【考察】スピードラーニングに効果がない理由3つ。でも速聴技術は活かすことができる話
こんにちは、ゆうです。今日は英語を聞き流すだけでは身につかない3つの理由と、速聴技術は復習用の技術として優秀な使い道があるというお話をしたいと思います。
その3つの理由とは??
・リスニングには「英語の仕組みの理解」が必要だから
・リスニングには「英語力」が必要だから
・リスニングには「背景知識」が必要だから
だから単に聞き流すだけでは身につかないぞ、、、という話が前半に来ます。
「聞き流すだけで英語が話せるようになる ♪」というフレーズでおなじみのスピードラーニング。
初めて世に躍り出た時は、「ラクしたい、勉強したくない」と考えがちな私達にとっては画期的な学習法として爆発的にヒットしましたが、悲しいかな、現在ではその効果は津々浦々で否定されています。
かつての栄光、見る影なし。
スピードラーニングはインチキだとすら言われてしまうようになっています。
私自身スピードラーニングに対しては懐疑的ですし、自分が英語や中国語などの外国語を学ぶ上で使っていなかったので、いくらスピードラーニングがボロクソ言われようが気にしません。
しかし、速聴という本来有用な技術までが、とばっちりを受けて否定されてしまっている現状に対して、歯がゆく感じます。
ということで、後半は速聴の技術に関して私見ですが、役立て方を書いていこうと思います。
誤解していただきたくないのは、本記事はスピードラーニングをDisりまくる記事ではないことです。なぜならそのような批判をしても、書いている方は気持ちがいいかもしれませんが、読み手にとっては何の能力向上につながらないからです。
そうではなく、まずリスニングができないのはなぜか、という問題を細分化し、個々に解決策を出します。そうすることで、リスニングを建設的に伸ばす具体的な行動に繋がるというものです。
そのあと、スピードラーニングがリスニング力向上の手段になりえない理由を示してから、速聴を有意義に使う方法「復習のための速聴」についてお話したいと思います。
そんな本記事の内容のポイントを3つにまとめると、
・文を構成する単語が聞き取れても、意味まで聞き取れるとは限らない
・英語のリスニング能力を上げたければ、英語の発音の理論的理解が有用
・一度理解したPodcastなどを復習するときに速聴は有効である
1.リスニングの問題には2種類ある
聞くという行為は日常生活に溢れています。
・先生の話を聞く
・ニュースを聞く
・英語の勉強のために慣れない英語を聞く....
など。
そして毎日のように「聞いているけど分からない」という問題に直面しています。もちろん、私自身も。対象が広いので、ここでは「英語を聞く」場合に限定してお話を進めていきます。
ところで、「英語を聞いているけど分からない」とはどのような状態を指すのでしょうか?私には2種類あるように思えます。それが、
・単語が聞き取れない
・意味が聞き取れない
の2つです。
・単語が聞き取れない
文章は単語の連続体ですが、聞き取れない単語があることで、文章に虫食いがある状態です。文章の中に空白地帯があるため、文章の意味がわからないという状態に繋がります。
主に、
(1)文の中に知らない単語や、
(2)意味を忘れてしまった単語、
もしくは(3)発音のせいで認識できなかった場合、
などに起こります。
例えば、相手が下のような文章を言ったとしましょう。
Lion is a large animal of the cat family that lives in Africa
(ライオンはアフリカに住んでいる猫科の動物の一群である)
しかしもし、聞き手であるあなたが「Animal」という単語を知らなかったら、この文章は次のように聞こえることでしょう。
Lion is a large ●●●● of the cat family that lives in Africa
(ライオンはアフリカに住んでいる猫科の●●●●の一群である)
文の中に虫食いがあるように見えますよね。
この欠落によって文章がわからなくなります。
「単語が聞き取れない」問題に対しての処方箋は2種類あります。(1)~(2)の場合と、(3)の場合では異なる処方箋が出るのです。
というのは、(1)~(2)は音に関する問題ではなく、単語力の問題で、一方の(3)の問題は音に関する問題だからです。
・(1)~(2)の場合
認識できる単語、つまり知っている単語を増やしましょう。語彙を増強するのです。以前、単語の増やし方についての記事を書いたのでコチラが参考になることでしょう。
・(3)の場合
英語の発音のメカニズムを知らないことに起因します。
英語の日本語は、音的に全く異なる言語です。そのため、英語の音声的な特徴を把握せずに英語を聞くと、知っている単語なのに発音が違うから認識できないという事態に陥ります。
・意味が聞き取れない
文章の中の単語は全て聞き取れた、でも文章全体で何を言われているのかが分からない、というケースです。
一言で言えば、「聞き取り」はできているけど、「意味取り」はできていない場合です。
鍵は「理解力」です。
「リスニング力」ではありません。
これには2種類の理解度が関わります。
「英語」というツールの理解度と、話されている内容の「背景知識」の理解度です。
英語の理解度を上げるには、英語への習熟度合いを上げるしかありません。インプットをし、適切なアウトプットを繰り返し、英語がもっと身近になることで「意味取り」ができるようになります。
手っ取り早い方法は巷で言う「精読」という勉強方法を用います。
そして背景知識は、つけるしかありません。
どのようにして付けるのか?
具体的方法に関してはコチラの記事が参考になると思います。ちょっとだけ明かせば、「関連記事を3本読む」という手法を使うのです。
以上の点を踏まえると、スピードラーニングは何が問題なのでしょうか?
2.スピードラーニングの問題点
リスニングは、単語を認識するという「聞き取り」と、文中の単語の意味を足し算して、文全体で何を言っているかを理解する「意味取り」を同時に行うプロセスです。
したがってリスニングには下の3つの知識が必要ということでした。
・英語の音の仕組み
・下地となる英語力
・背景知識
そして、勉強が嫌いな人が、宣伝文句に感動し聞き流すだけのスピードリスニングを買ったとしましょう。
すると下の3つのことが自ずと起きると言えます。
・英語の音の仕組みを理解しないで聞き流す
・下地になる英語力がないのに聞き流す
・背景知識がないのに聞き流す
これらを続けていても効果的なリスニングができるとは思いません。
スピードラーニングのように、高倍速な音源を低倍速にして再生してせいぜい実感できるのは、
「元々分からない事柄」が聞こえた気になるという満足感
です。
いわば、影の影を捉えて喜んでいるような状態です。
リスニングというのは氷山の一角に過ぎません。
リスニングができるようになるには、英語の仕組み、英語力、背景知識、この3点の理解は必須です。
3.速聴技術の使い方
カンの良い方は、ここまで読んでなぜ「復習用」に速聴を使うのがよいと最初に書いたかがピンとくるかもしれません。
「英語の仕組み、英語力、背景知識」この3点は、自分が聞く音源の理解度を高めてくれるための要素です。
自分が聞く内容に対して理解度が高ければ、速く聞いても理解できる。
自分が聞く内容に対して理解度が低ければ、速く聞いても理解はできない。
そして、よくよく復習してある内容というのは、
理解度が高く、そうしたものをサッと復習したい時に速聴するのです。
何回も聞いたポッドキャストなら2倍で聞いても理解できるでしょう。
反対に初めて聞くポッドキャストならきっと歯がたたないことでしょう。
だから、再生スピードは、理解度に応じて調整するものだと思うのです。
例えば、
初めて聞く時は、元の速度で。
同じポッドキャストを聞くのが3回めなら、1.2倍速。
5回目なら、1.5倍速。
10回目なら、2倍速。
という具合に。
このように速聴を活用するのが最も確実で、誰でもできる活用法であると思うのです。
本記事のダイジェスト
・文を構成する単語が聞き取れても、意味まで聞き取れるとは限らない
→「英語の仕組み、英語力、背景知識」が必要だから
・英語のリスニング能力を上げたければ、英語の発音の理論的理解が有用
→リズムやフォニックスを知ると、リスニングの精度が上がる
・一度理解したPodcastなどを復習するときに速聴は有効である
→理解度に応じてスピードを上げましょう
いかがでしたか?
スピードラーニングをやってみたけど、効果がなかったのはこういう理由があったのか!と思った読者さんも、うっすらスピードラーニングは怪しいなと思っていたけどこういうことだったのかと納得した読者さんも居ることだと思います。
私見ですが、リスニングは英語の仕組み、英語力、背景知識を土台とした氷山の一角だと思います。
リスニング力を上げたければ、これらの要素に1つずつ丁寧に、真摯に向き合うことが最短距離のアプローチであるかのように思うのです。
本記事がみなさまの英語力の糧になったことを祈って、
それではまた!
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