Koji Fukuoka

宇宙・生命・知能に関わる最新科学がとにかく大好き。学生時は天文学を専攻し、今は事業開発や教育系のお仕事をしてます。 <運営コミュニティ> https://enjoyscience.doorkeeper.jp/ https://sustainableq.doorkeeper.jp/

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    最近の記事

    Chipにも生成系AIの波が到来

    コンピュータチップの最大手Intelが、こんな発表をしました。 ようは、 科学技術計算に特化した生成系AIの開発を行っている、 という話です。 生成系AIは、transformerを元にした大規模言語モデル学習が定番になりつつあります。 今回その言語モデルに、教科書など科学関連情報を集中的に学ばせています。 圧巻なのが演算処理速度とパラメータ数です。 昨年スーパーコンピュータ性能ベンチマークで、初のエクサスケールに達しました。 今回はその2倍の2エクサフロップスです。

      • 人以外も悪夢を見ているらしい

        大人になってめっきり夢を見ることが少なくなりました。 子供のころは、比較的いわゆる「悪夢」をよく見た記憶があります。例えば誰かに追いかけられたり、高所から落下する夢など、おそらく誰もが一度は経験し、なぜか超リアリティを感じたのではないでしょうか? そんな夢、特に悪夢について、ちょっと変わった記事を見つけました。 あのタコ、なのでちょっとびっくりです。むしろ夢の中の悪役で出てきそうな勢いです。 文中にあるように、実は以前から夢を見ること自体は指摘されてきました。過去記事

        • ハッブル宇宙望遠鏡サルベージ提案のRFIが提出されています

          ハッブル宇宙望遠鏡、という名称は宇宙好きでなくてもよくきくのではないでしょうか?(タイトル画像はNASAクレジット) 今はジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡が稼働しているので影を潜めていますが、宇宙の美しい写真の多くはここから撮影されています。 それを写真集としたような本も出版されています。 で、ハッブルは今でも現役かつ機体は正常です。 ただ、1つ問題がありそれが「落下問題」です。 いわずもがな物質がある以上引力が生じ、だから我々もジャンプしても地上に引き戻されるわけです。

          • H3の原因調査と地方の動き

            若田宇宙飛行士がおそらくは最後となるフライトを無事に終え、記者会見を行いました(タイトル画像もこちらから引用) 前回も、ispaceの月面墜落に関する原因調査結果について触れましたが、若田氏はそれに言及し、失敗を恐れずにチャレンジする意義について語りました。 失敗例として記憶に新しいところでは、10年以上も開発に時間をかけた日本の基幹ロケットH3です。 以前にもふれましたが、H3への置き換えでなく、旧来の名機H2Aはしばらく並行稼働予定だったのですが、こちらも実は中断し

            史上初の民間月面着陸へのチャレンジは続く

            2023年4月に行われた、成功すれば史上初となる民間企業による月面着陸プロジェクト「HAKUTO-R」は、残念ながら着陸はうまくいきませんでした。 通信不能のため当時は憶測にすぎませんが、推測以上に速いスピードで月面におり、結果として墜落のような状態になったのではないかと言われています。 最近、NASAの月面周回探査機が、その残骸か?と思われる写真を公開しました。 ちょっと言われてみないとわかりませんが、確かに言われてみるとそれっぽい、かもです。少なくとも着陸地点は明確

            ニューラリンクの人体実験が遂にFDA承認

            以前、イーロンマスクの神経科学事業ニューラリンクについて進捗を触れました。 当時はまだFDAから人体実験承認がおりずに苦労している、という話でした。 その後は、パートナーも見つけながら、再チャレンジを行なっていたようです。 ニューラリンクはステルス、つまり隠密活動が多いので、どうしても伝聞推定の表現になってしまいます。 そしてついにFDAの承認獲得したようです。イーロン自身も報告したようです。 被験者の応募条件は、下記のようです。勿論登録だけで必ずモニタになれるわけで

            民間宇宙旅行への軌跡と展望

            民間宇宙旅行第一号は、条件付きでヴァージンギャラクティック社です。 2021年7月に、創業者リチャード・ブランソン自らが搭乗した初の宇宙旅行が行われました。 「条件付き」と書いた通り、ジェフベゾス率いるブルーオリジンから物言いも入っており、なかなかの泥仕合です。過去のその経緯を書いたので引用にとどめておきます。 以来両社は粛々と次の準備を進めていましたが、ヴァージンギャラクティック社が2回目のフライトを実行するニュースが流れています。 上記記事を踏まえて、簡単に民間宇宙

            シンピなる皮膚の世界と仲間たち

            前回に続き、皮膚の話題を取り上げます。 皮膚は階層構造からなり、 外界と接して異物探査を担う「表皮(ひょうひ)」 その連絡を受けて免疫の中枢を担う「真皮(しんぴ)」 そして後方支援として補給を担う「皮下組織」 の3種類から構成されています。 真皮が、例えば温度調節のために発汗を作用させたり、異物を退治したりする中心を担うわけですが、前回ふれたように表皮もその最前線として活躍しています。 よく、ヒトとチンパンジーの遺伝子はほぼ同じだ、という話を聞きます。 これも数え方に

            皮膚はなにげに重要な「臓器」

            前回、皮膚のデジタル合成化について触れました。 それで、ふと思ったのですが、「内臓」という言葉はあっても「外臓」は聞いたことがありません。 調べてみると、一応あるみたいです。 ようは、人体は3つの臓器、「脳」「内臓」「外臓」に大別され、皮膚は外臓に含まれるようです。 つまり、皮膚も臓器の1つ、という結構当たり前なことに気づきました。 多分単に体を覆っている「皮」ぐらいのイメージしか普段持ってないから、だと思います。 ただ、前回の電子皮膚で触れた通り、皮膚は単に防壁

            革命を起こしそうな電子皮膚開発に成功

            以前に、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の最難関「香り」を解明しつつある、という話をしました。 ただ、一度解析が完了するとそれを再現するのは最難関ではなくなります。 再現する、という意味で現時点での最難関は「触覚」かもしれません。 相対的に内外との物理的やりとりの質と量が多そうだからです。 例えば人間と握手をするだけでも相当なパターンがありそうです。 そのインターフェースを担う「皮膚」ですが、デジタルで再現する「電子皮膚」の開発が一歩進みました。 ようは、 実験動

            宇宙の元祖コンステレーションと宇宙食コンテスト

            宇宙の言葉でコンステレーションと聞くと、人工衛星を低軌道で多数打ち上げて広範囲にカバーする仕組みが有名です。 代表例はStarlinkで、投稿時点で既に4千機を軽く超えています。 実は、宇宙開発ではそれより前に「コンステレーション計画」と呼ばれる壮大なものがありました。 初期のころからいくつかそぎ落とされたのが、今の「アルテミス計画」につながっています。 簡単にその歴史は下記でも触れたので紹介しておきます。 上記記事内にあるとおり、2004年に時の大統領が新たな宇宙開発

            衛星も和風な世界観が実現出来そうです

            なかなか興味深い記事が発表されています。 タイトルが全てです。 若田宇宙飛行士が2022年に宇宙空間にさらすようにISS壁面に取り付けた木材が無事実験期間 を経て回収されて、実用性があると判断されたようです。 ヤマザクラ、ホオノキ、ダケカンバの3種類で試して特に差がなかったため、実用性のあるホオノキを採用したようです。 木材には明るくないので調べてみたら、さびにくいので昔は刀の鞘に使われていたようです。渋い! そしてその木造人工衛星の名称は「リグノサット(Ligno

            宇宙の物差しもイノベーションが続く

            以前に、周囲の星を摂取して死後に再爆発する超新星の話をしました。 その際に、超新星は明るさが正確なので、宇宙の膨張速度を測る物差しにも使われ、それによって加速度膨張が確認されたという話をしました。 それまでの方法は、宇宙背景輻射(CMBと呼称)のムラの度合いを参考にしていました。 膨張速度の速さは、史上初めて膨張を観測した人物の名前をとって「ハッブル定数」と呼ばれます。 CMB方式では、67 – 68 (km/s)/Mpcという値でした。(本題でないので単位の意味合い

            火星で最初の食糧と宇宙食2.0

            SF映画で「オデッセイ」をご存じでしょうか? 原作はアンディ・ウィアーの「火星の人」です。実は元々SF好きが功を奏して書いて無料で公開してみたら、余りの反響で本として販売した、という経緯があります。 内容は、とある誤解で一人火星に残された探査員のサバイバル術、です。(ネタバレはしないようにします) 実はこの探査員、植物の専門家でした。そして彼はその知識を生かしてなんと火星上で植物(ジャガイモ)を栽培して食糧にしてしまいます。(まさに火星版ロビンソン・クルーソー) これ

            ゾンビ星が超新星の謎に一歩迫る

            以前オッペンハイマーの科学者としての業績で、質量がある閾値を超えたら爆発する研究について触れました。 その先駆けとなった白色矮星(恒星の残骸の1種)で、ゾンビのようなふるまいをする様子が確認されました。(タイトル画像Credit: ESA/ATG メディアラボ/C. Carreau) ようは、 白色矮星が死から蘇って爆発を引き起こす過程で、周囲の星を食い尽くしていることが分かった、 という話です。 確かにこう書くとゾンビっぽいです。 上記の爆発を「超新星爆発(Supe

            パラレルワールドの証拠が南極に!?

            タイトルだけで反射的に覗いてしまう記事を見つけました。 パラレルワールドという言葉には、いくつかの解釈があります。 我々の日常が同じように並行に存在する、というほうが一番イメージに近いと思いますが、その1つが「多世界解釈」という考えです。 ようは、 量子力学では観測することでその存在確率が一意に決まるとする考え方が主流だが、実はそうでなく多世界に分岐しているよ、 という考え方です。 残念ながら(?)今回はこちらではなく「マルチバース」とも言われる考え方に近いです。 よ