山田博文

群馬大学名誉教授。99%のための経済社会の実現をめざす経済学者です。著書『くらす、はた…

山田博文

群馬大学名誉教授。99%のための経済社会の実現をめざす経済学者です。著書『くらす、はたらく、経済のはなし(全5巻)』、『99%のための経済学入門(第2版)』(大月書店)ほか、多数。じつは俳句もひねっています(現代俳句協会会員・山田越風)。よろしくお願いします。

マガジン

  • 経済社会評論集

    「1億層中流社会」日本から世界でワースト4の「貧困格差大国」に転落してしまった原因を解き明かし、どのようにしたらこのような現状から脱出できるのか、その展望とアイデアを論じています。

  • 越風俳句と写真

    山 田 越 風 句 集 〜自然、生活、社会のことについて、俳句に定着させる試みの記録〜

記事一覧

検証 金融政策

 2023年度の物価上昇率が前年度比1・0%にとどまるとの見通しを日銀が発表し、自ら掲げる2%の物価上昇率目標を黒田東彦総裁の任期中に実現することは絶望的となり…

山田博文
2年前
6

初めての国会参考人としての体験動画です。ご笑覧ください。

 どういうわけか、衆議院財務金融委員会に国会参考人として引っ張り出され、与野党の国会議員の先生方と質疑応答をしてきました。休みなしの3時間、ほとほと疲れました。…

山田博文
3年前
1

経済の主人公はあなたです

経済の基礎知識をわかりやすく解説する全5巻のシリーズ http://www.otsukishoten.co.jp/book/b496485.html 経済ぬきには仕事も生活も成り立たちません。それを知ることで…

山田博文
4年前
10

経済のしくみと政府の財政ーくらす、はたらく、経済のはなし<第4巻>

 第4巻目は、家計・政府・企業という3つの経済の歯車について。  経済を動かしている3つの歯車、家計・政府・企業のそれぞれの役割としくみを子どもたちにわかるよう…

山田博文
4年前
6

くらす、はたらく、経済のはなし 第3巻 会社のなりたちとはたらくルール

3巻目は会社のなりたちや労働者のはたらくルールです。 株式会社のはじまりから、企業合併、独占禁止法や社会的責任などの企業の規則と、そこで働く労働者の労働時間や休…

山田博文
4年前
3

越風句集  『 河畔のやすらぎ』

     はじめに  山中に住むはかなわず。といって、街中に住みたくはなし。あれこれ思案のすえに、街をつらぬく大河の河畔に住むことにした。中心街とさほど離れてい…

山田博文
4年前
5

第2巻「銀行の誕生と株式のしくみ」

『くらす、はたらく、経済のはなし』(大月書店)」の2巻目は、銀行、株式会社、証券会社が成立して、どのような経済になっているのかを見ていきます。 預かり証を金と交…

山田博文
4年前
2

新著のご紹介:絵本『くらす、はたらく、経済のはなし 全5巻』(大月書店 2019年 9月より毎月刊行)

『第1巻 経済とお金のはじまり』  小中高校生向けに、わかりやすく、イラスト(赤池佳江子さん)を交え、書き下ろした経済の絵本です。「経済はわからない」「難しい」と…

山田博文
4年前
1

問われる日米中銀の独立性-安倍政権と一体の日銀

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)にトランプ大統領が利下げの圧力をかけるなか、FRBは19日、金融緩和の可能性をにじませた方針を打ち出しました。…

山田博文
4年前
7

アベノミクスが積み上げた負の遺産

 第2次安倍政権の経済政策(アベノミクス)が始動してから、6年目に入りました。この間、アベノミクスは、トップ1%の大手企業や金融機関、内外の投資家や富裕層には「…

山田博文
4年前
8

4. 痛みを伴う「改革」とはー不良債権処理の国際比較ー

はじめに  株価や地価の下落傾向が続いています。不況も深刻さを増してきました。すると、マスメディアに登場するのは、税金などの公的資金を使ってでも、さっさと金融機…

山田博文
4年前
3

川底に小石の笑ひ春来たる

利根川河畔に寓居をかまえ、河畔の暮らしをはじめてから、愛犬との日課の散歩は、春夏秋冬、河畔の散策となった。河畔の四季、河畔でのさまざまな年中行事などは、多様な句…

山田博文
4年前
2

3. 平成大不況と経済再生のプログラム

はじめに  周知のように、バブル経済が崩壊したのは、もう10年も前のことです。それ以後、日本経済は、暗く長い出口の見えない不況のトンネルに入り込んでしまいました。…

山田博文
4年前

2. グローバル資本主義の果てになにが見えるか ~不安定化する経済と問われる日本の対米姿勢~

20世紀末の問いかけ  国境を越えて自由に移動する巨大マネーが各国経済をかく乱し、ときには経済危機を誘発し、国家破産にまで追い込んでしまう時代がやってきた。 現代…

山田博文
4年前
1

1.  初夢・どうなる21世紀の経済社会

 久しぶりに初夢を見たようだ。忘れないうちに書き留めておくことにしよう。  21世紀の最初の年が始まった。さて、これからの100年間はどうなるのだろうかーそのような問…

山田博文
4年前
1

官製バブルが拡大する格差とリスク 〜出口なき異次元金融緩和の結果と弊害〜

はじめに  「2年で2%の物価上昇を実現し、デフレ不況から脱却する」といった安倍政権と日銀の政策は画餅であった。この政権が5年間でやったことは、日銀とGPIF(…

山田博文
4年前
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検証 金融政策

 2023年度の物価上昇率が前年度比1・0%にとどまるとの見通しを日銀が発表し、自ら掲げる2%の物価上昇率目標を黒田東彦総裁の任期中に実現することは絶望的となりました。何が間違っていたのでしょうか。金融政策はどうあるべきでしょうか。
1. 逆立ちしている日銀
2. 富裕層だけが資産増
3. 国債ビジネスを活性化
4. 格差招く低金利と円安
5. 独占支配かSDGsか

検証 金融政策/群馬大学名誉

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初めての国会参考人としての体験動画です。ご笑覧ください。

 どういうわけか、衆議院財務金融委員会に国会参考人として引っ張り出され、与野党の国会議員の先生方と質疑応答をしてきました。休みなしの3時間、ほとほと疲れました。 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=51514&media_type= 消費税の意見の一部がtwitterで拡散し、本人びっくり。https://twitter.c

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経済の主人公はあなたです

経済の主人公はあなたです

経済の基礎知識をわかりやすく解説する全5巻のシリーズ

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b496485.html

経済ぬきには仕事も生活も成り立たちません。それを知ることで、はじめて見えてくるものがあります。
このシリーズでは経済の基礎知識をわかりやすく解説していきます。

5巻目では、経済と社会とあり方を考えます。

「経済」=「エコノミー」とは、そもそも

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経済のしくみと政府の財政ーくらす、はたらく、経済のはなし<第4巻>

経済のしくみと政府の財政ーくらす、はたらく、経済のはなし<第4巻>

 第4巻目は、家計・政府・企業という3つの経済の歯車について。

 経済を動かしている3つの歯車、家計・政府・企業のそれぞれの役割としくみを子どもたちにわかるように解き明かします。また、GDPや貿易赤字、グローバル経済や、デジタル経済、税金の使われ方と国の借金のはなしなども解説。

目 次

1 経済は、3つの歯車で動いている
2 資本主義は、どんなしくみ?
3 「GDP」ってよく聞けど、なんのこ

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くらす、はたらく、経済のはなし 第3巻 会社のなりたちとはたらくルール

くらす、はたらく、経済のはなし 第3巻 会社のなりたちとはたらくルール

3巻目は会社のなりたちや労働者のはたらくルールです。

株式会社のはじまりから、企業合併、独占禁止法や社会的責任などの企業の規則と、そこで働く労働者の労働時間や休暇、賃金、パワハラ、労働組合などの権利をやさしい文章とイラストで子どもたちにていねいに解説していきます。

目次
1 株式会社のはじまり
2 株式会社には、経営者と労働者がいる
3 会社は株主のもの?
4 一部上場会社って、どんな会社?

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越風句集  『 河畔のやすらぎ』

    

はじめに

 山中に住むはかなわず。といって、街中に住みたくはなし。あれこれ思案のすえに、街をつらぬく大河の河畔に住むことにした。中心街とさほど離れていないのに、豊かな自然に恵まれているからである。
 ここは東京の北西100キロ、利根川の上流域の河畔である。水辺があり、せせらぎが響き、水鳥がつどい、草木が茂り、風がそよぎ、大空が広がっている。そのうえ自転車一台で、大抵の用は足りる。
 

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第2巻「銀行の誕生と株式のしくみ」

第2巻「銀行の誕生と株式のしくみ」

『くらす、はたらく、経済のはなし』(大月書店)」の2巻目は、銀行、株式会社、証券会社が成立して、どのような経済になっているのかを見ていきます。 預かり証を金と交換する両替商が発展して、銀行が生まれます。国内外のお金が銀行に集まり、経済の支配者になっていきます。株式会社が登場し、株を売り買いするために証券会社ができ、金融商品が出まわり、バブルが発生します。

http://www.otsukisho

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新著のご紹介:絵本『くらす、はたらく、経済のはなし 全5巻』(大月書店 2019年 9月より毎月刊行)

新著のご紹介:絵本『くらす、はたらく、経済のはなし 全5巻』(大月書店 2019年 9月より毎月刊行)

『第1巻 経済とお金のはじまり』
 小中高校生向けに、わかりやすく、イラスト(赤池佳江子さん)を交え、書き下ろした経済の絵本です。「経済はわからない」「難しい」と思いこんでいる、あるいはそのように思いこまされている現状を打破し、じつはわたしたち、生まれたときから一人一人が経済の担い手であり、しかも一国の経済の主人公であることを解き明かした経済絵本です。

問われる日米中銀の独立性-安倍政権と一体の日銀

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)にトランプ大統領が利下げの圧力をかけるなか、FRBは19日、金融緩和の可能性をにじませた方針を打ち出しました。日銀は大規模な緩和策を継続しています。

   ◇

 深刻化する米中貿易摩擦は世界経済を下押ししています。トランプ大統領はFRBを政権の影響下に置くため、ツイッターで「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米国の株価はさら

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アベノミクスが積み上げた負の遺産

アベノミクスが積み上げた負の遺産

 第2次安倍政権の経済政策(アベノミクス)が始動してから、6年目に入りました。この間、アベノミクスは、トップ1%の大手企業や金融機関、内外の投資家や富裕層には「わが世の春」を実現し、99%の国民には世界トップクラスの貧困と格差をもたらしました。そのうえ、現在だけでなく、近未来の日本の経済社会にも、計り知れない異次元の負の遺産を積み上げてきたようです。

「世界で一番企業が活躍しやすい国」めざす政権

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4. 痛みを伴う「改革」とはー不良債権処理の国際比較ー

4. 痛みを伴う「改革」とはー不良債権処理の国際比較ー

はじめに
 株価や地価の下落傾向が続いています。不況も深刻さを増してきました。すると、マスメディアに登場するのは、税金などの公的資金を使ってでも、さっさと金融機関の不良債権を処理しよう、といった論調です。
 この10年来続いてきたこうした論調に欠落しているのは、そうした政策の帰結やいかん、つまり国民や消費者の利益はどうなるのかについての具体的な回答が用意されているとはいないことです。
 仮に市場原

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川底に小石の笑ひ春来たる

川底に小石の笑ひ春来たる

利根川河畔に寓居をかまえ、河畔の暮らしをはじめてから、愛犬との日課の散歩は、春夏秋冬、河畔の散策となった。河畔の四季、河畔でのさまざまな年中行事などは、多様な句材を提供してくれる。

3. 平成大不況と経済再生のプログラム

3. 平成大不況と経済再生のプログラム

はじめに
 周知のように、バブル経済が崩壊したのは、もう10年も前のことです。それ以後、日本経済は、暗く長い出口の見えない不況のトンネルに入り込んでしまいました。いまに至るも、いっこうに脱出口が見つからないような歳月を重ねています。
  これまで幾度となく各種の景気対策が実施されてきました。だが、大型予算を組み、200兆円ほどの対策費を投入したのに、景気は回復していません。いった い、どうしてなの

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2. グローバル資本主義の果てになにが見えるか ~不安定化する経済と問われる日本の対米姿勢~

2. グローバル資本主義の果てになにが見えるか ~不安定化する経済と問われる日本の対米姿勢~

20世紀末の問いかけ

 国境を越えて自由に移動する巨大マネーが各国経済をかく乱し、ときには経済危機を誘発し、国家破産にまで追い込んでしまう時代がやってきた。 現代の金融ビジネスは、コンピュータのネットワークにのって、多国籍的に展開され、地球上(グローバル)の利益を追い求める。株でも、土地でも、通貨で も、地球上のあらゆる商品がビジネスのターゲットにされ、売った買ったの取引材料にされる。
 近年で

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1.  初夢・どうなる21世紀の経済社会

1.  初夢・どうなる21世紀の経済社会

 久しぶりに初夢を見たようだ。忘れないうちに書き留めておくことにしよう。
 21世紀の最初の年が始まった。さて、これからの100年間はどうなるのだろうかーそのような問いかけに応えるには、とても困難なほど急激な変化のなかで、世紀末をかけぬけ、新世紀を迎えてしまったようだ。
 とはいえ、未来を展望するには、「温故知新」とのことわざにあるように、まず20世紀の100年間を振り返ってみよう。
 すると、二

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官製バブルが拡大する格差とリスク
〜出口なき異次元金融緩和の結果と弊害〜

官製バブルが拡大する格差とリスク 〜出口なき異次元金融緩和の結果と弊害〜

はじめに
 「2年で2%の物価上昇を実現し、デフレ不況から脱却する」といった安倍政権と日銀の政策は画餅であった。この政権が5年間でやったことは、日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を支配下に置き 、出口なき異次元金融緩和政策を断行し、国債バブル、株式バブル、都心の不動産バブルなど、官製バブルを発生させ 、大企業や内外の大口投資家の利益を優先させたことである。
 その結果、「持てる者」と

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