イーロン・マスクの伝記を読んで:AI(人工知能)関連
前回の伝記本感想の続きです。
今回も、前回同様に事業の内容よりも人間関係に絞って興味深かった内容を感想も添えて書いてみます。
ぜひ少しでも関心を持った方はポチってみてください☺
前回は良くも悪くも完璧主義者で他者に対しても厳しい要求をする話を中心に触れました。
今回は、AI(人工知能)に関係する交流関係について触れておきます。
まず、有名な話ですが、元々SpaceXはPaypal売却時の資金を元に設立されています。
そのときに出会ったメンバーで今も影響力を及ぼしているメンバーを「PayPalマフィア」と呼ぶことがあります。
過去記事で紹介したので、詳細はそちらに委ねます。
上記記事にも載っているピーター・ティールがマスクの交流関係にかかわってきます。
彼はSpaceXにも出資しており、自身のファンドに出資している企業のトップを集めた会合を毎年開いています。
2012年の回で、マスクはデミス・ハサビスに出会います。
AIに明るい方なら「おぉ」とおもうのではないでしょうか? AIのエリート集団DeepMindを創業した天才です。
こちらも過去何度か取り上げたのでそのすごさは今回は触れません。
1つだけこぼれ話。
ハサビスはコンピュータの父アラン・チューリングが遺した伝説的な論文「計算する機械と知性」のオリジナルをオフィスに飾っています。
で、すぐに天才二人は意気投合したようで、ハサビスはSpaceXの工場見学にいき、逆にマスクはAIに関心を持ってディープマインドへの出資を決めます。
関心と書きましたが、ハサビスは今後AIが人間を超える知性を獲得する脅威を語り、マスクもその意見にくみします。
その数週間後に、マスクは長年の知り合いラリー・ペイジ(当時はGoogleのCEO)と会ったときにこれを話題にしたそうですが、あまり反応は芳しくなかったそうです。
そして、その翌年の2013年に、ペイジ率いるGoogleはDeepMind買収を宣言し、2014年に条件付きで買収が成立します。
ちなみに、今年になって社名をGoogle DeepMindに変更しています。
「条件」というのがハサビスが提唱した「AIの脅威に対する安全委員会」を置くことで、その最初で最後(!)の会がSpaceXオフィスで行われました。
ここには当事者だけでなく、PayPalマフィアでLinkedIn共同創業者で有名なリード・ホフマンも名を連ねています。
結局形骸化した委員会になり、マスクはGoogleのAIへのスタンスが気に入らなかったようです。
そこでくじけるマスクではなく、IT産業や政治の有力者(オバマ大統領まで!)への説得をはじめ、ついには非営利の人工知能研究所を、元々IT業界で知り合いだった「同志」と立ち上げます。(もっと言えば、Googleから有能なAI研究者を引き抜きます)
その研究所と同志が、今では時代の寵児となったOpenAIとサム・アルトマンです。
当時も今もIT業界では「オープン化」が鍵となっており(良し悪しはともかく)、その成功例としてよく例示されるLINUXというオープンソースOSのようなAIを作ろうとしました。
が、途中でアルトマンと方針が合わず、マスクはOpenAIから距離をとることになります。過去の投稿を引用しておきます。
マスクは、その後も人間の意思(特に意識の存在を重要視)の拡張としてのAIを志し、その流れで2016年に起業したのがNeuralinkという神経科学ベンチャーです。こちらも関連記事を引用しておきます。
ここまでの内容でも、改めてイーロン・マスクが与えた世界的な影響力を感じざるを得ません。
そして一見つながってない事業間でも、今回の流れの通り、首尾一貫した想いを元につながりがあります。
AIについては今でもその思想のもとに事業化に組み込み続け、大量の運転データを持つ電気自動車事業テスラでのAI学習基盤、そして人間がつぶやく大量データを持つ(旧)Twitterへの関心に移っていくわけです。
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