。その理由は2つあります。1つは、日本と海外の教育の良さについて記事を書くため、英語でのインタビューが必要になる可能性があるからです。もう1つは、世界中に住む人々の生活や思いを記事にして、多くの人々に伝えたいからです。そのため、英語を話せるようになる必要性を感じ、2019年1月からオンライン英会話を始めました。

There are two reasons why I study English.This is to interview local people about education in English.

私は、フィリピンのセブ島にある語学学校QQEnglishで、22歳のJouie Renart(ジョウイ・レナート)さんから毎朝オンラインで英会話を教えてもらっています。先日、彼との会話の中で、彼がゲイだということがわかりました。日本では、LGBTの人々が生きやすい社会とは言えない状況が続いていますが、フィリピンではどうなのでしょうか?
彼に詳しく聞いてみました。
Japanese society is not good for LGBT people.How about the Philippines?

フィリピンのLGBTの人たちはオープンマインド?

画像11

レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー。日本に比べ、タイやフィリピンではLGBTの人が多く、オープンにしている印象があります。そのため、「フィリピンに行けば自分がLGBTであることを隠す必要はなく、日本よりもずっとオープンにできる」と感じる人もいるかもしれません。たしかに、私が受けている英会話の教師たちにも、LGBTの人がいて、差別は見られません。むしろ、先生同士の仲がとても良さそうです。

しかし、実際には差別が存在するということもあります。Jouieは子供の頃、ゲイであることを理由にいじめを受けた経験があると語ります。

「同級生たちからはバカにされ、道を歩いていると小学生から『あいつはゲイだから頭が悪い』と言われ、常にからかわれていた。トイレに行けば、『お前はゲイだから女性用に行け』と言われたこともある。自分は女性じゃないから、女性用のトイレには行かなかった」と彼は振り返ります。

しかし、彼は自分を見下した人々に見返すために、一生懸命勉強をし、大学に入学することができました。今では、語学学校の先生として働き、自分をいじめた人々に立ち向かうことができたと話します。

「この学校には、自分以外にもたくさんのLGBTの人々がいる。LGBTではない人々もたくさんいるけど、ここでは誰も見下したり、差別したりしない。自分は英語を教えるスキルを持っていることを誇りに思う」と彼は話してくれました。

Jouie  told me that he had been bullied because he was gay.But he chose to be proud and honest.

両親は我が子がLGBTだったら受け入れられる?

彼が自分のゲイであることをオープンにできたのは、彼の両親がそれを受け入れ、彼自身が逆境を乗り越える力を持っていたからだと思います。彼の両親は、彼が5歳くらいの時点で既にゲイであることを理解しており、それを受け入れてくれたそうです。ただし、フィリピン人の親が常に心が広いわけではないため、彼の両親が受け入れることができたのは幸運だったと言えます。

彼自身の話によると、彼の父親は最初は彼がゲイであることを受け入れていなかったそうです。妹たちと一緒に人形で遊んでいる時、「そんなものは女の子のおもちゃだ。ボールや銃など、男の子のおもちゃで遊びなさい!」と怒っていたとのことです。

しかし、彼が人形で遊び続け、時間が経つにつれて父親が徐々にあきらめ、彼がゲイであることを認めてくれるようになったとのことです。つまり、最初から彼の父親が息子がゲイであることを受け入れていたわけではなく、徐々に認めるようになったということです。

彼は、6歳の時に父親をがんで亡くしています。父親が亡くなった1年後、彼の母親は再婚します。義父は彼に対してとても冷たかったといいます。理由は、彼が自分の本当の子どもじゃないから。もう1つは、彼がゲイだから。

He was able to live his own life because his parents loved him.

フィリピン人はLGBTに対して寛容なのか

他のフィリピン人によると、フィリピン人の親は日本と同様に非常に保守的な人が多いとされています。特に父親は厳格な傾向にあります。彼の義父が彼を受け入れなかったのは、ある意味では仕方のないことかもしれません。彼は義父から「奴隷のように扱われた」と話していました。

私が義父を「father」と誤って表現すると、「彼は父親じゃない!僕の父親は死んだんだ!彼は母親の夫かもしれないけど、僕の父親じゃないんだ!」と激しく否定しました。

以前、私が彼にインタビューしたとき、彼は彼の義父のとこをものすごく嫌っていました。しかし、2年たった今は、彼と義父との関係はかなり関係が変わったようです。なぜ彼らの関係性が変わったのか聞いたら、彼自身が大人になって、視野が広くなったからだと言ってました。

彼は、高校生の時、毎日、義父に高校までバイクで送迎してもらっていました。大人になった今、過去のことに感謝できるようになったのかもしれません。彼は実家に帰るたびに、妹や弟、母親にプレゼントを買っていくそうですが、義父の分も買ってあげたそうです。「義父には、靴をあげたよ。彼の分だけあげないのはよくないから」。
彼の義父に対する気持ちがどう変化したのか、以下ののnoteにまとめました。

日本でもLGBTの人々はたくさんいます。しかしながら、現状では家族にすら打ち明けられない場合が多いのではないでしょうか。もし打ち明けても、親が親戚や近所の人から「LGBTの子どもがいる」ということを隠すこともあるでしょう。

However, some Filipino parents try to hide their children's LGBT status.

ドゥテルテ大統領、LGBTの権利は認めるけれど同性婚は認められない

画像12

フィリピンのLGBT問題について、もっと広い視点で見てみましょう。フィリピンの当時の大統領、ドゥテルテ氏はLGBTについて次のように発言しています。

「LGBTコミュニティーにより多くの権利を与えることを考えており、「LGBTの人たちが他の人たちと同じように働けることを証明したい」

彼は、選挙キャンペーン中は「LGBTの結婚を支持する」と言っていましたが、2019年5月の選挙以降は「昔ゲイだったが、それを自分で治した」と発言を変え、「同性婚はフィリピンの文化的、法的な要素で認めることができない」としています。
もしかしたら、彼はバイセクシュアルで、女性も男性も愛せるのかもしれません。もしくは、ゲイだったけど、社会的な立場を考えて女性と結婚したのかもしれません。

実際に、ゲイであっても家族を持つために女性と結婚する人は多いといいます。オンライン英会話の講師、Jouieもその問題について悩んでいる一人です。

LGBTの権利を認める法制度については、フィリピンの宗教は90%以上がキリスト教徒、うち約80%が教義に忠実なカトリック教徒であることを考えると、認めることは難しいかもしれません。

今、LGBTの権利で認められているのは、同性カップルによる養子縁組引き受け。同性結婚については、国会にパートナーシップ法案が提出されているものの、認められていません。

The Philippine president once said he would accept LGBT marriages, but now he says he won't.

キッカケは渋谷のパートナーシップ制度

ところかわって、日本ではどうでしょうか。

東京都渋谷区では、2015年10月28日から、証明書の交付を、11月5日からパートナーシップ証明書の交付申請の受付を行っています。パートナーシップ証明は、法律上の婚姻とは異なるとしつつも、一定の条件を満たした場合は、法律上の性別が同じであっても「パートナーシップ」と定義して、婚姻と同様の扱いになるというものです。渋谷区に続き世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市、札幌、福岡市、大阪市、東京都中野区などが同様のサービスを開しています。

現在50を超える自治体でパートナーシップ制度が施行

「パートナーシップ制度」については、2020年10月現在、パートナーシップ制度が全国都道府県で50以上も施行されたのは、非常に大きな意味があったと思います。

企業ではNTTドコモ、ソフトバンク、KDDIなどは、「家族割り」サービスの対象になる人を「同性婚」のカップルに拡大。生命保険業界でも変化があり、第一生命や日本生命ではパートナーシップ証明書の添付などがあれば、同性のパートナーを生命保険の受取人として指定できるようになりました。

In Japan, from 2015 some regions have been recognized as partnerships that have equivalent meaning to marriage.Major companies also offered the same services as married couples.

日本でのカミングアウトができないワケ

画像12

「パートナーシップ」が認められるなど、日本の社会にLGBTが浸透しつつあります。反面、子どもや友達など、自分と近しい存在の人がLGBTであると、受け入れづらいことがあるかもしれません。

以前、日本とフィリピンのLGBTに対する接し方の差について、日本人の知り合いと話したことがあります。フィリピンは南国特有のカラッとした空気があるため、LGBTであっても比較的オープンにしやすい風土なのではないかと思います。反面、日本は島国で閉鎖的な社会。「みんな」と違うものは排除したがる傾向にあるため、日本でのカミングアウトはとても難しいと感じています。

実際、オンライン英会話講師のJouieが、「オンラインで教えている日本人の生徒は、自分がゲイであることを両親にすら言っていない」と話していました。そのためその生徒はとても苦しんでいると。いつも穏やかに話すJouieですがこの時ばかりは感情を乱し「隠れなくていいんだ!ゲイは恥じるべきことじゃない!自分を受け入れて、そしてオープンにしてほしい。ゲイである自分を誇りに思って。隠れなくていいんだ。自分を偽らなくていいから……」と、抑えきれないほど強い感情で訴えました。その気持ちはすごくわかる。ですが、日本の社会を知る私からすると、それは非常に難しい。

In 2015, a university student who confessed to a friend that he was an LGBT jumped out of his way to commit suicide worrying about being told off by another friend.We call this the "Arounding Incident at Hitotsubashi University."

一橋大学 アウティング 事件
2015年4月、一橋大学法科大学院の学生が、恋愛感情を抱いていた同性の男子学生に自分がゲイであること、そのうえで恋愛感情があることを告白。相手からは友人たち10名ほどが参加しているLINEグループで曝露(アウティング)される。8月24日、自身の恋愛感情を告白した相手による暴露(アウティング)をきっかけとしてゲイの学生が投身自殺したとされる事件。翌2016年に死亡した学生の遺族が相手側の学生と大学の責任を追及して損害賠償を求める民事訴訟を起こして広く報道されるようになった。亡くなった学生はパニック障害などを起こし、大学のハラスメント科に相談。大学は状況を把握していたものの、クラス替えなどの対処を取らなかった。8月24日、彼は大学構内のマーキュリータワー6階ベランダから投身自殺。自殺した学生の両親が、アウティングをした学生本人と大学側を訴える。
この事件をきっかけに、2018年4月に一橋大学法科大学院のある国立市が、全国で初めて「アウティング禁止」を盛り込んだ条例を施行

Jouieは、私が記事を書くにあたり「自分がゲイであること。それで嫌な思いもしたけれど隠していないこと。自分自身を誇りに思っていることを日本の若者に伝えてほしい」と言いました。

今回、お話を聞いているみなさんのまわり、生徒さんたちの中にも該当者がいるかもしれません。もし機会があったら、彼の話を、彼のことを書いた記事のことを伝えていただけたらと思います。

"You don't have to hide yourself.You don't have to lie.I want you to be proud of being gay.I want you to tell that to the Japanese people."He asked me to tell LGBT people.

東京レインボープライド2020

「支援が必要な人をサポートすることは僕の喜び」

画像11

もう1つ、私がオンライン英会話を通して興味関心を持ったこととして、孤児院の支援があります。さきほどお話したJouieは、子どもの頃家が貧しかったこともあり、教会を通してアメリカのホストファミリーから支援を受けていたといいます。それもあって、彼は今、QQ Englishの孤児院訪問などを通して孤児院支援を行っています。具体的には、鉛筆やノートなどの文房具を贈ったり、英語やその他の勉強を教えたり、一緒に遊んだり、お菓子をあげたりしています。

QQ Englishでは、創業当時からボランティア活動に力を入れていて、毎年先生たちがやることを決めています。孤児院訪問のほかにも、老人ホームや海岸での清掃活動など、有志の先生たちを募り、会社から支援金も出してサポートしています。先生たちは「It's my pleasure to support people who need help.」といい、チャリティイベントなどにも積極的です。

本当の豊かさとは何か

あるとき授業中にJouieと孤児院支援の話をしたら彼がこんなことを言っていました。「自分は豊かだよ。僕は住む家がある。仕事もある。洋服も靴もある。両親がいる。兄弟もいる。友達もいる。僕はとても豊かなんだ
でも、孤児院で暮らす子どもたちは親がいない。兄弟がいない。自分の家がない。洋服も少ししか持っていない。だから、豊かな私たちは彼らを支援する必要がある。彼らが笑顔になれるように、幸せを感じられるように、私は歌を歌い、ダンスをする。私は彼らに豊かさを分け与える必要がある

彼の言葉を聞いて、私は本当の豊かさとはなにかを深く考えました。

"I am rich.I have a house to live in.I have a job. I have clothes and shoes.I have parents. I have brothers.I have friends. I'm very rich.
But they don't have any parents. They don't have any brothers or sisters. They don't have my own. They have only a few clothes.That's why I need to support them because I'm rich.I sing and dance so that they can feel happy so that they can smile.I share their wealth," he said to me.

SOS孤児院訪問。再訪したら子どもたちの夢を聞いてみたい

画像13

私は、授業を通してJouieからこの話を聞いていました。そして2019年11月にQQ Englishの活動として、彼が孤児院訪問をしたことを知りました。その縁もあり、私は2019年12月にセブ島留学した時に孤児院訪問をしました。

私が訪れたのは、ITパーク校から車で10分程度のところにあるSOS孤児院です。QQ Englishでは、もう1つの校舎、シーフロント校のそばの孤児院支援もしています。その孤児院の子たちは、私がシーフロント校に滞在中に会ったので、日本から持っていった洋服などの一部を渡しました。

今朝、授業でJouieと話しているときに「私は子どもたちのためになにができるんだろう。まずは彼らのことを知ってもらうために記事を書くことかな」といいました。そしたら彼が「子どもたちが大きくなったらどんなことをしたいのか聞いてみたら?彼らがワクワクする未来を想像することで、やる気が出てきてモチベーションがあがる。インスパイアされて、いろんなことにチャレンジするきっかけにもなるよ」と教えてくれました。

それはすごくいいアイデアなので、次回訪れたときに聞いてみようと思います。

I also learned about QQ English orphanage support activities.

The next time I visit an orphanage, I will ask the children about their dreams for the future.And I want to write an article.

「小さな家族」単位で生活する孤児院の子どもたち

画像11

話を孤児院に戻すと、セブ島にはいくつかの孤児院があります。そこで暮らす子たちは、孤児の子もいれば、親の虐待などで施設で暮らしている子もいます。ここは日本と同じだと思います。

私が訪れたSOS孤児院では、1つの家に0歳から10代の子たちが10人程度生活していて、それぞれに寮母さんがいて子どもたちの世話をしています。敷地内にはハウスが12戸ほどあり、合計120人ほどの子どもたちが生活しています。敷地の門には守衛さんがいて、子どもたちが出かけるとき、帰ってくるときは、そこで入り口を開けてもらっています。

日本からもよくボランティアがくるとのことで、「ありがとうございます」「こんにちは」などの簡単な日本語を話せる子も何人かいます。孤児院と聞くと、ちょっとじめっとした感じをイメージしていたのですが、そういう雰囲気はなく、子どもたちはよく笑い、はしゃぎ、1、2歳くらいの小さい子の面倒は小学校高学年くらいの子たちが交替で面倒を見ていました。

私は、今回お菓子やノート、鉛筆などのお土産を持っていき、一緒に子どもたちと遊んでもらったのですが、明るくて利発な子が多いという印象でした。Jouieが昔、アメリカのホストファミリーから支援してもらっていたように、もし私ができる範囲で彼らをサポートしたい。そして彼らが大人になった時に少しでもいい仕事について、また違う誰かをサポートしてくれたらいいなと、そう感じました。もし、自分がその活動を少しでもサポートできたら、自分にとっても非常に価値があることなんじゃないかと思います。

"When I was a child, I was supported by the church.I'll help the children this time."Jouie told me.
I hoped that if I helped the children in the orphanage, they would grow up again and be somebody else to help.

孤児院で育った子どもたちはその後はどうなるの?

画像11

私が訪れた孤児院の子たちは、日本の小学校6年生くらいまでは同じハウスに住むものの、中学生くらいからは男女別々の建物で生活するとのことでした。子どもたちの進路については、同じくQQ Englishの別の先生、Solaに聞いたところ、高校を卒業して販売員になる子もいれば、奨学金を受けて大学に行き、教師などになる子もいる。また残念ながら、途中からドラッグに手を染めてしまう子どもたちもいるとのことでした。

ちなみに、Solaは学生の頃に大学に行くためのお金がかかるから奨学金をもらうためボランティア活動として、セブ島の別の孤児院を訪れていたそうです。朝ごはんを作るために4年間通っていたとのことでした。彼女は、朝、孤児院に行って子どもたちのご飯を作り、それが終わったら高校にいき、帰ってきてからは仕事をして、家に戻ってから勉強をするという生活を続けていたといいます。

私が彼女に「孤児院に行く前と行った後、あなた自身はどう変わったの?」と質問したところ「孤児院に行く前は社会のことを何も知らなかった。でも、孤児院に通ったことで、自分たちが今いる社会がどんなものなのか、なにが問題で、それをどう解決したらいいのかということを知るキッカケになった。自分たちが住む地域社会に対して、より関心を持つキッカケになった」と話してくれました。

teacher Sola spent four years in an orphanage cooking their breakfast when she was a student.She learned a lot about society by supporting an orphanage.

両親、兄弟を支援する文化は日本でも浸透している

画像11

フィリピンの人たちは、ホスピタリティが高く、助け合いの精神が強い文化です。よく言われるお金の貸し借りの面では、「お金がある人が払って当たり前」という文化なのかもしれません。また、家族の誰かが外国に行き、高い給料を送金するようになると、親や兄弟が働かなくなるという話もよく聞きます。これについては、フィリピンだけが特別のように言われていますが、よくよく考えてみると日本でも同じようなことはよくあると思います。

実際に、私の知り合いの女性は、実家が裕福ではなかったため、一番先に働きに出てから彼女が月々数万円の仕送りをしていたといいます。あとから働き始めたほかの兄弟は、とくに実家に送金することなく、自分の生活のために使っていたそうですが、これについて彼女はそれほど疑問には思わなかったようです。むしろ、自分が両親、家族みんなを支えていることに対して誇りを持っていたと話してくれました。

また、よくあるのが結婚した旦那さんが、妻と子供を養うのが精一杯の生活をしているはずなのに、親に毎月送金をしているという話。妻からしたら「子どもが小さく働きに出られず、お金も十分にあるとはいえない。にもかかわらず、なぜ夫は自分の親にお金を送金するのか」と不満に思うところでしょうが、夫からしてみたら「自分の両親が困っている(かどうかは疑問)んだから送るのが当然」と考えている人はいるでしょう。

In the Philippines, it's a society where people who have no money help those who don't.We Japanese may feel uncomfortable.However, we also support our parents and their in-laws.We look different and we are the same.

「助け合いの精神」が根付いたフィリピン文化

画像11

フィリピンについていえば、(スペイン統治下)の時代に「貧困状態でも助け合いによってなんとか生活できるように。暴動が起きないために」と、家族愛の大切さを説いたともいわれています。

フィリピンに限らず、寄付の文化が根付いた国の考え方としては、「貧しい人たちに寄付したり、お互いを助け合うことで、自分が困った時には誰かが助けてくれる」という考えが浸透しているのでしょう。

核家族化の進む日本においては、「助け合いの精神」というのは、いい面があるとは思いつつも、やはり「稼いでいる人こそが損をする」という意識でみてしまうところがあるのではないかと思います。

どうするべき? ストリートチルドレンの支援

話を孤児院に戻しましょう。孤児院に入れる子は身元がしっかりしている、しつけができているから受け入れてもらえるという話を聞くこともあります。もっと深刻なのは、ストリートチルドレンだから、彼らを支援するべきだとも聞きます。私は、その話は一理あると思います。ただ、私にはストリートチルドレンを支援するためには何をしたらいいかわからないので、何もできていないのが現状。子どもにはたくさんの可能性があるので、ストリートチルドレンの子たちになにかできることがあったらいいなとは考えています。

ストリートチルドレンに関しては、まだなにもできていませんが、貧困世帯に対しては、現地で活動している日本人グループに不定期で寄付をしています。現在、コロナで貧困層が住むエリアで複数の感染者が出たという話があり、非常に心配です。活動報告を見て、寄付をすることくらいしかできませんが、できることは続けていきます。

Education and living support for street children are becoming a problem in the Philippines.What can we do?

フィリピンの英語教育事情。母国語のタガログ語やセブアノ語は?

画像11

フィリピンでは、小学校1年生から公立も私立も英語で授業を行います。これについて一度、Jouieに「とてもいい政策だね」といってしまったことがありますが、彼はちょっと顔をしかめて「アメリカの統治下にあったから」と言いました。彼に小学校からほとんどの授業で英語を教えることについてどう思っているのかを訪ねたところ、「英語を学ぶことはとてもいいことだと思う。なぜなら世界中でたくさんの人が話す言語だから。子どもたちが大人になって海外に行くときに英語が話せることは非常に有利だと思う。フィリピンではタガログを話すけど、世界でみたらタガログ語を話す人はほんの一握りだけ。だから英語を教えたほうがいい」とのことでした。

ちなみに、Jouieが仕事をしているQQ Englishはセブ島にあり、セブ島付近の島ではセブアノ語を話します。家ではセブアノ語、学校では英語とタガログ語の授業を行うため、人によってはセブアノ語の読み書きは苦手だそうです。ちなみに、新聞や公的な文章はほとんどが英語だとのこと。

ある先生に「小学1年生でほとんどの授業を英語で習うというけれど、英語が苦手な子はどうするの?」と聞いたら「小学校の途中でドロップアウトする」と言っていました。親が積極的に英語を教える環境であれば学校の授業にはついていけるけど、低所得者層など親自身があまり英語を話せない家庭の場合は、子どものドロップアウト率が上がるようです。

マニラなどタガログ語を使う地方の子どもたちは、タガログ語と英語を使って授業を受けます。しかし、セブ島などセブアノ語を使う地方の子どもたちは、第一言語をセブアノ語としながら、第二言語を英語とタガログ語で覚える必要があるため、かなり不利になるんじゃないかと、私は思います。

I teach in English from the first grade of elementary school in the Philippines.There are both good and bad points.

日本の英語教育とフィリピン・オンライン英会話のこれから

画像11

2020年4月から日本の小学校でも英語が本格的に教科教育になります。これについては2年前から徐々に移行期間を設けて実施していました。ちょうど我が家の次女が3年生だったため、英語の授業がありましたが、月1回か2回程度。6年生の長女によると「英語の授業といっても、ゲームをやったりする程度だから、ほとんど英語は習ってない」とのことでした。

4月から正式に3年生の授業に英語が教科として認定され、成績もつきます。これについては「早期教育はよくない」「RとLとの発音の違いがわかる低学年のうちから始めるべきだ」など、いろんな議論がありました。

私自身は、英語は早くから取り入れたほうがいいと思うので今回の教育改革によって小学校3年生から本格的にスタートするのはいいことだと思います。ただ、長女や次女が話すように「英語に触れるだけ」では、英語教育でいわれている「読む、書く、話す、聞く」の4技能は、なかなか育たないと思います。もっといえば、中学、高校の授業でもテスト中心の今のままでは難しいと思います。

というのも、いくら単語や文法を習っても、やはり直接的な会話でコミュニケーションを取らないと理解できないと、私自身が実感しているからです。

English classes will also start in elementary schools in Japan in April 2020.I think online English conversation should be start.

福岡県飯塚市・公立小学校でオンライン英会話を授業に取り入れる

長女や次女が通う小学校では、まだまだ「英語に触れる」程度の授業ですが、福岡県武雄市では、2016年から私が学んでいるQQ Englishのオンライン英会話を小学6年生の授業で導入しています。

2016年、飯塚市は市内22の全ての小学校(6年生)でQQ Englishのオンライン英会話を取り入れていています。4年前から実証実験を行いそして3年前から本格導入しているので日本で一番初めにフィリピンのオンライン英会話を採用した革新的な市です。

私がこの話を聞いたのは、「100マス計算」で有名な教育者、隂山英男先生から。ちょうどセブ島のQQ English主催のイベントに参加した際に、隂山先生にお会いし、そのときに教えてもらいました。そして、そのご縁がもとで、日本に戻ってから改めてお時間を取っていただき、取材しました。

飯塚市では、QQ Englishのオンライン英会話を始め、教育面での改革を行った結果、子育て世代の転入が増えて市の税収が増え、その分をまた市の教育費に充てているとのことでした。小学生のうちに、しかも公教育で英語を使った直接的なコミュニケーションができるのは、同じ子どもを持つ親として、すごく羨ましい環境です。うちの地区でもやってくれたらいいのにと思い、いろんなところでその話をしています。

Iizuka City in Fukuoka Prefecture has already given QQ English classes at public elementary schools.

英語でのコミュニケーションこそが重要

画像11

英語を学習するのに、会話は必須。というのも、多くの場合仕事であってもプライベートであっても、英語を使う際には英語での直接的なコミュニケーションが必要になるからです。仮に、英文を翻訳するだけの仕事に就いたなら話す必要はないかもしれませんが、そのような仕事につく人の数は限られていると思います。

「英会話って会話が中心でしょ? 書いたり読んだりできないのでは?」と思うかもしれませんが、少なくとも私がやっているオンライン英会話では、長文読解はけっこう高い頻度で出てきます。ライティングも求められます。ついでにいうと、文法はかなりしっかりしたカリキュラムが組まれています。正直、「英語がわからないのに英語で文法を学ぶなんて!」という感じもしますが、習った文法を使って例文を作り、即実践できるのはオンライン英会話ならではの強みだと思います。

さらにいうと、マンツ―マンレッスンだからこそ、自分のペースに合わせてもらうことができます。「理解していないな」と思われたら、「この単語の意味は?」「ほかにどんな単語で置き換えられる?」「この文法の使い方は理解できた?例文作ってみて」と、かなり突っ込んで質問されるため、あいまいな理解だとなかなか先に進めません。いいかえれば、できるまで付き合ってくれる(正直、きついときもあります)

よく「フィリピン英語はなまっている」という人がいますが、人によりけりだと思います。私はQQ English の先生たちが話す英語はなまりはないと感じますが、街の中で会う人の英語はなまりがある人や発音が異なるためか聞き取りにくい人もいます。それよりも、なまってるかどうかよりも、なまりが移るくらい話せるようになったら気にする問題じゃないかと思います。

私のスピーキング力はまだまだです。今朝も先生に「ちゃんと正しい文法で話してね。自分は英語の先生だからあなたが言ってることを理解できるけど、インタビューだと相手は理解できないよ」と言われました。正しい文法、正しい発音で会話ができることが目標ですが、まだまだ先は長い。ただ1年前に比べると、会話のキャッチボールができるようになったのは大きな進歩です。

オンライン英会話を続けたことで、スピーキング力が伸びたことは間違いないですが、それ以上にヒアリング力が伸びました。今も先生が言っていることを全部は理解できないときもありますが、だいたいは理解できるようになってきたことが大きかったです。また同時に、英語を介してのコミュニケーション力も伸びたと感じます。その結果、今回お話したLGBT、孤児院、フィリピンの教育、日本の英語教育について知ることができました。

My world has expanded since I took the online English conversation course.

オンライン英会話を通して広がった世界とやらなかった後悔

画像12

私は、オンライン英会話を学びはじめたことで、担任のJouieを通してLGBTのことを知り、孤児院のことを知り、ほんの少しですが活動し始めました。よく「まず知ることが大切だ」という話を聞きますが、本当にその通りだと感じます。現状を知り、そのうえで自分に何ができるかを考える。思いついたことを1つずつやっていく。そうするとどんどん世界が広がっていくのだと思います。

中学、高校の授業で英語を学んでおけば今他のことにお金と時間を使えたはず

もう1つ思うのは、英語はもっと早く勉強しておくべきだったということ。私は中学高校と英語を学んできたものの、それは大学受験のため。基礎的なことを理解できたのはよかったけれど、大半を忘れていて、かつ英語での会話がまったくできないため、40歳を過ぎた今、改めて英語を学び直しています。正直、仕事もあり、子どもの世話もあるので、時間はまったくないです。しかし、英語を学ぶことは私にって必須なので、やめるわけにはいきません。そんなとき、ふと思うのです。もし学生の頃に英語をやっておけば、この時間はなにか別のことに使えたのではないか。非常に機会損失しているな、と。

もちろん、当時英語をやっていたら、Jouieとの出会いもないし、孤児院やLGBTのことに関心を持つこともなかったかもしれません。だから今が悪いとは思いませんが、できれば子どものうちからやっておくべきだと思います。英語を話せるようになることで、日本人だけじゃなくフィリピンや世界中に友達ができる。その人たちを通して、自分がまったく知らなかった国や情報、文化に触れることができる。協力して、何か新しいものを生み出すこともできるかもしれない。

だから、今6歳の次男にオンライン英会話をやらせています。ただやりなさいといってもやっぱり難しいので、モチベーションアップのために12月にセブ島親子留学を体験してきました。次男は、そこでたくさんの先生と出会い、わからないながらもなんとか英語でコミュニケーションを取ろうとしました。それは彼にとって大きな挑戦だったと思います。

Sometimes I think that if I had studied English when I was a student, I could have spent my time studying English and my money on something different.That's why I am having a six-year-old child learn English.

6歳の次男、英語でのコミュニケーションに喜んだり落ち込んだり

次男は、留学前にオンライン英会話を少しやっていたことで「自分は英語が話せる」と思っていたようです。しかし、実際に現地にいって先生が学校案内をしてくれるのを聞いたら、みんなは笑っていて自分だけまったく理解できなくて落ち込んだりもしました。そのあと先生にフォローしてもらったことで、また再挑戦して、たった一週間いただけなのに、廊下を歩くたびに「次男君!元気?」と声をかけてくれる先生たちがたくさんできて、仲良しになったロシア人学生もいます。「お互い英語は話せないけど気持ちは通じてる」的な感じで、そのロシア人の留学生と向かい合って無言で食事をしていたこともあります。

次男はまだ6歳なので、その経験がこれから先どう生きてくるかはわかりません。ただ、これから先もオンライン英会話を続けていき、たまに留学して先生たちに会うことで、確実に次男の英語力は育っていくでしょう。また、同時に世界を見る目も広がっていくと思います。

そう考えると、私がオンライン英会話を始めたことで、次男の世界を広げるキッカケにもなっていると思います。

最初は、自分の目標を達成するために英語が必要だと思ってやっていただけなのに、実際に学び始めてみたらまったく予想外の広がり方をして、自分でもびっくりしています。

When my son studied abroad, he was very disappointed because he couldn't speak English.But he tried again.And he made a lot of friends.

7歳になった今「キッズ英語スピーチコンテスト世界大会」で学んだこと

このブログを書いて、約1年が経ちました。次男は、現在も週3回英語のレッスンを続けています。まだまだ英語が話せるところまでは言っていないのですが、レッスンの中での先生たちとの会話はほぼ理解し、自分で回答できるまでに成長しました。

そんななか、「QQ English」あらため、子ども専用のオンライン英会話スクール「QQキッズ」で、世界中の子どもたちを集めてスピーチコンテストが開催されました。日本、中国、韓国、台湾、ベトナム、ロシア、モンゴルなどの国から総勢131名の子どもたちが参加。「英語を学ぶ目的」というタイトルで動画を撮り、「QQ English」が動画を公開しました。現在、審査中です。

このスピーチのために、次男は慣れない英語の長文に挑戦し、メモした紙をみながらなんとか自分の考えていることを英語で伝えました。原稿は私が書いたため、発音が難しい単語を選んでしまい、あとで私のオンライン英会話の講師であるJouieが修正してくれました。その時の様子はこちらのnoteにまとめました。

「なぜ1日1回しかご飯が食べられなくても幸せなの?」SDGs×QQキッズ

さらに同じ週に今度は、SDGsについて考える「キッズ特別グループレッスン」が行われました。このレッスンは、フィリピン・セブ島で現地支援を行っている「DAREDEMO HIRO」の日本人JYUNKOさんが先生になり、セブ島の子どもたちと日本の子どもたちをつないで、グループレッスンを行い、「子どもたち自身でSDGsについて考える」というものです。

次男は、このレッスンのために日本の子どもの貧困問題について、私と一緒に調べました。そして、たどたどしい英語でなんとか子ども食堂の取り組みについて伝えることができました。

レッスンに参加してくれた子どもたちは、9歳と10歳の男の子。もし、同じ地域に住んでいたら、一緒に同じ学校に通っていたと思います。次男は毎日ご飯を3食食べることができる。でも、セブ島にいるこの子たちは1日1食しか食べられないこともある

話には聞いていても、直接その子たちと会って、彼らから生の声を聴くのはこれが初めてです。レッスンでは、録画した自宅の中も見せてくれました。日本とはまったく違う生活。参加した日本人の子どもは、次男を入れて5人。小学生とはいえ、まだ子ども。「汚い」とか「狭い」という表現がでてくるのではないかと思っていたのですが、それについては誰もいわず、ただ「思ったよりも部屋が小さいね」と言っている子がいるくらいでした。

このレッスンに参加して、良かったと思ったことは、次男が「たとえご飯が1日1回しか食べられなくて悲しい思いをする日があっても、家族がいたらそれだけで幸せを感じることができる」ということ。もう1つ、「次男が実際に子ども食堂に行ってみたい」といったこと。話を聞くと、子どもたちのために自分が料理を手伝う側になりたいと思ったようです。

この件については、実際に子ども食堂の支援を行っていた友達に聞いて、代表者の方からの連絡を待っているところです。見学にいけたらいいなと思います。

もし今オンライン英会話を始めたら、1年後の未来はどう変わる?

今、この話を聞いてくださっている皆様のお子さんや生徒さんたちが、もしオンライン英会話を始めたら、まったく想像しなかった世界が広がるんじゃないかと思います。

「英語を話せるようになりたい」と思い、2019年1月からオンライン英会話を始めて早2年。想像以上に世界が広がりました。私は、英語を学ぶ方法は何でもいいと思います。アプリでも教科書を買って自宅でやるのも、いろんな学習法があるので自分に合った方法でやればいいと思います。

ただ、英語を学ぶ目的が「人と話ができるようにすること」であるならば、オンライン英会話というのはその第一歩を踏み出すことになるんじゃないかと思います。そのキッカケづくりになれたらいいなと思い、今回この場を借りてお話させていただきました。オンライン英会話に限らず、今何かを始めようかどうか迷っている人は、まずは今日からできることを1つはじめてみてはいかがでしょうか。

If you start online English conversation now, a whole new world might be expanding beyond a year's notice.
I want you to seize the chance.

2020年2月14日 第24期2月WAA 研究会にて 

明治大学サービス創新研究所客員研究員 間野由利子

=================================
間野由利子/コラムニスト/明治大学サービス創新研究所 

オンライン英会話2年目。毎日の英語学習と習慣化について
Twitter:https://twitter.com/article2011

都内を中心に国内外のレストラン情報を日本語と英語で紹介
Instagram:https://www.instagram.com/nagase5609/

通常4枚のオンライン英会話チケットを8枚分プレゼント(~8/31)
QQ English:https://s.qqeng.cc/sp/3p1lhyvfdqik6
=================================









この記事が参加している募集

英語がすき

フィリピンセブ島の孤児院で出会った子どもたちをサポートします😊✨✨子どもたちが大人になったとき、今度は誰かをサポートしてあげられたら素敵ですね❤️