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ChatGPTでサイコウされるチューリング

ChatGPTのブームで、改めて「チューリング」という言葉が注目されるようになりました。1つだけ紹介します。

チューリングテストとは、アラン・チューリングが提唱した「人工知能の人間知能テスト」です。せっかくなので説明をChatGPT(Plus)に任せてみましょう。

Prompt「チューリングテストを分かりやすく教えてください」

<ChatGPTの回答>
チューリングテストは、人工知能(AI)が人間のように思考できるかどうかを判断する試験です。イギリスの数学者・コンピュータ科学者であるアラン・チューリングが1950年に提案しました。このテストの目的は、AIが人間の思考を模倣できるかどうかを評価することです。

チューリングテストでは、通常3つの役割が存在します。質問者(人間)
回答者A(人間)
回答者B(AI)

質問者は、回答者Aと回答者Bのどちらが人間で、どちらがAIか分からない状態で両者に質問をします。回答者Aと回答者Bは、質問者が自分たちを人間だと思うように答えることが求められます。質問者は、回答者AとBの返答を比較して、どちらが人間でどちらがAIかを判断しようと試みます。

もし質問者が回答者B(AI)を人間と判断できない場合、つまり、人間と同じように思考し、会話することができると判断された場合、そのAIはチューリングテストに合格したと言われます。これは、AIが人間のように思考する能力が高いことを示しています。

ただし、チューリングテストに合格したとしても、それはAIが人間と同じように意識を持っているわけではありません。このテストはあくまで、AIが人間のように会話できるかどうかを評価するものです。

出所:ChatGPT Plusとのやりとり

ということで、最後に注意を喚起しているのがさすが時代の寵児ですね。
ただ、これを言っているGPTはAIなので、よくよく考えると何が正しいのかを論理的に読み解くと、無限に循環しそうです・・・。

チューリングによる仮想機械「チューリングマシン」(今のデジタルコンピュータと原理は同じ)のきっかけが、まさにこの解けるかどうかが分からない問題への探究でした。ちょっとだけ歴史をたどります。

元々は、数学界での巨匠「ヒルベルト」が投げかけた問いの1つでした。

専門的な表現なのでオリジナルは割愛しますが(気になる方はこちらの第10番目を参照)、要は「どんな問題でも解が存在するのか?」ということ自体が論点になりました。
それまでは、解がある前提で数学者は取り組んでいたので、ある意味画期的な問いともいえます。

今風にいうと、アルゴリズムがあるか?と言い換えられますが、そのためにチューリングが仮想機械として考案したのが「チューリングマシン」です。

その仕組みは下記のWikiに委ねます。1つだけ個人的な感想を添えると、当時としては珍しい「2進法」を採用したのがさすがです。

で、この機械を使って、どんな問題でも有限回数で手続きが終われるかどうかをチューリングは辿ったわけです。

結論だけ書くと答えはNO。今では「計算可能性」問題として括られています。

今のChatGPTに絡めて言うと、原理はチューリングマシンです。
その集積が人間との自然言語での対話を超快適にして、少なくともチューリングテストは軽く合格できそうです。(余談ながらチューリングテスト自体は2014年に史上初の合格)

ここでよく話題になるのが、「AGI(汎用人工知能。昔は強いAIとも呼称)に迫るのか?」です。

チューリングマシンである以上は、(数学や自然言語など)文法が決まった構造でも、計算停止問題があるので万能ではないです。

ただ、それでも超優秀なので大半はこなせそうなので、重箱をつつくよりは、「文法が決まっていない問題に対処できるのか?」という論点がなかなか悩ましいと思います。

要は、人類の知能的な行為で「文法的なものに還元出来ない」もの(例:身体体験による学習や創造的な行為)があれば、原理的に今のChatGPTだと難しいのかなと感じます。

結局は、AGIが漠然と描いている「人間の知性」を定義しない限りは、永遠に到達出来ない数学の漸近線になりそうです。

それでも近づければまだ希望はありますが、実は存在しない「青い鳥」でなければいいなぁと思います。

最後に、不遇の人生を送ったチューリングが、今の時代で再考され再興されているのは個人的には最高な出来事です☺

<参考リソース>

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