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ザ・ワースレスのテーマ

ザ・ワースレスの『ザ・ワースレスのテーマ』をカバーしました♫

『ザ・ワースレスのテーマ ラバーズMIX』
インスタグラムにアップしたのでぜひ聴いてみてください ▼

Sound Cloudにもアップしました ▼

ザ・ワースレスの原曲 ▼ とぜひ聴き比べてみてくださいね。
1stアルバム『OPEN』2ndアルバム『TALK』どちらにも収録されています。

さて、記事内で名前が登場するザ・ワースレスのメンバー紹介を。

うたうひげとおどるマリオネットのジャグバンド ザ・ワースレス
メンバー紹介 ※ 敬称略
わしみごう a.k.a. ミスター 歌 & コーラス、ギター、ダンス
sunny a.k.a.SandalSoul 歌 & コーラス、カズー、ウクレレ、ダンス
ぴーひゃらん 歌 & コーラス、バンジョー、ダンス
のんしゃらん 歌 & コーラス、洗濯板、シンバル、太鼓等、ダンス
※ 文中の双子のおふたりは(ぴーひゃらん & のんしゃらんのことです)
なかたくん おどるマリオネット(トートン、ロバオ、パンダのおさじetc.)

うたうひげとおどるマリオネットのジャグバンド ザ・ワースレス

ザ・ワースレスの2024年からはじまった楽しい企画

2024年は!!!【ラバーズの一月一曲】 ◎ザ・ワースレスのあの曲を!ギターやウクレレやピアノやダンスや歌でカヴァーしてみよう!

引用元:ザ・ワースレス公式インスタグラム

この企画の12曲目、12月の課題曲が『ザ・ワースレスのテーマ』。作詞・作曲者のわしみごうさん a.k.a. ミスターが綴られたこの曲の制作秘話がこちら

そう!2024年の1年間取り組んできた #ラバーズの一月一曲 の最終回!

今年はザ・ワースレス音楽学校に入学した気分で、毎月課題曲をリハーモナイズし、音楽理論や編曲、歌や演奏、録音、ミックス、マスタリングまで勉強しながらカバーしてきました。「あぁでもない…こうでもない…」と試行錯誤を繰り返しながら音楽に向きあえたこの1年は何ものにも替え難いとても貴重な時間となりました。毎月アップされるワースレスラバーズのみなさんのカバーを聴かせてもらうのもとても楽しみで、この企画のおかげで音を奏でる楽しさ、歌う楽しさ、そして聴く楽しさをあらためて実感できた一年でした。今年は小鳥好きな友人たちと小鳥音楽会という自分のバンドを組むことができ、久々に音楽を合奏する歓びもたっぷり味わえました。

#ラバーズの一月一曲 の制作の備忘録も12曲に
1月の課題曲『君に会いに行こう』
2月の課題曲『すきやき食べたい』
3月の課題曲『ベジタブルR&R』
4月の課題曲『毛玉のボールのブルース』
5月の課題曲『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』
6月の課題曲『きょうはいい日』
7月の課題曲『OverCare』
8月の課題曲『やきあがりのパーン』
9月の課題曲『はじまりのうた』
10月の課題曲『これからも、ずっといっしょに。』
11月の課題曲『深呼吸』
12月の課題曲『ザ・ワースレスのテーマ』

こうしてどうにかこうにか12曲全曲をカバーできました!
フル・アルバムかってほどのボリューム!あらためてすごい企画だなぁ!
Sound Cloudに全音源アップしているのでよかったら聴いてみてください。

今回は原曲のコード進行そのままに、ほぼリハーモナイズせずカバーしてみました!(といいつつリハモ科なのでほんの少し隠し味程度にリハモしています)

最後までお付きあいくださったザ・ワースレスのみなさま、そしてザ・ワースレスを愛してやまないワースレスラバーズのみなさまに大感謝です!



ここからは個人的な今回のカバーの制作過程での思考の流れや気づきを自分のための備忘録として書き留めた文章です。
今回は特に制作のプレイリストを選曲せずに作っていったので、ザ・ワースレスと入れ違いで旅している台湾のインディーズ界隈のプレイリストを聴きながらお読みください。


台湾インディーズのプレイリスト

カバーの入り口

いまから60年前の1964年に作られたイタリアのビザール(奇妙な)・エレキ・ギター「クルチアネッリ」を夏の終わりに修理に出し、先月末帰ってきました。私のギター・ヒーローのひとり、ギャレット・ダットン a.k.a. G.Loveが使っているギター「Crucianelli elite 40-V」と同じモデルです。私のギターは
アメリカ・シカゴのアコーディオン奏者で実業家のドン・E・ノーブルがイタリアのクルチアネッリ社製のギターを輸入し、自身の名前「Noble」を冠してアメリカに輸入・流通させていた頃の1964年モデル「Noble Grand Deluxe Sparkle」のラインの1本で、2004年頃にe-bayで手に入れました。東京にいた頃に一度修理に出したものの適当なあしらいをされて状態が悪く結局20年間ずっと眠らせたままでした。アコーディオンを製造していた楽器商のギターらしく木にラメラメのプラスチックを貼ったおもちゃのようなかわいいギターです。今年に入ってからの音楽熱の再燃でようやく思い切って再修理に出していた子がこのタイミングで帰ってきたんですよ!G.Loveと彼の戦友とも呼べる「Crucianelli elite 40-V」との出会いについてはこのインタビューに詳しく記されています。

私はそれ以前にも1964年生まれの白い「Crucianelli elite 40-V」をお迎えしましたが、その時期に音楽制作やデザインを担当させてもらっていて、同じくG.Love好きだったcutman-booche金佑龍 a.k.a. Pahuma くんにプレゼントしたので、すでに私の手元を離れています。いまも彼はかっこいい音を鳴らし続けてくれていてとてもうれしいです。

と、のっけから余談中の余談ではじまりましたが、私にとって今回のカバー制作の方向性を決める上では、このギターが大きなポイントになりました。

そう!そんな矢先に #ラバーズ一月一曲 最後の12曲目の課題曲は『ザ・ワースレスのテーマ』だと発表されました!
「おお!2月の課題曲のブルース!3月の課題曲のロックンロール!そして10月の課題曲のリズムチェンジ!が組みあわされたザ・ワースレスの原点ルーツ・ミュージックの集大成じゃないすか!そんなもんもうG.Loveが『Blues Music』(1994)を作って弾いたギター「クルチアネッリ」を弾くしかないじゃないですか!?最終回ってことは卒業制作、いわば卒論みたいなもの?リハモ?は?知らんがな」という勢いで、ミスターがこの曲にこめたルーツ・ミュージックへの愛をそのまま受け止めて制作することに決めました。
『この熱い魂を伝えたいんや』

落語家の桂「枝雀師匠みたいな面白いおっちゃんが歌うてはる」と木村さんのくしゃくしゃの顔に釘付けになって憂歌団『嫌んなった』 (1975)に衝撃を受け、上田正樹 & 有山淳司『ぼちぼちいこか』(1975)を聴いて育った私なら「弾いたことあらへんかっても弾けるはずや…弾けるはずやで」と長い東京暮らしですっかり忘れかけてしまっている大阪弁で暗示をかけながら、覚悟だけ決めつつ…の12月上旬

台湾の台北松山文創園區で開催された小鳥イベント『小鳥時光2.0』への出展がすでに決まっており、12月5日〜9日までは台湾、その後は別の仕事で日本で旅が続く予定が詰まっていて、12月中頃までは何もできない状態でしたので、構想だけをぼんやりと練っていきました。

2018年、2019年ぶりとなる4度目の台湾!
今回も元気いっぱいもらえた5日間でした!
台湾の人々や小鳥たちの優しさにたくさん触れられて日々感動し続けていました。はじめて乗ったリムジンバスでは「どこで降りたらいいの?」と途方に暮れた顔をしていたらしく、すっと話かけてきてくれた親切なおばちゃんが気をきかせて、運転手さんに「この子終点のひとつ前で降りるから着いたら教えてあげてね!」と伝えてくれたり、夜市の小姐さん、ホテルのフロントの係員さん、コンビニのお兄ちゃん、駅員さんから小吃店、本屋さんのお母さんたち、ギター屋さんの3世代(おじいちゃん、お父さん、お孫ちゃん)までもうみんな親切の神様かよ!というくらいに親切です!催事中は台湾の友人や出展者のみなさんが食べきれないほどのおやつやお土産、飲みものを届けてくださったり、会場に遊びにきた小鳥たちが次々と肩や手に乗ってなでさせてくれたり、仲良くなった通訳の方と台湾と日本の音楽を教えあえたり、日本の作家さんたちと積もる人生の話ができたりと、人情味あふれるやりとりですっかり心が満たされ帰国しました。

旅から帰った直後の週末にコード譜を横目にギターを弾きはじめます。先に触れた台北府中のギター屋さん宛伶樂器(帰国して調べたら新北市最大のギター専門店だそう!)でお迎えしたローズウッドの木のぶっといピックでなんとなく「ここはこんなストロークかな?」と「クルチアネッリ」をジャカジャカと鳴らします。ちょっと弾き語りしてみたりして感触を確かめ、後先考えずに仮のドラムだけを打ち込んで、ベーシックのギターを録音するところからはじめました。「あぁ!これは3ピース!トリオ編成だな!」とイメージが浮かび、ギター & ヴォーカル、ベース、ドラムスの3ピースの基本編成でアレンジしてみることにしました。

憧れの3ピース

ビル・エヴァンス・トリオザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスバンド・オブ・ジプシーズクリームエマーソン・レイク・アンド・パーマーJohnny Louis & Char(ピンククラウド)YMOTM NETWORKFENCE OF DEFENSEBLANKEY JET CITYゆらゆら帝国eastern youthサンボマスターペトロールズCro-magnoncutman-booche羊文学君島大空トリオ、そしてG.love & Special Sauce、かっこいいバンドはだいたい3ピース(当社調べ)。といいつつ今回もひとりで作っていくのでひとりトリオ(謎)です。

イントロ

イントロはチャックベリーのようなビートルズのようなキャッチーなものを。シンプルに3コードで進めて、ベースラインを思い浮かべてからコードを当てました。

12月の #ラバーズの一月一曲 『ザ・ワースレスのテーマ』の制作秘話より

ミスターがこう語ってらして、チャック・ベリーは『ジョニー・B・グッド』(1958)(映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)で、主人公のマイケル・J・フォックスが扮するマーティが熱演する曲ですね)、ザ・ビートルズは『Revolution』(1968)かしら?とか想像しながら弾きました。
原曲にオマージュを捧げつつ、シャッフルの3連符を感じながら、ブルース、ロックンロールの常套句的なフレーズを弾きました!何度も何度も聴いてきたはずなのに弾くのははじめてでとても楽しかったです。

ヴァース 「チョイとそこゆく〜」「腰をフリフリ〜」

歌詞を読んでもらえたら言いたい事は伝わると思いますが、路上演奏でとにかく足を止めて欲しかった、その一言に尽きます。

12月の #ラバーズの一月一曲 『ザ・ワースレスのテーマ』の制作秘話より

1回目はちょっとアドリブで歌詞を変えて歌ってみました(ミスターごめんね!)。これもブルースあるあるかもしれません。
「犬」、「猫」ときて「小鳥」が続かないのは、「No Bird, No Life.(小鳥のいない人生なんて!)」を掲げて小鳥の絵本『かわいいことりちゃん』を出版させてもらった私としてはちょっぴりさみしかったからです。 
原曲ではぴーひゃらん、のんしゃらんの双子のおふたりが「ワンワン!」「にゃ〜」「メエェェェェッ(えっ?山羊?)」と合いの手を入れてらしたので、私は台北の松山文創園區でフィールド・レコーディングしてきた台湾の小鳥(台湾でも外来種とされている東アジアに生息する烏領椋鳥)の鳴き声を入れてみました。朝、屋根のとんがりのてっぺんに止まってとてもよく通る美しい声で鳴いていた声を採録してきてよかった!シンセサイザーとかじゃなくってほんとこのままの美声でさえずってたんですよ。

2回目は原曲で「君もプレスリー」のあとで双子のおふたりが「ハウンドドック」 と合いの手を入れてらしたので、エルヴィス・プレスリー『Hound Dog』 (1956)をオマージュしたリズムと手拍子、スネアを入れています。BPMがロックンロールよりゆっくりめなので、ちょっと盆踊りっぽいかわいらしさに聴こえるところが気に入っています。

君もビートルズ」のところは「どうしようかな?」と悩みましたが、ザ・ビートルス『All You Need Is Love』(1967)のフレーズを織りこんでみました。元々ジョン・レノンの手によるこの「愛こそはすべて」と歌われるこの名曲もフランス国歌からはじまり自身の本歌取り?までいろんな曲のフレーズが綴りこまれている音楽への愛とオマージュにあふれた曲ですし、次のサビにうまくつながってくれるかしらと思ったからです。
ミスターがさりげなく自分が影響を受け愛してやまない古き良き音楽のエッセンスをしのばせて、次の世代へその良さを伝えていきたいっていう気持ちを、このカバーでも記しておけたらと思いました。「ホーンまで入っちゃってもはや3ピースじゃないじゃないすか…」

コーラス(サビ) 「ほんのチョットで〜」「ただただ楽しい僕らが〜」

4つ切りっぽく弾いているサビ前半4小節のコード進行は、A→A7→D→Dm。
ディグリーネームに置き換えると、Ⅰ→Ⅰ7→Ⅳ→Ⅳm。
Ⅰ7→Ⅳのセカンダリードミナント解決進行から、そうです!我らが大好きⅣm=サブドミナントマイナー!へ行くエモいコード進行。イーグルス『Desperado』(1973)の最初にも使われている進行です。

1回目はヴァースと同じくちょっとアドリブで歌詞を変えて歌っています(ミスターごめんね!)。ブルースっぽく台詞的なフローが浮かんできたのと、言葉が通じない台湾での対面販売のときに、「ちょっと待って!」って身振り手振りや自動翻訳を使ったりして勇気を出して話しかけてみたら、通り過ぎそうだった台湾の方とのコミュニケーションがぎゅっと生まれたんですよ。そんな瞬間を何回も体験させてもらえたので、その時の気持ちをちょっと入れておきたくなったんですね。

2回目のヴァースに移るブレイクっぽいところは、原曲からちょっとだけリハモしてC→B→Bbとよりロックっぽいシンプルな下降ラインに。原曲のトリッキーなA→C→D#→D#→G→G#がこれまたかっこいいのでぜひ聴きくらべてみてください。

2回目、3回目にはコーラスを入れています。
原曲とくらべて聴いてくださった方はお気づきかもしれませんが、今回のカバーではコーラスのフレーズを変えてみました。このコード進行を弾いているだけで、クリシェ的な下降ラインA→G→F#→F→Eがもう頭の中で鳴りやまなくなってしまったんですよ。コーラスを入れたところで「もうすぐクリスマスじゃない?クリスマスといえば」って気分になってきて、後ろで鈴をシャンシャン鳴らしています。
と書いていつつ2ndアルバム『TALK』に収録されているもうひとつの原曲『TheWorthlessのテーマ』を聴き返していたら、3回目のサビでsunnyさんが私と同じラインでハーモニーを重ねてらっしゃいましたね。

サビ後半のコード進行は、A→A7→F#7→B7。
10月の課題曲『これからも、ずっといっしょに。』で研究したリズムチェンジなコード進行ですね。あの時に弾き語りで弾いてみたいけど歌いながらだとギターで弾けなかったベースラインをベースで入れています。ギターは前半の4つ切りっぽい感じからシャッフルの3連にもどって場面が切り替わる感じにできたところも、原曲の魅力がまたちがった感じで浮かびあがってくる気がして弾いていて気持ちよかったです。

間奏 (ギターソロ)

原曲ではsunnyさんのソウルフルな無敵のカズーソロが聴けます!
私はG.love & Special Sauceな気分で制作をはじめたのでここは「ブルース・ハープ吹きたい!」とか思いましたが、もうね!まったく練習してないのにそんな急にブルースのソロとか吹けやしないんですよ。十数年前にCINEMA dub MONKSの大穂君のブルース・ハープ・ワークショップに2回ほど通ったっきりですからね…「ハーモニカどこやっちゃったんだろ…あっ!あった!AのブルースってことはDのブルースハープ!ある…あるけど…」で止まって、ギターソロです。ギターソロですったって、9月の課題曲『はじまりのうた』で台湾の友人から借りたストラトではじめて弾いて、10月の課題曲『これからも、ずっといっしょに。』でフルアコのRozeoでまたちょっと弾いてみてからの3回目です。小慣れてません!ミスターが「間奏」といろんな曲で振ってるのを真似してみましたが、気恥ずかしい感じがそのまま出ています。「クルチアネッリちゃんの音が延びな〜い…」とか雑念が入りながらもいまこめれるだけの魂をこめて弾き切りました。

ブリッジ (大サビ) 「つまずき転んで〜」

サビで「ただただ意味のない歌を」とか歌っておいて、ちゃんと大サビで
つまずき転んでガム踏んでも 一生続くわけじゃない」とかほろりとさせるフレーズをぶっこんできてくれるミスター。

ここはリハーモナイズしました!
といっても3和音を4和音に変えたりテンションを足しただけです。

原曲  D→A→C#7→F#m→B7→E→E7
カバー D△7→A△7→C#7→F#m7→B9→E9→E7

一生続くわけじゃないないないないないないな〜い」の頭で切なコード=Ⅲ7のC#7が登場し、Ⅵm=F#mで切なさをキープしつつ、代理ドミナントのⅡ7=B7から続けてドミナントⅤ7=E7で高まってサビのA=Ⅰに解決する流れが歌詞とあいまって泣けますね。後ろでは原曲から聴こえてきたベースラインを弾いたのでそこも聴いてみてください。

だから〜」の後で思わず歌い上げてしまいました。録音後に「なんで歌い上げたくなったのかな?」と記憶をたどってみたら高野寛『ベステンダンク』(1990)が浮かんできました。岸田繁(くるり)『ベステンダンク』(2014)も聴いてみてください。ミスターが台湾でアップされてたストーリーズのくるり『奇跡』(2011)の弾き語りよかったな。それでか!

思い返せば今年はこの企画で
『君に会いに行こう』の「楽しいこと いっぱいあるよ
『毛玉のボールのブルース』の「電気が点いてなくても階段登れるけど 流れる日々に迷うこともある
『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』の「こころがコゲついて あぶらがはねても わすれちゃヤダよ いっせーので唱えよう アポパイ ポコパイ パンパンパン パンダッチューのポー
『きょうはいい日』の「晴れの日 雨の日 それから 虹がかかった日『OverCare』の「さよなら またね ぬくもりを覚えてる グルグル周る約束
『やきあがりのパーン』の「全てをかけて 焼き上げる
『はじまりのうた』の「落ち込んだ時には声をかけてくれよ 楽しくない時はそのままでいいんだよ 耳を澄ませばいつだって聴こえるよ 踊らにゃソンソンぴーひゃらら
『これからも、ずっといっしょに。』の「わたしたちなら どこにだって 行けるのさ
『深呼吸』の「決していつでも君のことを忘れるもんか」「ささくれてしぼんだ姿ならば 世界の外へ旅立つんだ」「音が鳴り止んで 魔法が解けたら 止まったネジを 巻いてくれませんか」など。
カバーして歌ってみて心の襞をそっと撫ででて落ち着かせてくれるような温かな歌詞にずいぶんと救われてきました。

かっこつけたらかっこつけられるだろうに「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」といわんばかりに、おふざけていそうでいてその実、ナイーヴで生真面目で熱い人なんだろうなと感じさせてくれる歌詞が飛び出してきますよね。フィッシュマンズの佐藤伸治が意味なんかないね 意味なんてないとか嘯きつつ、ふわふわと宙を舞いながら心をわしづかみにする詩を書いて歌ったように。

ミスターは11月は台湾→大阪→京都、そして12月はまた大阪→台湾(間に栃木とか他にもハードな移動が入ってましたね)と『水曜どうでしょうサイコロの旅』並みの移動を繰り返し(ザ・ワースレスのほかのメンバーもニジノ絵本屋さんのスタッフもふわはねさんも虹屋のいのいもあちこち入り乱れてのハード・スケジュール!)、私は12月に台湾→大阪→台湾と真逆のスケジュールを入れてしまっていて(関西蚤の市にもお誘いいただいたのに行けなくてごめんなさい)、あまりのすれちがいぶりに笑ってしまいましたが、この企画で音楽のやりとりがずっとできていたので「また会えたときにゆっくり話せればいいじゃんね」と思うようにして過ごしていました。

飄々と旅を重ねている(ように見える)ミスターに大泉洋(そこミスター(鈴井貴之)ちゃうんかい)や『男はつらいよ』の寅さんの面影を重ねつつ、小沢健二 & スチャダラパーが「ダサかっちょ」を意識して『今夜はブギーバック』(1994)をヒットさせたことや、坂本教授がよくコント番組に出演されていたことなどを思い返していました。「こちとら体張って大衆音楽やってんだよ!」っていう気概でかっこつけない美学っていうところが通底しているんじゃないかと。で、その傍らに立つ寡黙な中田さんがまたいいんだよな。

エンディング 「ぼくら ワースレス〜」

エンディングの「ぼーくら!」パートもあのアルファベットの配置が一発で決まり、奇跡のような時間でした。この曲をノートに書き下ろした時に、あーこのバンドは多分大丈夫だ。と確信していました。

12月の #ラバーズの一月一曲 『ザ・ワースレスのテーマ』の制作秘話より

原曲のミスターのカウントとギターのボディを叩く音、そしてのんしゃらん奏でるエアホーンの「パフパフパフパフ」から怒涛のリズム、そして重なるみなさんのコーラスが最高ですよね!

10月の課題曲『これからも、ずっといっしょに。』で研究したリズムチェンジのコード進行がここでも出てきますが、エンディングではテンポアップするので、4ビートのスウィングにしました。10月は「なんちゃってジャズでアレンジするなんておこがましい」とか思って、これまた慣れない弾き語りに挑戦しましたが、ここまで続けてきてやりたいことやっといたらええやんモードに突入していたのでもはや好き放題アレンジしています(というかすでに他の月になんちゃってジャズは結構やっちゃってました)。

ワースレスラバーズ目線で勝手にコール・アンド・レスポンスを入れました!
ぼくら ワースレス」「ラバーズ!
ぼくら ワースレス」「が大好き!
今年になってにわかワースレスラバーズ宣言をしはじめ、ラバーズ諸先輩方には申し訳ないくらいの勢いで #ラバーズの一月一曲 のカバーを発表してきましたが、いちラバーズとしてカバーするにあたり「メンバーでもないのに「ぼくら ワースレス」って歌えなくない?」っていう気持ちが湧いてきてラバーズらしい展開にしたかったんですね。最後はワースレス推しがワースレスの綴りを説明しているイメージです。ひとりでハモリすぎです。

台北中山の音楽・カルチャー・ショップPAR STORE、ブックカフェ・アートギャラリー朋丁も再訪でき、VOOID落日飛車といった台湾インディーズのプレイリストを旅の移動中に聴き続けていたことも、今回のリバーブをちょっと意識してみたミックスに影響しているかもしれません。

今回はリハモもほぼしないってことでメロディの譜面を書き起こしたり、仮メロも入れたりせずに、コーラスもその場で浮かんだフレーズをノリで重ねていったりとラフなレコーディングでしたが、一番のびのびと歌えた感じがしました。12ヶ月歌ってみてもまだまだ自分の声には違和感があって「誰か歌ってー!」と内心思いながら歌っていましたが、振り返ると毎月歌って演奏してみなさんに聴いていただけて幸せな日々だったなと思えてきました。

今月はもう「あんまり書くこともないし、制作の備忘録なくてもいいかなぁ」とかぼんやり考えていましたが書きはじめるとまたいつものように長くなってしまいました。

今まで色んなバンドを組んできましたが、テーマ曲は作った事がなくて新しい楽しさがありました。

テーマ曲って作りやすいんですよ、実は。バンドだとしても企業だとしても絵本だとしても、テーマ曲は「テーマ」縛りがあるので悩まないというか、伝えたい事は決まってたりするので。

ザ・ワースレスをテーマとして考えた時、伝えたい事、言葉を素直に書き綴りました。たしか10分くらいで直しもなく完成した気がします。

その経験があるので、当時みんなに(音楽やってない友人にも)自分のテーマ曲作って欲しかった。簡単に出来るよ!って。

12月の #ラバーズの一月一曲 『ザ・ワースレスのテーマ』の制作秘話より

このミスターの言葉を借りて、今月の長い長い備忘録を終えることにします。今月もワースレスラバーズのみなさまの #ラバーズの一月一曲 聴けるのを楽しみにしていますよ!

「私も小鳥のテーマ曲を書いてみようかな?」「ザ・ワースレスに歌って演奏してもらえたらいいな」そんな夢を描いて来年も「楽しいこと いっぱいあるよ」な年にしたいな!と夢見つつ、いまも世界情勢は混迷を極めていますが、最後はこの曲でお別れできれば。

ジョン & ヨーコ & プラスティック・オノ・バンド・ウィズ・ザ・ハーレム・コミュニティ・クワイア『(Happy Xmas (War Is Over)』(1971)

メリー・クリスマス & ハッピー・ニューイヤー!
みなさまどうぞ良いお年をお迎えくださいね!




「太字」部分は文章内でご紹介している楽曲から歌詞を引用しています。
  歌詞の © 著作権は各作詞者に帰属します。
※ 登場するアーティストは呼称を敬称略としていたりしてなかったりしていますが、すべてのアーティストに敬意をこめて紹介しています。
※ 私はいま音楽理論を勉強中ですが、音楽学校等は出ておらず独学の最中の知識だけで記事を書いているため、楽理的におかしなことが書いてあるかもしれません。どうぞ参考までにお読みいただければ幸いです。