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栗原ちひろのnote小説(無料)

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単発のショートショートと超不定期連載「何も起こらない探偵事務所」の無料マガジンです。更新は超不定期です。
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2019年3月の記事一覧

5/12コミティア個人誌サンプル【2】

5/12コミティア個人誌サンプル【2】

2019/5/12コミティア発行予定の同人誌サンプルその2です。その1はこちら↓

現代ヨーロッパ風異世界のファンタジー・マフィアものだよ。気になったらイベントか通販でよろしくです。

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1 始まりの朝、宝探しの町はレモンの香りがしていた  
 午前の光がまぶしい。
 視界の端で、押し寄せてくる波が宝石みたいにきらめいている。
 海にはりだした半島の国、ウィトルス王国の南。このへんの海は穏

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5/12コミティア個人誌サンプル【1】

5/12コミティア個人誌サンプル【1】

死んだ目をした君と、天国みたいに美しい海で出会った。

とある世界の海辺の町、コローナ。観光と、海底遺跡から財宝を引き上げるサルベージしか産業のないこの町で、ふたりの少年が出会う。 サルベージに魅せられた元ストリートチルドレン、エリオ。マフィアにさらわれてやってきた元資産家の息子、カール。 ふたりのぎくしゃくした友情は、やがて町にはびこるマフィア組織を揺るがし、海に沈んだ古代遺跡の謎をも解き

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【創作小説】偏屈女貴族が美青年ドールを買う話【続くかも?】

【創作小説】偏屈女貴族が美青年ドールを買う話【続くかも?】

※冒頭のみです。いつか続きを書きたい。
※ふるい読者の方は、以前書いたドール小説っぽいキャラと設定だな~と思うと思います。

 それは、遠く古びた未来の話。
 人々がほんの少し疲れてしまって、前へ進むのをやめてしまった時代。
 岩砂漠だらけになった世界には、昔みたいに『貴族』が生まれておりました。
 大災害の時に戦った人々の末裔である高貴なる貴族の方々は、砂漠に点在する都市国家を支配しておいでです

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【連載小説】何も起こらない探偵事務所 #3

【連載小説】何も起こらない探偵事務所 #3

「さくら!! 聞いて、依頼が来たよ」

「そう? すごいじゃん。それはいいんだけどさあ、みはる。化粧落とし持ってない?」

 僕の言うことをさらりと流したのは、僕の従兄弟で探偵の砂倉渓一だ。
 今日は女の顔をしている。

 ……正確には、女性用メイクをしている。唇真っ赤、まつげもバッチバチで左官並みに顔塗ってるタイプのやつ。
 理由は知らない。
 僕が探偵事務所にやってきたときにはこの顔だった。

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