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DeepMindの快進撃を語る

AI(人工知能)で一番話題の組織は?と聞くと、私は「DeepMind」を真っ先に挙げます。
それだけ彼らの業績は目を見張るものがあります。

そんなDeepMindを創業から率いるCEOデミス・ハサビスのインタビュー(一部有料)が掲載されていました。

要は、
碁の世界チャンピオンを打ち負かすより、科学的貢献をしたい、
という話です。

せっかくですので、簡単に彼個人の歴史含めてDeepMindの現在までに達成したことろ時系列で紹介したいと思います。

ハサビス自身は今でも本社があるイギリスに生まれ、既に子供のころにチェスの世界トップランク(14歳未満)の実力を持っていました。

そのままゲーム開発に関心をもって、ゲーム販売をしたあとはコンピュータサイエンスを学ぶため大学に入学します。

卒業後いくつか会社を立ち上げますが、急遽神経科学の大学院に入り、神経科学と人工知能を学びます。
興味が変わったわけではなく「人間の知能」の探究として、神経科学を学ぼうと志したわけです。このあたりの行動力はすごいですね。

そして彼は研究生活の中で、エピソード記憶とそれが想起される過程との理論的な説明を展開しました。
サイエンス誌はこの研究を2007年の10大ブレークスルーに選出し、これが彼が今の名声に直接的につながる一歩です。(元々ゲーム業界では有名人)

その後2010年にDeepMindを創立し、その素晴らしさに目を付けたGoogleが2014年に4億ポンドで買収しました。しかも主導権はあくまでハサビスにのこしたままです。(役職としては便宜上変わっています)
この時点で、全く業績がない(あえていえばレトロゲームを学習させたぐらい)ベンチャー企業に対して超破格の扱いです。

水を得た魚のごとく、そこからDeepMindの快進撃が始まります。おそらくこれは誇張でなく相当Googleのリソースを使ったのだろうと想像します。

以下簡単に世界的に話題となったハサビスと彼が率いるDeepMindの業績を列挙してみます。

2015年:AlphaGoがヨーロッパ囲碁チャンピオンに勝利
2016年:AlphaGoが世界の囲碁チャンピオンに勝利
2018年:AlphaFoldがCASP(タンパク質構造予測精密評価)で総合評価1位
2020年:AlphaFold2がCASPで圧倒的な精度予測で1位
2020年:AlphabetがAI創薬”Isomorphic Labs”を設立しハサビスが代表兼務
2021年:数学者との協働(AIで相関発掘)で、基礎数学分野の定理を発見
2022年:核融合発電技術で、プラズマ状態を安定的に維持するための磁気制御アルゴリズムを開発
2022年:AlphaCodeがプログラマーのコードコンテストで人並みの成果

冒頭記事では、彼の関心はやはりゲームからリアルな人間社会における科学への貢献に向いているように感じます。

実はそのゲームについては、AlphaGo以降も進化を遂げているのはあまり知られていませんので、今回はその補足で締めておきたいと思います。(また別のテーマもどこかで投稿したいと思います)

話題を呼んだAlphaGo(2016)の後に、

AlphaGo Zero(2017)→AlphaZero(2018)→MuZero(2020)

と新型の開発を続け、それぞれ旧型に圧勝しています。
”Zero”という表記の意味合いは、AlphaGoまでは人間の履歴を学習させてましたが、AlphaGo Zero以降はなんと学習ゼロで自分の分身との対局から自律的に学習する仕様です。これは・・・なかなかぞっとする光景です。

さらに、囲碁だけでなく汎用性のあるゲーム攻略アルゴリズムとしても進化を続けており、最新のMuZeroは囲碁・将棋・チェス以外の複雑なゲームでも適用することが出来ます。

興味を持った方のために1つだけ過去の履歴について触れた記事を引用しておきます。

ただ、ハサビスが目指しているように、もはやゲームではなく人類の科学への貢献に向いており、究極的には「知性への探究」です。

DeepMindの快進撃はまだまだ続きますので、これからも取り上げてみたいと思います。

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